No.467 犬の唾液腺嚢胞

唾液腺嚢胞は唾液を産生する組織(耳下腺、下顎腺、舌下腺)や唾液を輸送する管に破綻が生じ、唾液が皮下などにたまって唾液瘤(コブ状のもの)を形成する疾患です。犬に多く、猫にもまれに起こります。舌下に溜まってしまう場合には、ガマガエルののど袋のような外観になることからガマ腫と呼ばれます。下顎から首回りに唾液瘤ができるものを一般的に唾液腺嚢胞と呼びます。

外傷などによるものや唾石が管に詰まってしまう場合もありますが、原因が特定できないこともあります。一部の犬種では遺伝的な影響も考えられています。リードなどにより頸に無理な力がかからないよう努めることや、口腔内を刺激するおもちゃや歯磨きなどで、唾液腺の導管を傷つけないように注意することが肝要です。反対側に症状が起こる場合もあります。

症状は、喉元や首周りにコブ状の腫れ、波動感のある(ブヨブヨとして液体のような)無痛性の腫瘤、FNA検査(針吸引検査)すると白血球を少量含んだ粘稠性唾液が採集されるなどですが、炎症の存在や大きさにより臨床症状が異なります(痛み、嚥下困難、呼吸への影響など)。レントゲン、CT検査などにより、他の組織(リンパ節など)への炎症の波及や腫瘍との鑑別が必要ですが、確定診断は摘出して病理検査を行うまでわからない場合もあり、実は癌だったという例もあります。

導管の破綻部位を特定することは通常困難で、漏出を起こしている部位の唾液腺を外科的に摘出することで治療します。同時に付随する導管も出来る限り分離し取り出します。通常、手術による合併症は少なく、適切に原因が除去されれば予後は良好ですが、再発や残った唾液腺が嚢胞化することもあります。大きくなると手術も大がかりになります。なるべく小さな内の外科手術が推奨されます。


大きくなった犬の唾液腺嚢胞