No.379 東洋眼虫

東洋眼虫は、西パキスタンのパンジャブ産のイヌの瞬膜から発見されたのが最初です。8mm~16mmの白い細い小線虫の一種です。通常は犬、猫、キツネなどの眼結膜面に寄生しますが、ヒトにも寄生することがあります。成虫はその寄生部位の眼結膜面で卵を生み出し、虫卵は涙液や眼脂などに混入します。そのような涙液や眼脂をメマトイ(眼の周りにまとわりつく蠅の仲間)が摂取すると、その消化管に取り込まれ、発育し、約2週間後に感染幼虫となって吻近くに現れます。このメマトイが再び犬や猫の眼部で涙液や眼脂を摂取する時、結膜面に感染幼虫が放出され感染します。ヒトも同様の経過をとります。以前は西日本に多かったのですが、近年、関東地方でもみられるので注意が必要です。

症状は、結膜上や眼球上で東洋眼虫が動くので、物理的な刺激によって炎症を起こします。白眼が赤く充血し、結膜が腫れたり、目脂や涙が増え、眼をしきりに掻いたり擦りつけたりします。ヒトも同様な症状ですが、犬や猫よりも痛みが強いといわれています。

診断は、瞼をめくり、東洋眼虫が寄生していないか肉眼的に観察します。また、生理食塩水で眼を洗浄することで、虫体が押し出されて寄生が確認できることもあります。小さく細く白い虫なので見逃さない様に注意が必要です。

治療は虫体の除去です。除去の方法は、点眼麻酔、場合によっては全身麻酔を施した後、生理食塩水で眼を洗い、東洋眼虫を洗い流したりピンセットや綿棒で直接虫体を除去しますが、1回では取り切れないこともあり、数日の間に複数回の処置が必要なこともをあります。また、補助的な治療、予防としてフィラリア予防に使われる薬を投与しますが、成虫には効果がありません。


東洋眼虫


No.378 骨髄検査

骨は内部が空洞になっていてゼリー状の骨髄という組織で満たされています。ここに針を刺して骨髄血を採取する検査を骨髄穿刺、より太い針(ジャムシディー針)で骨髄の一部(組織)を採取する検査を骨髄生検といいます。通常同時に行います。

骨髄は血液を作る工場で、酸素を体内で運搬する赤血球、外敵から身を守る白血球、傷ができた時に血を固めてくれる血小板などの細胞を作っています。骨髄で作られた細胞は血液中に出て行きそれぞれの働きをします。血液の病気になるとこれらの細胞が少なくなったり、多くなることがあります。結果、体の抵抗力が低下したり、貧血になったり、血が止まりづらくなったりします。この様な異常の診断は、最初は血液を調べます。それだけで原因が特定できない場合は、原因が骨髄にあるのか、あるいは他の場所なのかを調べるために骨髄検査が実施されます。また、様々な癌が骨髄の中に入り込んでしまうことがあり、どれくらい癌が広がっているのかを調べる目的で検査をする場合もあります。

ヒトでは腸骨(骨盤の骨)や胸骨(胸の骨)で行いますが、犬や猫では大腿骨で行います。骨に太い針(ジャムシディー針)を刺すため、ヒトでは局所麻酔で行いますが、動物では短時間の全身麻酔が必要です。また、処置自体は10分程度で終わり、動物への負担はほとんどありません。

骨髄検査をすることで、通常の血液検査ではわからない血液の状態が把握できます。得られる情報によって治療の方法が見つかる場合もあります。

ジャムシディー針

以下もご参照下さい
No372血小板増多症
No278免疫介在性血小板減少症
No277自己免疫性溶血性貧血


No.377 認知症(Cognitive Dysfunction Syndrome;CDS)の見つけ方

認知症(CDS)は老化が悪化因子ではありますが病気です。以前は「痴呆症」ともいわれていました。老化に関連した症候群であり、認知力の異常、刺激への反応低下、学習・記憶の欠損にいたる疾患です。進行がゆっくりなため気付きにくいです。体の酸化ストレスによって産生されるフリーラジカルによって、タンパク質、脂質、核酸にダメージを受けます。通常は生体内の抗酸化成分がフリーラジカルからのダメージを防御していますが、加齢によりこの機構が低下して起こります。とくに脳はフリーラジカルの影響を受けやすいです。


・11-12歳の犬の約28%
・15-16歳の犬の約68%

・11-14歳の猫の約30%
・15歳以上の猫の約50%
にCDSの症状が出ているという報告があります。また、日本犬に多い印象でしたが、犬種・猫腫より、雌、不妊手術を受けた動物、小型犬がリスクが高いといわれています。

CDSの臨床徴候としてDISHAAの徴候があります。
・見当識障害 (Disorientation)
・相互反応変化 (Interaction Changes)
・睡眠あるいは行動の変化 (Sleep or Activity Changes)
・トイレトレーニングを忘れる (Housetraining is Forgotten)
・活動の変化 (Activity changes)
・不安 (Anxiety)

DISHAAの徴候を具体的に説明すると以下のようになります。() 内の%はどれくらいのCDSの犬猫でみられるかを表しています。
1.排泄の失敗(25%)
2.よく吠える(鳴く)ようになる(23%)
3.ヒト(家族)とのコミュニケーションの変化(20%)
4.命令にしたがわない(20%)
5.家の中や庭で迷う(14%)
6.睡眠周期の変化(8%)
7.部屋の隅で動けなくなる(8%)

上記のような症状がみられたら認知症を疑います。他の脳神経病、内分泌疾患、問題行動などと鑑別診断して、CDSと診断が出たら早期に治療を開始しましょう。

治療には、行動療法、食事療法、サプリメント、薬物療法、代替医療などがあります。どの程度の治療が必要かはケースバイケースですが、早期に介入しないと期待したような治療効果が出ません。

こちらもご参照下さい
No147認知症(CDS)4
No112認知症(CDS)3徘徊
No111認知症(CDS)2夜鳴き
No110認知症(CDS)1


No.376 カメの卵詰まり

カメの卵詰まりは、毎年10%ほどの個体で発生するというデータもあるほど、頻繁に起こる疾患です。主な症状としては、食欲不振、脱水、産卵行動、活動性の亢進・低下、息み、総排泄腔脱、体重減少、後躯麻痺(後肢麻痺)、嗜眠などがあります。ただし、一見症状が見られない場合もあるので注意が必要です。正常な発情でも食欲は低下しますが、極端に低下することはありません。食欲が落ちても産卵直前の数日だけのことが多いです。極端に食欲が落ちている場合は早目の対処が必要です。

春から初夏(4月~7月)に食欲がなくなってきたり、元気がなくなってきたら卵詰まりの可能性があります。後肢で土を掘るようなしぐさをしている場合もあります。状態が悪化すると、1日中眼を閉じたままになったり、口から泡を出すこともあります。腹腔内にたくさんの卵を持っている場合は、卵によって周囲の神経が圧迫されて、後肢の動きが悪くなることがあります。また、卵によって周囲の臓器を圧迫し、便や尿が出にくくなったり、腎不全を引き起こしたりすることもあります。卵が総排泄腔で詰まった場合、亀は激しく息みますが、この状態が長く続くとぐったりし、卵によって総排泄腔が塞がれて排便や排尿が完全にできなくなることがあります。このような状態になると、たとえ卵を取り出せたとしても体力が回復せずに亡くなってしまうことがあります。

カメは間隔をあけて何度かにわけて産卵する場合もあるので、一度産卵が終わったからといって、しばらく卵詰まりは大丈夫と安心してはいけません。雄を同居させていなくても、雌単独で無精卵を形成し詰まることがあります。

診断は、レントゲン検査、エコー検査などで行います。治療は、カルシウム剤やビタミン剤を投与します。それでも産卵しなければ、オキシトシンというホルモン剤も使用します。また、飼育環境の見直しも必要です。具体的には卵詰まりの亀に最適な温度や湿度で管理して適切な産卵場を用意します。リクガメでは特に温浴(35℃の温水で15分程度)を行うことも重要です。狭い場所で飼育している場合は卵詰まりが起きやすいです。適度な硬さの土も必要です。

内科的治療でよくならない場合は、食道瘻チューブで栄養を補ったり、最終手段は手術による卵の取り出しを行います。手術は爬虫類ならではの麻酔の問題がありますが、早期に行った方が救命率が高いです。


カメの卵詰まりのレントゲン


No.375 乳歯遺残

ヒトと同様、犬や猫も子犬、子猫の時期に乳歯から永久歯へと生え変わります。この時、本来であれば抜け落ちるはずの乳歯が、生え変わりの期間(約6-7カ月齢)を過ぎても抜け落ちずにそのまま残ってしまい、新たに生えてきた永久歯と併存してしまうことがあります。これを乳歯遺残といいます。

チワワやトイプードル、ポメラニアンなどの人気の小型犬種に多くみられます。猫でも起こります。犬歯が最も多くみられますが、切歯や臼歯にも起こります。乳歯遺残は、永久歯の生え方に影響する上、歯垢・歯石がつきやすく歯周病のリスクも高まるなど、長期的な歯の健康に関わります。

歯が生え変わる準備として、破骨細胞(はこつさいぼう)が乳歯の根元(歯根部)を溶かすことで乳歯が抜けやすくなるよう、かつ永久歯が生えてきやすいようにしているのですが、乳歯の根元がうまく吸収されない、永久歯が萌出する場所が正しくないなど、このプロセスに何らかの支障が出ると乳歯が抜けきれずに居残ってしまいます。7か月齢以上で乳歯が抜けていない場合、ほとんどの場合、乳歯遺残となり、そのままでは抜けません。抜歯には全身麻酔が必要なので、去勢手術や不妊手術時に抜歯をするのが推奨されます。


細い犬歯が乳歯遺残です


No.374 下剤

下剤はヒトでは多くの種類が薬局で売られています。動物では特に猫で便秘が問題になります。下剤の種類は大きく分けて、浸透圧性下剤、刺激性下剤、新しい下剤、漢方薬に分けられます。

浸透圧性下剤
マグネシウムやポリエチレングリコールは、大腸内で浸透圧維持のため腸壁から水分を奪い便を軟化することにより排便を容易にします。浸透圧性下剤はこの性質を利用して便の水分を増やし軟らかくし、排便がスムーズに行われるようにします。安全に使用できる下剤です。

刺激性下剤
大腸の腸内細菌によって大腸を刺激し蠕動を促進するタイプの下剤です。弛緩性便秘に向きます。良く効きますが、依存と耐性の問題があるので毎日使わないことが望ましいです。 ヒトでは大腸メラノーシス(大腸の黒化)の問題があります。

新しい下剤

・胆汁酸トランスポーター阻害剤(エロビキシバット水和物)
胆汁酸の体内への吸収を抑制します。蠕動や老廃物の排出にかかせない胆汁酸の不足は便秘を引き起こします。胆汁酸は食物の消化・吸収のため腸管内で働いた後、肝臓に吸収されれますが、この吸収を抑制することで腸管内の胆汁酸を増やし腸の働きを改善します。腸の蠕動を整えるイメージです。副作用は少なく妊娠中でも使用可能です(ヒト)。

・上皮機能変容薬(クロライドチャンネルアクチベーター)
小腸の粘膜上皮に作用し、腸管内への水分の分泌を増やす効果を利用しています。習慣性がみられず、副作用は少ないですが、ヒトでは、めまい、吐き気や嘔吐が報告されています。妊娠中は試用できません。

・グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト 腸管上皮細胞表面に存在するグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体に作用し、腸管内への水分分泌を促進することにより便通を改善します。また、求心性神経の痛覚過敏を改善することにより、腹痛・腹部不快感を改善します。

漢方薬
麻子仁丸(ましにがん)
防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
大柴胡湯(タイサイコトウ)
潤腸湯(じゅんちょうとう)等

一般的な下剤の使用時の注意は、
・便秘の原因を考えた処方
・用量や回数は個体差がある
・浸透圧性下剤→刺激性下剤の順で使用
・刺激性下剤を漫然と使用しない
・食事用法や運動も重要
などです。

新しい下剤は動物での報告が少なく、これから情報が増えてくると考えられます。漢方薬は量が多くなりがちで、動物に使うのが難しい場合が多いです。また、猫やフェレットに使用する場合は肝臓での薬の代謝がヒトとかなり違うので(グルクロン酸抱合がない)、新薬、漢方薬はとくに注意が必要です。

こちらもご参照下さい
No271猫の便秘


No.373 舌の浮腫み(むくみ)

今の時期、暑さだけでなく、湿気や水分の取り過ぎや冷房などの影響で、体内に水分が溜まり体が浮腫み、食欲が低下している場合が多くみられます。島国である日本は四方八方を海に囲まれているため、全方位から湿気が入り込みやすく、私たちは湿気にさらされやすい環境で生活しています。日本に住んでいる時点で湿気やすい下地ができています。

中医学では、過剰な湿気は胃腸を弱らせると考えられています。漢方では「胃腸(脾)は乾燥を好み、湿気を嫌う」と言われていて、湿気の多い梅雨や夏に、食欲不振や消化不良が多く、乾燥する秋には「食欲の秋」と銘打つほどに食欲が増し消化が良くなります。

湿気によって食欲が落ちている動物の舌をみると、舌苔が増えていたり、下の周辺がギザギザしていたり、浮腫んでいることがあります。このような舌の変化は体内の水分過剰のサインである場合が多く、胃液などの消化液が薄まっている状態と考えられます。消化液が薄まれば胃腸の働きが低下し体力も落ちて夏バテしやすくなります。また、唾液も薄まるために雑菌に対する抵抗力が弱くなり、口腔内や消化管の粘膜を保護する働きが低下するので、食中毒、歯周病などにかかりやすくなってしまいます。さらに、体内のバランスの調整力を失っているときは、熱中症にもなりやすくなります。

舌の変化は毎日見てあげることによって気付きやすくなります。食欲が低下して、舌がいつもと違うように見えたら、もう一度、温度や湿度などの生活環境を見直して消化の良いものを与えてみて下さい。それでも食欲が戻らなければ早目の受診がおすすめです。


舌の浮腫みに注意して下さい


No.372 血小板増多症

血小板とは、血液に含まれる細胞で、骨髄中の巨核球の細胞質から産生されます。主に、血管壁が損傷した時に集合して、その傷口をふさぎ止血する役割を持ちます。出血などで血管内皮細胞が傷害を受けると、血小板が血管内皮に接着し、血小板どうしが凝集し、傷口を塞いで血栓を形成します。これを一次止血と呼びます。その後、ここから凝固因子が放出されることによって、血液中にあるフィブリンが凝固し、さらに血小板や赤血球が捕らわれて強固な止血栓が完成します。これを二次止血と呼びます。これらが乾燥したものを一般に、「かさぶた」と呼びます。なお血小板は、出血などが起こらない限り、一定期間存在したのち脾臓で処理されます。血小板の基準値は犬や猫では20万~60万/μlです。60万/μlを大きく上回る場合を血小板増多症と呼びます。

血小板増加症の主な原因は、急性出血、慢性炎症、各種悪性腫瘍、脾臓機能低下、巨核芽性白血病、内分泌系疾患です。

ヒトでは頭痛、めまい、耳鳴りなどの血管運動症状がみられる場合がありますが、一般的に動物は無症状なことが多く、重度になると、血栓症や逆に止血異常が見られるようになります。

診断は、まずは出血のチェックを行います。レントゲン検査や超音波検査などの画像診断で腫瘍のチェックをします。副腎や甲状腺などの内分泌系の検査を行う場合もあります。そこで異常が見られない場合には骨髄での異常を検出するために骨髄の検査が必要です。

こちらもご参照下さい
No278免疫介在性血小板症


No.371 大腸性の下痢への対処

犬や猫やフェレットで、水分吸収を行う大腸に異常があって下痢が起こる大腸性下痢は、1回の便の量は正常かもしくは少なめで、回数は頻回になります。便の形状は軟便から液状で、大腸粘液が混ざっている場合は粘液便となります。多くは急性ですので体重の減少はあまり見られません。症状が長く続くと、身体がアシドーシスという状態になって呼吸が深く速くなることがあります。

成体で持病がなく、食欲もあって嘔吐や多飲多尿などの他の症状がない場合、原因は食べ過ぎや、食べ慣れないものを食べた、環境の変化、ストレスなどの単純なものが多いですが、幼体や高齢、持病がある場合は注意が必要です。

治療は、大腸を休ませることと安静です。食事は食べ慣れたものを、普段の半分の量から、次は6分目、その次は7分目と増やしていって、3日くらいかけて徐々に元の量に戻してみてください。脱水しないように水分は十分に採らせてください。お散歩は軽めにして、ドックランなどは回復するまで止めましょう。足やお尻を洗うくらいはよいですが、全身シャンプーも控えましょう。病院では、点滴や止瀉薬、整腸剤を使用することもあります。2-3日しても改善しない場合、嘔吐や血便、食欲不振、発熱などがあれば早目にご来院下さい。

また、ウサギやチンチラ、ハムスター、ジリスなどの齧歯類の下痢は、犬や猫と違って重症であることが多いので、様子をみることはせずに早目の治療が必要です。

こちらもご参照下さい
No123下痢


No.370 ハムスターのウェットテイル

ハムスターのウェットテイルとは、尻尾が水溶性の下痢や腸からの分泌物よって濡れた状態になるためにこのように呼ばれます。幼体のハムスターでよくみられる症状で、重篤化しやすく生命に関わることもある消化器病です。正式な名称は増殖性回腸炎または伝染性回腸炎といいます。

ウェットテイルは、カンピロバクターなどの腸内細菌、酵母型真菌、ウィルス、トリコモナス、ジアルジアなど原虫感染をはじめとする寄生虫感染、不適切な食事、ストレスなどの原因が様々に関わって発症すると考えられています。

症状は、尾部、臀部、尻尾周辺が水溶性下痢で濡れている状態になります。ひどい場合は下半身がずぶ濡れに見えるようになることもあります、黄色下痢や水様性下痢が続いて脱水症状を伴っていることが多いです。食欲不振からの栄養不良が長引くと体重減少、削痩を呈し次第に衰弱していきます。下痢による激しいしぶりは腸閉塞や直腸脱などの生命に関わる重大な合併症を引き起こすこともあります。

診断は、まずは身体検査でお尻周りの汚れがないかを確認します。食欲不振を訴えて来院したハムスターのお尻周りが下痢便によって汚れていることが診察室で発見されることもよくあります。下痢の量が少ない場合には飼主さんがこういった変化に気づくのは難しいこともあります。外見でウェットテイルの状態を確認したら、糞便検査でジアルジアやトリコモナス原虫などの寄生虫の異常な増加や、増殖して運動性を増した腸内細菌がいないかどうかを調べます。多くの場合典型的な症状に加えて、糞便検査で細菌や寄生虫感染が認められます。

治療は、糞便検査で確認された原因によって抗生剤や抗菌剤、駆虫薬の投与を行い、下痢による脱水を予防ないし改善させるための皮下輸液などの支持療法が必要となります。重症化して腸閉塞や直腸脱が起こった場合は緊急手術が必要になることが多いです。軟便くらいのうちに早目に対処することが重要です。

また、ご自宅に迎えたころに、寄生虫などがいないかどうか、検便を含め全身のチェックを病院で受けておくことが推奨されます。ハムスターに最適な環境管理がなされていない場合にも発症し易いため、ハムスターが生活するのに適した温度(20~26度)や湿度(40~60%)を常に保つようにしましょう。また、オガクズの床敷きはやめて、紙製なものか牧草を使いましょう。


ハウスターの軟便。この段階で対処しましょう。

こちらもご参照下さい
No346ハムスター、チンチラの直腸脱
No54動物が快適な気温・湿度