CKDの症状は病期(ステージ)によって異なります。早期では無症状のことが多いです。腎臓の障害が進むに連れ、多飲多尿(PUPD)、体重減少、食欲不振、貧血などが顕著になってきます。ステージが進んでしまうと、体内の不要な物質を尿から排泄できなくなり、尿毒症に陥ります。尿毒症の症状は、嘔吐、乏尿(尿が少なくなること)、虚弱、筋肉の減少、などです。最終的には、痙攣、昏睡などの症状が出て命を落とします。
IRIS(International Renal Interest Society)のCKDステージ分類
ステージ1 (残存腎機能33%):早期腎臓病期;血液検査異常なし
ステージ1~ステージ2 (残存腎機能25%):腎機能不全期;低比重尿、GFR(糸球体濾過率)の減少、血液検査異常なし
ステージ2~ステージ3(残存腎機能10%):早期腎不全期;低比重尿、BUN(血中尿素窒素)の軽度上昇
ステージ3~ステージ4(残存腎機能5%):尿毒症期;BUNの中等度から重度の上昇
ステージ4~:終末腎不全期;生命維持に透析ないし腎臓移植が必要
CKDの診断の難しいところは、腎臓の状態がかなり悪くなるまで症状がわかり辛いところです。一般身体検査に加えて、血液検査(BUN、CRE、Htなど)、尿検査、レントゲン検査、超音波検査、血圧測定、バイオプシー検査などを、必要に応じて組み合わせて診断を行いますが、上記のように腎機能の残りが33%ぐらいまでに落ちても、なかなか検査に引っかかってきません(早期発見にはGFRの検査が有効とされていますが、カテーテルを入れるなどの制約が多く、実際には実施し辛い検査です)。個人的に、CKDの早期発見には、多飲多尿(PUPD)の症状、低比重尿、血圧測定が重要だと考えています。
CKDの治療は原因疾患やステージ、合併症の有無によって異なりますが、
・ストレスを避ける
・療法食
・十分な水分摂取
・原因疾患の治療
・球形吸着炭製剤
・輸液
などが、中心となります。進行したCKDには輸液が重要になります。飼主様に、ご自宅での輸液のやり方をご指導させていただいて、実施していただいている方が、たくさんいらっしゃいます。輸液を覚えていただくと、生存期間の延長やQOL(生活の質)の改善が飛躍的に見られます。また、大学病院では、透析、腎臓移植などの研究と1部の実施がされていますが、透析は時間と費用の問題、移植は倫理的な問題があり、実際には、まだ、困難です。