No.229 様子を見る

「様子を見る」という対応のことを「経過観察」といいます。「経過観察」は、獣医師が動物に対して行う「医療行為」の選択肢の一つです。

「経過観察」とは、「何もしない」ではなく、「治療介入せずに様子を見てみる」という意味です。病気の中には、初期の段階で、症状や検査結果に軽微な変化しか表れず、診断がつきにくいものがたくさんあります。こういう段階から、効果が期待できるわけでもない中途半端な治療を加えると、症状や検査値が変化し、ますます正確な診断から遠ざかってしまいます。

「様子を見ましょう」は、「治療せずに、数日あるいは数週間、数カ月の一定期間をおいてからもう一度診察や検査をしましょう」「治療をせずに経過を見て、何らかの症状の変化があった段階でもう一度受診をして下さい」という判断です。

大切なことは、この経過観察期間の後、動物の体にどんな変化があったか、あるいは何も変化がなかったかを最も正確に判断できるのは、「経過観察」という方針を選択した獣医師だけだということです。

よく「1週間くらい前から軽い下痢が続いてます。病院に行った方がよいでしょうか?」といった相談のお電話があります。こういう質問をされて「連れて来なくても大丈夫ですよ」と答えることはまずできません。診察せず、飼主さんの語る主観的な情報だけを頼りに「経過観察」という医療行為を行うことが危険だからです。

『様子をみることは全ての病気に対して選択肢の1つであるが、それが1番良い選択であることは少ない』日本一の獣医臨床病理診断医、平田雅彦先生の言葉です。


No.228 猫コロナウイルス(Feline coronavirus: FCoV)と猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫コロナウイルスは、多くの猫が保有しているウイルスで、猫腸コロナウイルス(FECV)と、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)があります。この2つは非常に似ているため検査で区別することが困難です。症状は、猫腸コロナウイルスは、軽い下痢などの消化器症状を引き起こす程度ですが、猫伝染性腹膜炎ウイルスは、致死性の高い猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症させます。

猫コロナウイルスの感染経路は明らかになっていませんが、糞便や唾液中のウイルスが口や鼻を介して感染すると考えられています。猫から猫へ容易に感染するのは猫腸コロナウイルスです。一方、猫伝染性腹膜炎ウイルスの感染力は弱く、猫から猫への感染はないと考えられています。現在のところ、FIPは、猫腸コロナウイルスに感染した猫の体内で、ウイルスが突然変異を起こすことで発症すると考えられています。猫からヒトや犬などの他の動物種には感染しません。

FIPを発症すると、血管に炎症が生じ、腹膜(胃や肝臓など臓器の表面とそれらの臓器がおさまっている腹腔を包んでいる膜)に炎症が起こります。症状はウェットタイプとドライタイプの2つに分類されますが、どちらのタイプも初期症状は、発熱や食欲低下など、どんな病気にもよくある症状です。多くの場合治療への反応が悪く、診断後、数日から数ヶ月で亡くなってしまう致死率の高い病気です。

1. ウェットタイプ
多くがこのタイプです。体重減少・元気減退・発熱等の症状とともに、腹水や胸水が溜まり、肺を圧迫することにより呼吸困難などの症状を起こします。病原性が高く、多くの場合2か月以内に死亡します。

2. ドライタイプ
体重減少・元気減退・発熱等の症状とともに、眼にぶどう膜炎や虹彩炎などの症状を起こしたり、脳内に炎症を起こし、麻痺や痙攣などの神経症状を起こします。腎臓や肝臓・腸にも異常が現れることがあります。ウェットタイプに比べ、やや慢性的な経過をたどる傾向がありますが、これもまたほとんどの場合は致死的です。

猫コロナウイルスの感染を調べるには、血液中の抗体を調べる検査が一般的です。その他にも血液や糞便中のウイルスを検出する遺伝子検査(PCR検査)も行われることがあります。腹水や胸水を用いて遺伝子検査を行うこともありますが、現在、いずれの検査も猫腸コロナウイルスと、猫伝染性腹膜炎ウイルスを区別することはできません。そのため、猫コロナウイルスの抗体価が高い、ウイルスが陽性など、ウイルス感染がある場合でも、症状と併せて、総合的に、猫腸コロナウイルスを保有しているだけの状態なのか、FIPを発症している可能性が高いのかなどを判断する必要があります。

FIPは、全年齢の猫で発症がみられますが、多くは1歳未満の幼猫で発症します。愛らしい仔猫の時期に本当に切ない病気です。FIPの発症は、免疫抑制を起こすウイルス感染や、環境のストレスなどが関与していると考えられていて、多頭飼育下でFIPが発生した場合には、その集団での発生率は高くなることが知られています。

FIPの治療は、抗生物質、抗炎症剤等の投与と併せて、症状により胸水や腹水の抜去、栄養保持などの対象療法を行います。代替療法を用いる場合もあります。治療への反応が悪いことが多く、現在のところ完全に治す治療法はありません。最近、エボラ出血熱治療薬の研究の中で発見された、GS-441524という研究用試薬がFIPに効果があるという実験結果が出ましたが、エボラ出血熱の治療を優先すべく、猫に対しては認可を申請していません。インターネットなどで高額で販売されているのを見かけますが、現在のところ闇の薬です。ワクチンも海外にはありますが、きちんとした効果は確認できていません。1日も早く良い治療法が確立されて欲しい疾患の1つです。


No.227 高齢犬に対するフィラリアやワクチンなどの予防

高齢の犬に対して、狂犬病や混合ワクチンといった予防注射や、フィラリアやノミ、ダニの予防を行うかどうかは飼主さんにとっても迷うことの一つでしょう。個々に考えてみましょう。

狂犬病の予防注射については、日本では生後91日以上の犬に対して接種が義務付けられています。狂犬病は日本での発生こそ50年以上ありませんが、インドや中国、その他いくつかの国々でも、いまだに毎年多くのヒトが亡くなっている怖ろしい病気です。法的にも、高齢だけを理由に狂犬病予防注射を接種しないということはできません。健康状態に問題がある場合には、動物病院で狂犬病予防注射猶予証明書を発行することができます。猶予証明書は毎年必要です。

混合ワクチンについては、健康状態、飼育されている環境によって判断します。健康状態に問題がある場合や、ワクチンの効果を消してしまうような薬を飲んでいる時は接種することはできません。また、伝染病の流行地域に住んでいる場合は、接種のメリットがデメリットを上回ると考えられます。混合ワクチンの接種を行わないと、ペットホテルやドッグラン、ドッグカフェなどの施設を利用することが出来なくなる場合があります。抗体価検査を行うという方法もあります。

フィラリアにおいては、蚊に刺される環境にないのであれば、予防薬の投与は必要ありませんが、少しでも感染の可能性があれば投与すべきでしょう。ノミやダニにおいても、お散歩に行けないくらいの高齢な場合は予防する必要はありません。

現在のワクチンや各種予防薬は、かなり安全性の高いものになっています。迷った場合は獣医師と相談して、一番良い選択をしてあげて下さい。

こちらもご参照ください
No7 狂犬病予防注射
No11 フィラリア予防
No47 狂犬病予防注射について
No136 抗体価検査


No.226 猫に食べてもらう方法

猫が食べなくなったときは、病気、気まぐれ、フードに飽きた、食物嫌悪のどれかを考えます。食物嫌悪というのは、ある食事が、苦痛や不快な経験、消化管の問題と関連した場合に(関連していない場合もあります)、その食事を避ける現象です。ヒトが牡蠣に当たったときに牡蠣が食べられなくなることに似ています。徴候としては、フードの匂いを嗅いで退く、一口味見して退く、食事を見せたり与えたりすると流涎や嘔吐などがみられ、40日間くらい続くといわれています。

猫に食べてもらう方法を挙げてみます。
違うフードを与えてみる:フードに飽きている場合はこれが一番です
風味の良いフードを与える:猫は開けたてのフードを好みます。また、食事を出しっぱなしにしないことも大事です
加温する:猫は35-40℃のものが好きです。ドライフードもレンジで加温できます
食感を変える:お湯でふやかす、ドライとウェット両方を与えてみるなど、食感を変えてみましょう
食器や盛り方に注意する:猫は髭が食器やフードに触ることが嫌いです。大きな食器の真ん中にフードを盛ってみましょう
フレーバーを加える:鰹節などを振りかけてみましょう。煮干しより鰹節の方が結石をつくりづらいです
落ち着く場所で与える:とくに多頭飼育の場合は、1匹で落ち着いて食べられる場所を作ってあげてください
食器を台の上に置く:シニアの場合は首を下げると痛みや違和感があり、食事をしない場合があります手で与える:ヒトの手で優しく与えると食べてくれる場合があります
投薬は食事と関係のない時間に:食事と一緒に与えなければいけない薬以外は関係のないタイミングで与えてください。嫌なことの後すぐに食事を与えないようにしましょう
運動:適度な運動も重要です


No.225 猫の食事

猫と暮らしていて、食事の悩みを持ったことがあるヒトは91.8%という統計があります。ほとんどの方が食事の悩みを持ったことがあるということです。1860年にロンドン在住のアメリカ人、ジェームス・スプラッド氏がはじめてのドッグフードを作り、猫用缶詰は1950年代に、ドライフードは1960年代にアメリカで登場しました。まだまだ歴史は浅いです。

猫のフードも犬同様に、ドライ、セミモイスト、ウェット、手作りとあります。それぞれのメリット・デメリットを考えてみましょう。

ドライフード
メリット:いたみにくく長期保存が可能、歯石が溜まりにくい、ほとんどが総合栄養食、経済的
デメリット:水分がとりにくい、添加物が多い
セミモイストフード
メリット:比較的長期間の保存が効く、ドライフードに比べて美味しい
デメリット:添加物・保存料が多い、糖分が多く太りやすい
ウェットフード
メリット:美味しい、水分をとりやすい
デメリット:いたみやすい、総合栄養食が少ない、ドライフードに比べると歯石が若干溜まりやすい、添加物が入っている
手作りごはん
メリット:美味しい、添加物が少ない
デメリット:歯石が若干溜まりやすい、栄養のバランスをとるのが難しい

猫に喜んで食事を食べてもらうには、犬より大変な場合が多いです。食事に影響する要因としては
猫としての本能:肉食動物、ハンター、単独生活
母猫の影響:妊娠期、授乳期
居住スタイル:ライフスタイル、場所、気温、状況
食事の履歴
などがあります。

猫が食べ物を選ぶ基準は1.匂い、2.形・大きさ、3.食感、4.味、5.栄養バランスの順といわれています。犬やヒトとの味覚の大きな違いは、猫は甘味受容体を形成するためのTas1r2遺伝子が欠損しているので、甘味を感じることができず苦味に敏感なところです。また、嗅覚受容体がヒトの何百倍もあるため匂いにとても敏感です。色もヒトとは違うように見えているといわれています。ドライフードなどにはカラフルなものもありますが着色剤が多くなるだけで、あまり意味はありません。


No.224 猫に水を飲んでもらう方法

生体において水分はとても大切です。哺乳類では体の約60%が水分です。水は、血液、リンパ液、細胞内液の主成分で、以下のような働きをしています。
・栄養素や代謝産物を運搬する
・体温のコントロール
・化学反応の触媒
体内の水分が10%失われると意識を失い、15%で亡くなります。猫の状態によって1日に必要な水分量は違いますが、健康で痩せても太ってもいない猫では1日に必要な摂取カロリー(DER)とほぼ同じです。DERの1番シンプルな計算方法は、60×体重kgです(5kgなら60×5=300ml)。
もともと砂漠などの乾燥地帯に住んでいわれている猫たちは、犬と比べて水を飲む量が少ないです。猫によくみられる病気の中には、水をたくさん飲んだ方がよいものが多くあります。慢性腎臓病、尿路結石、特発性膀胱炎、糖尿病などがそれですが、そもそも普段から水分を多く取った方が寿命を延ばす可能性が高くなります。

猫に水を飲んでもらう、具体的な方法を挙げてみます。

食器は清潔にし常に新鮮な水を与える、多頭飼育の場合食器を共有しない:フードなどで汚れてしまって、匂いが変わった水は嫌がる猫が多いです
様々なタイプの水を試す:水の種類や温度を変えてみましょう。気温が低くなると白湯を好む場合があります。氷が好きな猫もいます
水に好きな香りをつける:魚や肉などで出汁をとって冷まして与えてみて下さい
流水を試す:流れる水が好きな猫は多いです。たくさんの商品も販売されています
食器の材質を変える:プラスチックの食器は傷が付きやすく、傷に汚れが溜まりやすくなります。また、ステンレスなどの金属は音を嫌がる場合があります。個人的には陶器がオススメです
表面積の広い食器を使う:飲水時、食器にひげが接触することを嫌がります。ラーメンの器くらい大きなものもオススメです
場所を工夫する:トイレのそばの臭いが強いところ、テレビや洗濯機などの大きな音が出る場所は避けましょう
食事の回数を増やす:食事をすると水を飲みたくなります。食事の回数を増やすのも良い方法です
ウェットフード中心の食事にする:フードの水分含有量は、ドライフード5%に対して、ウェットフード77%です。ウェットフード中心の食事の方が長生きというデータもあります
運動をさせる:適度な運動は食欲・飲水欲を増加させます

これらの中で可能なことを試してみて下さい。

こちらもご参照ください
No 165 水(Water)
No 41 1日当たりエネルギー要求量(DER)
No 223 ミネラルウォーター


No.223 ミネラルウォーター

今でも稀に「結石を作るからミネラルウォーターって与えちゃいけないんですよね?」と聞かれることがあります。「そんなことはありません、どんどん飲ませてあげて下さい」が答えなのですが、根拠をみてみましょう。

水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれていて、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を「硬度」といいます。

硬度=カルシウム量mg/l×2.5+マグネシウム量mg/l×4

WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」、120mg/l以上を「硬水」といいます。簡単にいうと、カルシウムとマグネシウムが多く含まれる水が硬水になります。また、一般的には、硬度0~100mg/lを軟水、101~300mg/lを中硬水、301mg/l以上を硬水と分けています。

見た目は同じですが、優しく感じたり重く感じたり、水にも違いがあるのはこのためです。成分の違いから、一般的に軟水は口当たりが軽く、硬水はマグネシウムが多いほどしっかりした飲みごたえを感じます。

よく見かける水の硬度をみてみましょう。

富士山のバナジウム天然水 硬度29 mg/l
アクアクララ 硬度29.7 mg/l
サントリー天然水 硬度30 mg/l
いろはす 硬度31 mg/l
クリスタルカイザー 硬度38 mg/l
日本の水道水の平均 硬度51 mg/l
横浜市の水道水 硬度56 mg/l
ボルビック 硬度60 mg/l
六甲のおいしい水 硬度84 mg/l
エビアン 硬度291 mg/l
コントレックス 硬度1468 mg/l

エビアンが中硬水、コントレックスが硬水以外はみんな軟水です。日本の水道水や横浜市の水道水の硬度より下のものがほとんどです。つまり結石を気にしてミネラルウォーターを与えてはいけないというのはナンセンスです。また、エビアンやコントレックスを長期に与えても、このくらいのカルシウムの量では、水のせいで結石を作ることはないと思われます。横浜市の水道水も決して悪くありませんし、ミネラルウォーターも動物に与えて全く問題ありません。


No.222 猫の肥大型心筋症 (HCM; hypertrophic cardiomyopathy)

心臓の主に左心室の筋肉が異常に厚くなってしまう病気を肥大型心筋症といいます。猫の15%が罹患するといわれています。肥大型心筋症で心臓の筋肉が厚くなると、左心室がうまく膨らまなくなり、血液を貯めるスペースが狭くなります。貯めておけなくなった血液は左心房に溜まってしまい、左心房は血液によって風船のように膨らんで、血液が淀んで血栓を作りやすい状況になります。これが猫の肥大型心筋症の基本的な病態です。

血栓ができてしまうと、その血栓は血流に乗りいろいろなところに運ばれ、細い血管をつまらせます。その血管が腎臓であれば急性腎不全になり、後肢の血管であれば激痛を伴う後肢の麻痺がでます。血栓以外にも、心臓のポンプ機能が落ちると心不全となり、胸水や肺水腫が起こる場合があります。

肥大型心筋症には聴診で雑音の出ないタイプがあり、確定診断には超音波検査が重要です。最近はNT-proBNPという血液検査も利用できます。血栓症や心不全にならない限り、多くは無症状ですので、早期に発見することが難しい疾患の1つです。

肥大型心筋症の治療は内科治療のみになります。内科治療を行い血栓症や胸水や肺水腫、心不全といった状態にならないように維持していきます。

肥大型心筋症になる原因は不明です。高血圧症や甲状腺機能亢進症でも同じような心臓になることがありますが、肥大型心筋症とは区別されます。この病気になりやすい猫種は、スコティッシュホールド、メインクーン、ラグドール、スフィンクス、アメリカンショートヘア、ノルウェージャン・フォレスト・キャットなど言われていますが、どの猫種でもかかります。日本では、雑種短毛腫とスコティッシュホールドに多い印象があります。このうちメインクーンとラグドールは遺伝子検査で危険を予見できます。


No.221 高齢犬のお散歩

お散歩には下記のような様々なメリットがあります。

・気分転換
・体内時計のリセット
・運動機能の保持
・脳への刺激
・適度な疲労
・ストレス発散
・スキンシップ

高齢犬だからといって日々のお散歩や運動を止めてしまうと、立てなくなったり歩けなくなったりなどの老化や、認知症を早める原因になります。体調、足腰の状態などを観察しながら、程よいお散歩をすることは高齢犬にとって良い運動になりますが、いくつかの注意点があります。

無理をしない:体調が悪い、疲れているなと感じたら、お散歩を休みにするか、時間を短めにします。足腰が弱ってきたなと感じたら、階段やじゃり道などを避け、歩きやすい散歩コースを選びます。

急な運動をしない:急な運動は心臓や関節の負担になります。お散歩の前に、関節を軽く曲げ伸ばしするストレッチやマッサージをしたり、先に室内やお庭を歩かせたり、準備運動させてからお散歩にいくようにしましょう。また、犬のペースに合わせたスピードで歩くことも大事です。

気温や湿度に注意:夏の高温多湿、冬の寒さなどにはとくに注意が必要です。夏はお散歩の時間やアスファルトの熱さなどに注意して、冬は準備運動を多くしたり服を着せるなどしましょう。

コースを変える:お散歩のコースを変えることは認知症の予防になります。

高齢犬では後肢から不自由になってくることが多いです。段階によって補助アイテムを使ってあげるとお散歩が楽しくなります。

後肢の爪を引きずるようになったら、ナックリングの防止用の靴やナックルンなどを使ってみて下さい。

後肢が動くけれど不自由、という段階になったら、ララウォークホールドララウォークヒップアシスタントバンドなどがオススメです。

寝たきりや歩行不能になってしまっても、カートで外の空気を吸わせてあげましょう。犬専用のカートも様々なものが発売されています。ペットーポーター


No.220 高齢動物のベッド

高齢になって体の自由が効かなくなってきた動物はベッドが大切になります。とくに褥瘡(じょくそう)を作らない工夫が必要になります。現在、市販されているものを大きく分類すると、高反発マットレス、低反発マットレス、ジェルマットレスがあります。

高反発マットレス:まだ十分に動けているが、歩く時間が減っている場合、立っているときに後肢がプルプルするようになったら使い始めると良いでしょう。材質は、ヘチマ状、特殊ポリエステル、ウレタンがあります。この中ではヘチマ状のものが使いやすいです。
フィーヌエアーマット

低反発マットレス:後ろ足は動かないが前足だけで動ける(犬)。自力で体の向きを変えられる。寝ている時間が長いが褥瘡はまだない場合にオススメです。材質はウレタンです。体位変換は2時間毎が理想です。
アルテア体圧分散マット

ジェルマットレス:自分で寝返りができない、褥瘡が出来そう(好発箇所の脱毛)、もしくは出来てしまっている場合に使います。ジェルマットは体位変換が少なくて済みます(3-4回/日)。材質は合成ゴムです。
エクスジェルマット

簡単にいえば、自分でなんとか歩けているうちは高反発マットレス、寝たきりになってしまったらジェルマットレスが良いです。褥瘡はベッドの問題だけでなく、栄養状態、排泄物の付着、シーツの皺や段差、皮膚のよれなどによっても出来やすくなります。体位変換したときは圧抜きをします。

迷ったらご相談ください。

また、寝たきりになってしまった場合はここちシャンプーおしりまわり洗浄液なども便利です。