代謝性骨疾患は爬虫類・両生類でよくみられます。様々な理由により体内のカルシウムが不足して起こりますが、主な原因は、カルシウム・ビタミンDの不足、紫外線不足、リンの過剰摂取です。カルシウムは、丈夫な骨や甲羅の形成に必要不可欠なミネラル分ですが、爬虫類・両生類飼育において不足しがちです。体は血中のカルシウム濃度が低下すると、骨からカルシウムを放出して不足分を補います。骨から放出した分のカルシウムを正常に再供給できない場合、低カルシウム血症による症状と、骨の変形が起こります。
低カルシウム血症による症状
・食欲不振
・活力の低下
・チック(急に出現する運動や音声が不随意に繰り返し出現する状態)
・痙攣
・異常行動
・総排泄腔脱
・便秘
・卵塞
骨の変形
・各部の骨の変形(とくに下顎骨)
・嘴の変形(受け口)
・病的骨折
・骨が太く脆くなる
・歩き方がおかしくなる
・甲羅の変形(亀)
・甲羅が柔らかくなる(亀)
治療はカルシウムとビタミンの投与、紫外線の照射です。状態が上がってくるまでは、強制給餌や点滴なども必要です。予防には適切な食事内容を考えることが第一です。主にカルシウムやビタミンDといったサプリメントを上手に使うことが重要です。このほか、有効な紫外線の照射や適切な飼育温度を保つこと、十分に運動できるスペースを確保することも大切です。
上腕の病的骨折