No.115 高齢動物に対してできること 3

介護
介護とは、病気や高齢で日常生活の身体的困難に対して補助したり看護することです。動物だけではなく看護する側の飼主さんのQOLの改善を目指すことが必要です。
まずは、環境の整備が必要です。温度や湿度の管理は重要です。高齢の動物は多くの時間を睡眠にあてますので、安心して眠れる場所の確保は重要です。必要に応じて、低反発マット、エアマットレス、エンドレスゲージなども用意してください。
看るポイントは
・体の疼痛:痛みがないかどうか
・消化器・泌尿器:飲水量、食事量、食べ方、尿の量・状態、排便量・状態、排泄の仕方
・循環器・呼吸器:咳や呼吸の仕方、回数
・皮膚:炎症、褥瘡
・精神:夜泣き、不眠
などでしょうか。
介護のコツは、ひと手間の繰り返しを惜しまないようにすることです。例えば、夜泣き(→111)をしているからすぐに睡眠導入剤とか、痛みがあるからすぐに鎮痛剤とかではなく、まずは夜泣きの原因を考えてみて、薬を使わずに対処できることをやってみるとか、痛みなら体位の工夫をしたりマッサージをしてみるなどです。
また、猫においては、外を見ることが好きな場合が多いので、屋外の様子が良く見える場所に安全なスペースを作ってあげたり、高いところも好きなので、上りやすくて万が一落下しても安全な場所を作ってあげると喜びます。

心構え
動物が快適に暮らしていくためには、最低限『快食・快便・快眠』が必要です。しかし、高齢動物では、身体に様々な不調が生じて、通常の生活に支障をきたすようになります。若いころは明るく駆け回っていいた動物たちが、老いて快食・快便・快眠すら困難になって介護が必要な状態になっていくのをみているのは寂しくつらいものです。 そのときはまずは『こんなに長生きしてくれてるんだ、最後の最後までできるだけ快適に一緒にいよう』という考え方をしてみてください。そして、飼主さんの自身の無理のない範囲でひと手間の繰り返しを惜しまないように介護・看護をしてみてください。