解放骨折とは、骨折した骨が体の外に開放されている状態の骨折のことです。主に交通事故や転落事故によって四肢の骨や指の骨に起こります。皮膚を突き破って出てきてしまった骨が細菌感染などより汚染され、骨の治癒能力が低下し治療が複雑となることから複雑骨折とも呼ばれます。骨折治療のみならず、感染に対する治療も必要ですから、単純な骨折と異なり手術法の選択肢も少ないうえに難易度が高く、長期の治療(場合によっては年単位)が必要な場合が多いです。とくにGolden hourと呼ばれる受傷後6~8時間までの処置を外傷性ショックの治療と共にきちんと行う事がとても重要です。また、放っておくと敗血症や播種性血管内凝固症候群(DIC)などで命を落とします。
解放骨折は、外固定(ギブスや副木など)のみで治癒することは困難です。基本的にはプレーティング、ピンディング、創外固定などの内固定と外固定を組み合わせます。そして、何よりも感染のコントロールが重要です。
Golden hourに適切な処置が出来なかったり、手術を行っても感染のコントロールが上手くいかなかったりした場合は、残念ながら断脚が必要になります。断脚は悩ましい処置ですが、命を優先という事を考えると決断が必要な場合もあります。とくに、治癒能力が落ちている高齢動物やエキゾチックペットの骨折の場合では選択される事が多いです。動物は基本的に3本脚になっても上手に歩いてくれます。長い苦しみよりはQOLは断然に上です。
猫の解放骨折
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No.180 ロッキングプレート (Locking plate)