No.58 外耳炎2 Otitis externa

外耳炎の治療のポイントは、対症療法と病因に対する治療があります。

対症療法

・異物(耳毛、耳垢、耳漏、寄生虫など)の除去:耳洗

・炎症の沈静化

・持続因子・悪化因子の除去:内科的、外科的対応

病因に対する治療(素因・原因への対応)

・外用療法、全身療法

どんな病気でもそうですが、外耳炎も軽度なうちは簡単に治癒しますが、病因が複雑な場合や慢性化したものは根気がいります。とくにブドウ球菌、緑膿菌などのやっかいな細菌の感染がある場合、ポリープなどによって耳道が狭められてしまっている場合、潰瘍を作っている場合、アトピーやアレルギーが関与している場合は治療に時間がかかることが多いです。また、アメリカンコッカースパニエル、フレンチブルドッグは、外耳炎が慢性化しやすい傾向があります。外耳道の外科が必要になる犬の80%以上がこの2品種です。また、スコティシュフォールド、アメリカンカールなどの耳の軟骨がもともと変性している猫も日頃のケアを十分にすることが必要です。

予防、お手入れのポイントは、

異物の除去:耳毛、耳垢の除去

洗浄:ベトつかないものを使用する。合剤を使用しない。

この2点が重要です。

耳毛は、毛の生えやすい品種、そうでない品種いろいろありますが、基本的には、1ヶ月に1度くらいの割合で抜くか切るかすることが必要です。

洗浄は、油性のものは奥まで届きませんし残ってしまうことがあるので、日々のケアには向きません。また、抗生剤+抗真菌剤+ステロイド剤などといった合剤の使用を漫然と続けていると、ブドウ球菌、緑膿菌などの薬剤耐性菌の出現や薬疹のリスクが高まります。必ず刺激の少ない洗浄液を使用しましょう。また、外耳道は粘膜なので、毎日触ってしまうと、トラブルが生じやすくなります。症状がある耳では週に1~3回、健康な耳の場合は月に2~4回ぐらいのケアが適当です。

また、綿棒などで耳をほじくるのは、うまくやらないと汚れを耳の奥に押し込むことになります。洗浄液を入れて、出てきた汚れをふき取るようなイメージで行って下さい。