No.502 リンパ球 (Lymphocyte)

リンパ球とは白血球の一種で免疫に関わる細胞です。白血球には顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球があり、それぞれが免疫機能において重要な働きをしています。リンパ球はB細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)に分類されます。

B細胞(Bリンパ球):白血球のおおよそ20~40%の割合を占めている免疫細胞です。侵入した抗原(ウイルス、細菌、カビ、微生物、原虫、寄生虫、花粉など)が危険であるかどうかを判断し排除する働きがあります。このB細胞が成熟すると形質細胞になります。形質細胞は、ヘルパーT細胞と協力をして、抗体(有害な抗原が体内に入ってきた際に攻撃をするタンパク質)を作り放出します。抗原と戦ったB細胞の一部はメモリーB細胞となって次回の感染に備えます。また、一度侵入したことのある抗原の情報を記憶しておくことができ、病気にかかりいくい状態を作ります。

T細胞(Tリンパ球):リンパ球のうち60~80%の割合を占める細胞です。ヘルパーT細胞は、樹状細胞(皮膚や血液中に存在する免疫細胞)から抗原の情報を伝達してもらい(抗原掲示)、キラーT細胞に指示をしたり、B細胞と協力して異物が危険なものかどうか判断したり、B細胞やマクロファージを活性化させます。マクロファージは全身に広がっている免疫細胞で、体内に侵入した抗原を食べて消化、殺菌することで感染を防ぎます。キラーT細胞は、ヘルパーT細胞から指令を受け、ウイルスなどに感染してしまった細胞を壊します。また、免疫細胞が過剰に働きすぎないようにコントロールするのが制御性T細胞です。各細胞に攻撃の終了を指示することで免疫異常を防いでくれます。このようにTリンパ球は免疫応答の司令塔の役割をします

ナチュラルキラー細胞(NK細胞):リンパ球の約10~30%を占めています。殺傷能力の高い免疫細胞で、全身をパトロールし、癌細胞やウイルスなどを見つけたら直ちに攻撃します。生まれつき体に備わっている免疫細胞(自然免疫)に分類されます。NK細胞には、レセプター(受容体)と呼ばれる、抗原を調べるためのアンテナのようなものが2種類備わっています。これらをうまく使い分けることで、ウイルスなどに感染した細胞と健康な細胞を見分けています。

リンパ球は、基本的に骨髄で作られます。ただし、B細胞に関しては、胎児の時は肝臓で作られており、生まれてからは骨髄で作られるようになります。リンパ球が最初に分化(細胞がそれぞれ機能を持つこと)する場所を一次リンパ組織といい骨髄や胸腺が該当します。B細胞やT細胞は、それぞれ骨髄や胸腺で少しずつ形を変えていき、免疫における自分の役割を明確にしていきます。免疫細胞が、ウイルスなどの異物に反応し、攻撃したり排除しようとする働きを免疫反応と呼びます。そして、その免疫反応が起こる場所のことを二次リンパ組織と言います。二次リンパ組織には、脾臓やリンパ管が該当します。


Bリンパ球のイメージ画


Tリンパ球のイメージ画


NK細胞のイメージ画

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