No.145 犬の行動学

犬の精神年齢はヒトの2-3歳、学習能力は9歳くらいと言われています。犬の行動学も日進月歩です。一昔前に信じられていたことが、実は違っていたとされることも多いです。

例を1つ挙げると、犬はパックと呼ばれる特殊な群れで生活する狼を先祖に持つので、群れの中の階級を重要視していて、ヒトとの生活の中でも家族の中に順位を付けていて、この順位がヒトより犬の方が上だと問題行動が起こる。と当然のように言われてきました。しかし、近年の研究で、犬はリーダーを筆頭とした階級社会を意識して生活しているわけではないということが分かってきました。家族の中でも自分に甘い人の言う事は聞かず、厳しく接する人の言う事は聞く、飼主さんの言う事は聞かず、訓練士さんの言う事はよく聞く、などということはあると思いますが、単純ではありません。基本的には犬は自分にどんな損得があるか、今が快適かどうかを考えて生活しているというのが現在の見解です。

同様に、以下のことはみんなオッケーです。
・犬が先に食べる
・犬がソファーやベッドの上で寝る
・犬がドアから先に出る
・散歩で犬が先に歩く
・寝転んでいる人の上で遊ぶ

上記のようなことで、犬が上位に立つとか人をバカにするというような問題はありません。このようなことに対して叱り続けると犬は混乱します。自分の何倍もある動物に意味のわからない言葉を強い調子で言われたら怖いですよね。一昔前に言われていた、アルファシンドロームや権勢症候群などは、ほとんどが、犬の社会化が上手くいっていないためにどうふるまったらよいかわからない(犬の社会化は4ヶ月齢までが大事です)、もしくは、ヒトが犬を理解していなくて、強い不安を与えて攻撃的になってしまっている状態です。古い常識にとらわれずに、愛情を持って行動をよく観察してみて下さい。

今回のメルマガは入交眞巳先生(日本ヒルズコルゲート株式会社)のセミナーを参考にしています。