心臓疾患や腫瘍とならんで、高齢になった動物たちの生命をおびやかす病気の1つに慢性腎臓病(CKD)があります(以前は慢性腎不全と呼ばれていました)。CKDは『両側あるいは片側の腎臓の機能的、もしくは構造的な異常(両方の場合もあります)が3ヶ月以上続いている状態』と定義されています。CKDは早期に診断・治療することで、生存期間やQOL(生活の質)の改善ができることが明らかになっています。
CKDの主な原因としては
先天性(遺伝性・家族性)
・腎低形成・異形成、多発性腎嚢胞
・犬:バセンジー(近位尿細管再吸収障害)、コッカー・スパニエル(IV型コラーゲン欠損)、サモエド(IV型コラーゲン欠損)、ドーベルマン(家族性糸球体症)、ラサ・アフソ(腎異形成)、シー・ズー(腎異形成)
・猫:アビシニアン(腎アミロイドーシス)、ペルシャ(多発性腎嚢胞)
免疫疾患
・全身性紅班性狼瘡(エリテマトーデス)
・糸球体腎炎
・血管炎(FIPなど)
アミロイドーシス
腫瘍
腎毒性物質の摂取
腎の虚血
炎症、感染症
・腎盂腎炎
・レプトスピラ症
・腎結石
尿路閉塞
特発性(原因不明)
CKDでは、上記のような原因によって、慢性的に腎障害が進行し、その修復過程におこる線維化(糸球体硬化と尿細管と間質の線維化)を伴って、やがて大部分のネフロン(腎単位)が消失し、尿毒症に陥ります。
次回に続きます。