No.329 便秘はなぜ悪い

便秘の時には、気持ち悪さや腹痛を伴うことが多いです。このような便秘時の症状を便秘型IBS(過敏性腸症候群) といいます。しかし、それ以外にも便秘は体にダメージを与えます。

腸の働きは、食物から栄養分を吸収し、不要なものを便として排泄するのが最も重要な機能です。しかし、ヒトの研究ですが最近わかってきたことがあります。腸は「第2の脳」とも呼ばれ「考える臓器」でもあるのです。脳内の神経伝達物質であり、精神を安定させる作用を持つ、セロトニンの90%以上が腸で作られるという報告もあります。また、ドーパミンという快楽に関係した作用を持つ神経伝達物質も、50%程度が腸で作られるとされています。ストレスなどで腸の働きが落ちるとセロトニンやドーパミンの分泌が低下します。そうすると、鬱病などの心の病気になってしまいます。また、ヒトの腸内には約1億個以上の神経細胞があり、網目状のネットワークを構成しています。この神経細胞は脳からの司令を受けることなく機能しています。すなわち腸には自律機能があります。

便秘の定義はまだきちんと決まったものがありません。しかし、食べたものが消化され排便されるまでの時間はヒトでは24時間が目安ですから、1日1回以上の排便がなければ厳密な意味では便秘ということになります。便が長期間腸内に留まると腸内細菌叢(腸内フローラ)に悪影響を及ぼします。腸内細菌叢は、乳酸菌、ビフィズス菌など約5000種類の菌が600~1000兆個あり身体を守っています。腸内細菌叢の具体的な働きは、免疫力を高める、感染防御、消化吸収の援助、ビタミンの合成、腸管運動を促進させるなどです。また、ヒトが持つ免疫細胞の70%以上が腸に存在していると考えられていて、いわゆる善玉菌が減り悪玉菌が増えると、発癌物質、発癌促進物質、アンモニア、硫化水素、メタン、活性酸素などの有害物質を発生させます。これらはIBSの原因にもなります。便秘の時のおならが臭いのもこのせいです。そして、これらの有害物質が腸壁から吸収され、下痢や便秘の他にも、肌荒れや疲労感、アトピー、口臭、高血圧、糖尿病、肥満、炎症性腸疾患、癌などを引き起こすと考えられています。動物での研究はまだまだですが、おそらくヒトと同じ様なことが起こっていると推察されます。


図はNexWelさんのウェブサイトから引用

こちらもご参照下さい
No314慢性腎不全(CKD)と便秘
No304糖尿病
No280リンパ球形質細胞性腸炎(LPE)と炎症性腸疾患(IBD)
No271猫の便秘
No259高血圧
No163脳腸相関
No164脳-腸-微生物相関


No.328 尿石症:腎・尿管・膀胱・尿道結石

腎臓・尿管・膀胱・尿道の尿路系に結石ができることを尿石症といいます。結石がどこに形成されるかによって名称が異なり、腎臓にできれば腎結石、膀胱と腎臓をつなぐ尿管内にできれば尿管結石(→No158猫の尿管結石)、膀胱内にできれば膀胱結石、尿道内にできれば尿道結石と呼びます。結石の種類にはいくつかあり、ストラバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸アンモニウム、シスチンが代表的ですが、これらが混合してできる場合もあります。犬猫だけでなく、どの動物種でも起こる可能性があります。

多くは遺伝的な素因が原因となりますが、活動性の低下や肥満、栄養摂取、飲水量にも関連していると考えられています。また尿路感染症や副腎機能亢進症、門脈体循環シャントなど多くの病気とも関連性が知られており、特に尿路感染症は併発していることが多いです。また尿道結石の場合、ほとんどがオス犬やオス猫で見られます。これはオスの方がメスよりも尿道が細いため、結石が尿道につまりやすいためです。

尿石症における主な症状は、血尿や排尿痛、排尿困難など排尿に関わる問題が挙げられます。しかし腎結石や尿管結石などの場合は特定の症状として見られることは少なく、状況によって元気食欲の低下や発熱、腎障害などが見られることがあります。「おしっこが出ない」「何度もトイレに行く」「排尿時に変な鳴き声をする」「血尿がでる」といった症状があれば膀胱結石や尿道結石などの可能性があります。「食欲がない」「元気がない」「お腹を痛そうに丸めている」といった症状は他の病気にも当てはまりますが、尿管結石などによる腹痛や腎結石の可能性も考えられます。無症状のこともあるので注意が必要です。

診断は、症状、尿検査、画像検査、血液検査によって行います。尿検査では、尿中に結石の成分である結晶や細菌感染、炎症の有無などを見ることができます。特に膀胱結石や尿道結石などの下部尿路の結石は見つけやすいです。画像検査では、腹部のレントゲン検査や超音波検査を行うことで、腎臓、尿管、膀胱、尿道内のどこに結石が存在するのかを判断することができます。血液検査では、結石によって腎不全や炎症、感染などを引き起こしていないか、他の病気が隠れていないかを評価することができるため、全身状態の把握を行うことが可能です。

結石の存在する場所によって治療法が異なりますが、多くは結石を外科的に摘出する必要があります。ただし、ストラバイト結石などは大きさにより、食事療法による内科治療で結石を溶かすことができることもあります。そのため結石の種類を同定することは重要です。どんな結石の場合も食事療法の併用が重要となります。腎結石の場合は、症状や悪影響を認めない限り、食事療法のみで経過観察を行うことも多いです。尿管結石の場合は、腎不全を引き起こし命に関わることもありますので、内科的治療への反応が悪ければ、早期の外科治療が必要です。膀胱結石の場合は結石の大きさや症状によって外科的に摘出する場合と経過観察をする場合があります。尿道結石の場合は、尿が出なくなっている場合が多いので、緊急の処置が必要です。

予防は水分をしっかり取ること、尿を我慢させないこと、食事の見直し、定期的な健康診断です。


犬の膀胱結石


No.327 ウサギの骨折

ジャンプ力に優れているウサギの骨は、ヒトや犬、猫などと比較するとずっと軽くて薄く、脆いです。体重に対して骨の占める割合を比べると、人間は18%、犬は14%、猫は13%に対し、ウサギは7%です。ウサギは、外敵から逃げやすくするために骨が軽くなったといわれています。そのため、外傷では骨折がとても多いです。特に肢や腰の骨の骨折が多いですが、全身の骨が脆いのであらゆる骨を骨折します。

骨折の原因は、高い場所からの落下、着地の失敗、誤ってヒトに踏まれる、ケージやドアに挟まる、すのこに肢を引っ掛ける、抱っこを嫌がり暴れるなどですが、筋肉量に対して骨の量が少ないため、自分の筋力(いわゆる足ダンでも)で骨折を起こしてしまうことがあります。また、病気(上皮小体機能亢進症や骨粗鬆症、腫瘍など)に付随して起こる場合もあります。

治療は、骨をピンやプレート(→No180ロッキングプレート)で固定する手術、バンテージでの固定、ケージレスト(動きを制限すること)などを組み合わせて行います。骨折した部位や受傷部位の状態、うさぎの年齢や一般状態などにより、どの治療方法を取るかを判断しますが、体が小さい場合が多く、プレートなどの強固な固定が可能なインプラントが使えない場合があるのと、骨が脆いため、犬や猫よりも治療が難しい場合が多いです。

骨折の治療はウサギに限らず、最初の2週間がとても重要です。自己治癒能力で、骨折を治すための細胞や蛋白がどんどん産生されるのが初めの2週間です。また、術後の安静も重要です。ウサギは穴を掘るのが好きなため、とくに前肢の骨折では、環境の整備やきちんとした看護が必要です。繰り返しになりますが、骨が脆いため、犬や猫なら2-3ヶ月くらいで完治するものがウサギはそれ以上かかります。最悪の場合断脚の可能性もあります。


ウサギの橈尺骨折 ピンディングでの治療


No.326 口蓋裂(Cleft palate)

口蓋裂(こうがいれつ)とは、上顎に亀裂があり、口腔と鼻腔がつながってしまってる状態です。 鼻水、くしゃみ、咳、口臭、食欲不振などの症状が見られます。 子犬・子猫の場合は、ミルクなどがうまく飲み込めずに肺に入ってしまい、呼吸困難や誤嚥性肺炎などを引き起こすことがあります。長く放っておくと副鼻腔炎(→No312副鼻腔炎)を発症する場合もあります。

口蓋裂の原因は先天的な形態異常のことが多いです。 先天的な発症の原因としては、胎児のころに母犬や母猫への薬物投与が行われたことやウイルス感染したことなどが挙げられますが、 遺伝性の要因が多いと考えられています。口蓋裂がある場合は、他の先天性の異常がある場合も多いので注意が必要です。後天的な発症の原因としては、交通事故や落下事故、感電などが挙げられます。

治療は、外科手術によって裂けている口蓋をふさぎます。離開している場所や大きさ、年齢などにもよりますが、口蓋裂の手術は難しく、中途半端に行うと再発します。通常は、硬口蓋でフラップを作り口蓋裂を閉じます。それでもダメな場合は、抜歯をして唇の粘膜の移植をします。術後すぐは痛みも強く、すぐに食事はできないので、食道瘻チューブや胃瘻チューブ(→No325胃瘻チューブ)から与えます。入院も7-10日間程度は必要です。複数回の手術が必要になることもあります 。飲水や食事のたびに苦しいので、早目に手術をしてあげたい疾患です。誤嚥性肺炎や副鼻腔炎を予防するためにも早期治療が必要です。


猫の口蓋裂


左唇の粘膜の移植手術後


No.325 胃瘻チューブ (PEGチューブ)

何らかの理由で食事が取れなくなった動物に対し、体の外から胃に直接食べ物を運ぶ道を胃瘻(いろう)と呼び、そのチューブを胃瘻チューブといいます。口や喉の病気で物理的に食べることが出来なくなってしまって長期間食事が出来ない場合や、大きな病気で食欲がなくなってしまい治るための栄養が足りなくなる場合などに、体に充分な栄養を与えるために行う治療です。化学療法を行う場合も設置することがあります。

胃瘻とは直接胃に設置するチューブ全般を指しますが、PEGとはPercutaneous Endoscopic Gastrostomyの略であり、消化管内視鏡を用いて設置する胃瘻チューブのことを指します。全身麻酔は必要ですが、通常15-20分で設置可能です。消化管内視鏡を用いずに開腹手術にて直接チューブを設置する場合もあります。

病気と闘うためには栄養が必要です。動物が十分に食事を取ってくれている場合には栄養が足りていますが、大きな病気と戦っている時に食欲が減ってしまうことは少なくありません。動物がご飯を食べることを嫌がる場合にはヒトが助けてあげなくてはいけません。強制給餌では、流動食などを動物の口に運んであげて食べさせる必要がありますが、なかなか食べてくれないことも珍しくありません。一生懸命食べて貰おうとしても逃げてしまったり、嫌がって口を閉ざしてしまうこともあります。口や喉の病気などでは飲み込むことが出来ない場合もあります。そんな場合にはチューブを使って直接胃に送ってあげることで必要な栄養を取ることが出来ます。

胃にチューブを設置するということに抵抗感がある飼主さんは多いと思います。しかし、胃瘻チューブによって動物は口からイヤイヤご飯を食べなくても栄養を取ることが出来ます。動物はじっとしているだけですみますし、飼い主さんも嫌がる動物に無理をせずに治療を行うことが可能となります。同時に薬も入れることも可能です。全身麻酔の負担はありますが、それを乗り越えてしまえばメリットの方が多いです。胃瘻チューブの設置は積極的な治療のために行うことであり、”無理な延命”のために行うものではありません。病気と闘っている動物を助けてあげるとても大事な方法の1つです。


胃瘻チューブ


No.324 ヒョウモントカゲモドキ (Leopard gecko)

ヒョウモントカゲモドキの人気がすごいです。女優の新垣結衣さんも飼っているそうです。ヒョウモントカゲモドキはレオパードゲッコー(レオパ)とも呼ばれ、全長18-25cm、体重45-60gの小型のトカゲで、夜行性、元々は乾燥地帯の地上にハーレム(♂1頭に数頭の♀)で住んでいて、至適温度は昼24-28℃、夜18-24℃で、湿度は40-60%です。卵生(楕円形2個/回、年に最大6回)、昆虫、節足動物、小型両生類・爬虫類を食べる動物食です。水分は夜霧や朝霧で取ります。舌が長く、自分の眼も舐めることができます。腋窩にポケットがあります(役割はわかっていません)、寿命は10-15年くらいです。尾が太い時は健康状態が良いです。性格は温和で咬みつくことがなく、動きも早くないのでペットに向いています。

以下の様な疾患が多いです。
・先天性のブドウ膜炎、緑内障
・床材等の誤食
・低カルシウム血症:チックや異常行動が出ます
・総排泄腔脱、直腸脱:消化管のうっ滞、誤食、MBD(→No323代謝性骨疾患)も原因となります
・脱皮不全:乾燥しすぎる環境が原因になることが多いです。指先の壊死や眼瞼の異常が出ます
・顔の膿瘍(→No311齧歯類と爬虫類の膿瘍)
・ヘミペニス脱
・卵胞のうっ滞・卵塞:栄養が良すぎて、産卵を繰り返すとなりやすいです
・クリプトスポロジウム症:腸炎を起こし痩せていきます
・尾の自切:栄養状態が悪いと切れやすいです
ほとんどの疾患が生活環境や食事を気を付けることで予防できます。

ヒョウモントカゲモドキは飼いやすいです


No.323 代謝性骨疾患 (Metabolic bone disease:MBD)

代謝性骨疾患は爬虫類・両生類でよくみられます。様々な理由により体内のカルシウムが不足して起こりますが、主な原因は、カルシウム・ビタミンDの不足、紫外線不足、リンの過剰摂取です。カルシウムは、丈夫な骨や甲羅の形成に必要不可欠なミネラル分ですが、爬虫類・両生類飼育において不足しがちです。体は血中のカルシウム濃度が低下すると、骨からカルシウムを放出して不足分を補います。骨から放出した分のカルシウムを正常に再供給できない場合、低カルシウム血症による症状と、骨の変形が起こります。

低カルシウム血症による症状
・食欲不振
・活力の低下
・チック(急に出現する運動や音声が不随意に繰り返し出現する状態)
・痙攣
・異常行動
・総排泄腔脱
・便秘
・卵塞

骨の変形
・各部の骨の変形(とくに下顎骨)
・嘴の変形(受け口)
・病的骨折
・骨が太く脆くなる
・歩き方がおかしくなる
・甲羅の変形(亀)
・甲羅が柔らかくなる(亀)

治療はカルシウムとビタミンの投与、紫外線の照射です。状態が上がってくるまでは、強制給餌や点滴なども必要です。予防には適切な食事内容を考えることが第一です。主にカルシウムやビタミンDといったサプリメントを上手に使うことが重要です。このほか、有効な紫外線の照射や適切な飼育温度を保つこと、十分に運動できるスペースを確保することも大切です。


上腕の病的骨折


No.322 去勢手術 (Castration)

去勢手術の流れについてご説明します。手術中の写真が苦手な方は見ない様にして下さい。去勢手術のメリット・デメリットについてはこちらをご参照下さい。(→No125 去勢手術・不妊手術)

1.全身麻酔下(→No117 全身麻酔)で剃毛し、睾丸の頭側を切開します(写真、右側が頭側です)。皮下組織を剥離し、筋膜を切り、筋肉を剥離し、睾丸にアプローチします。
術中写真1

2.睾丸を展開して腹腔外に出します。
術中写真2

3.デバイス(→No275 外科手術用エネルギーデバイス)を用い血管と組織を切断します。吸収性縫合糸で結紮し切断する場合もあります。精管と血管を用いて結紮することも出来ます。2と3を左右行います。
術中写真3

4.漿膜・皮下組織を縫合します。猫の場合は縫合が必要ありません。
術中写真4

5.皮膚を縫合します。ステープラー(外科用ホッチキス)を使用することもあります。猫の場合は縫合は必要ありません。
術中写真5

6.取り出した睾丸。
術中写真6

7.実際の手術時間は5分くらいです。出血もほとんどありません。上記の写真はいずれも小型犬のものですが、猫やフェレット、ウサギでも切開部位が若干違うくらいで手順はほぼ同じです。当院では1泊の入院をしていただいていますが当日返しも可能です。抜糸は術後1週間くらいで行います。猫の場合は抜糸も必要ありません。


No.321 セキセイインコの肥満

セキセイインコは肥満になりやすい動物です。個体差がありますが、
40g以上 肥満
40-35g 太り気味
35-30g 適正
30-25g 痩せ気味
25g以下 痩せ過ぎ
が、目安です。普段からご自宅でも週に1度くらいの体重測定を行うと良いです。

体重以外にも、胸やお腹が膨らむ、飛ばなくなる、便秘、便の切れが悪くなるなどは肥満のサインかもしれません。

肥満になる原因は、病気、加齢による代謝の減少、食べすぎ、運動不足などです。病気の場合、甲状腺腫や甲状腺機能低下症が原因の場合が多いです。甲状腺の機能が低下すると代謝が悪くなり肥満となります。加齢の場合は運動量が減り代謝が悪くなります。脂肪分の高い食事を控え老鳥用などのフードに切り替えましょう。遊んであげたり放鳥も必要です。

しかし、1番多い理由は食べ過ぎです。通常セキセイインコは、1度にたくさん食べるのではなく、自分でペース配分をしながら1日に必要な量を数回にわけて摂取します。太っているインコは、さまざまな理由からペース配分を誤り食べ過ぎてしまいます。

太って来たなと感じたら、まずは甲状腺の病気などがないか判断し、生活環境を見直しましょう。太りやすい環境は
・おやつを入れっぱなし(粟穂、かじりま専科など)
・脂肪分の多い餌を与えている(カナリヤシード、オーツ麦、麻の実など)
・放鳥時間や遊ぶ時間が短いなどの運動不足(おもちゃを上手く使ってください)
・羽切り(クリッピング)をしている
・睡眠時間が短い(1日12時間以上暗くしましょう)
・食べる事以外の楽しみがない
・一度にたくさんの食事を入れてしまう
上記のような環境であれば改善が必要です。


肥満(55g)のセキセイインコ


No.320 フレンチブルドッグの中耳炎

フレンチブルドッグは人気犬種ですが中耳炎(→No319中耳炎)の発症が増えています。通常、中耳炎は外耳炎が波及して発症しますが、フレンチブルドッグの中耳炎は、一見外耳道はきれいなのに、中耳の炎症・感染が起こります。若い犬で多く進行も早いです。解剖学的・遺伝的素因が原因とされていますが、実際にはよくわかっていません。

症状は、耳の痒みや痛み、耳垢の変化、耳の臭いの異常、症状が進めば、内耳にも炎症が波及して、斜頸や眼振、顔面神経麻痺などの神経症状も出ますが、無症状の場合も多いです。無症状だったのに急に中耳炎の症状を発症します。とてもやっかいな疾患です。

中耳炎の確定診断には、麻酔下でのビデオオトスコープ(VOS)、CT、MRIが必要ですが、日頃から外耳道を精査し、とくに水平道に異常があれば、なるべく早くの詳細な検査が推奨されます。

中耳炎の治療は、通常全身麻酔下で行います。一度悪くなった中耳や外耳道は完全には元に戻りません。病態が進行してしまうと、外耳道亜全摘出などの大きな手術が必要となります。予防は外耳道の観察、お手入れくらいしかなく、目に見えての症状が少ないので、早期発見もなかなか困難ですが、フレンチブルドッグの飼主さんは中耳炎に注意して下さい。


フレンチブルドッグは中耳炎に注意

こちらもご参照下さい
No319中耳炎