No.296 生検

生検とは『生体検査』を略した言葉で、生きた体を検査するという意味です。体表や体内にしこりを発見した場合、そのしこりが腫瘍であるのかどうか、腫瘍であれば良性なのか悪性なのかを調べていく必要があります。品種、年齢、発生部位、形態、発生時期などを考慮しつつ検査を進めていくことになります。腫瘍が疑われる場合には正体を明確にするために、通常は生検を行います。生検とは、患部の一部を針やメスなどで切り取って、細胞を染色し顕微鏡などで詳しく調べる検査です。生検には次の3通りがあります。

1.針生検(FNA):しこりに針を刺してその細胞を採取し、染色して調べる方法です。肥満細胞腫(→No199肥満細胞腫)のようにこれで診断できる腫瘍もありますが、通常は大体のあたりを付けるものです。
2.コア生検(ツルーカット):針よりも太い生検用の器材を用い、ある程度の量の組織を採取する方法です。診断の他にも、手術が必要と思われる場合その切除範囲を決定したり、手術で取りきれないと思われる部位の抗癌剤の選択などのために用います。採取した材料は病理検査を依頼し、確定診断を行います。ただ、どうしても採取する量が少ないために確定が得られない場合もあります。全身麻酔が必要な事が多いです。
3.切除生検(組織生検):手術で切除した腫瘍を病理検査で確定する方法です。乳腺腫瘍、肺腫瘍など上記の方法で良性、悪性の判断ができないものや、また切除した腫瘍がきちんと取りきれているかの判断を行う時などに用います。通常、全身麻酔が必要です。


針生検(FNA)