No.150 猫の行動学

猫は基本的に1匹で過ごすことが好きで、あまり社会性を持たないと考えられて来ましたが、現在では、猫も食べ物が豊富であれば、社会を形成し個々を認識しあうということがわかっています。好みの仲間のグループを作り、互いにコミュニケーションをします。仲良し同士は、自分では舐められないお互いの首から上を舐めあったり、身体をこすりあったり、一緒に寝たりします。

猫は複数のメスで一緒に子猫を育てます。子猫は、生後3週齢までは母乳で育ち、4~7週齢までに離乳が完了します。この時期に食べたものを将来好むので(おふくろの味といわれています)、この時期にいろいろな食べ物にチャレンジさせると偏食になりにくいと考えられています。しかし、母猫の栄養状態が悪く、きちんとした栄養が取れなかった場合、行動発達や学習能力、社会化などに問題が出ます。

子猫の社会化は2~7週齢で行われ、5~6週齢までに他の猫との関係がなくなった場合は社会行動が困難になります。また、子猫の時の遊びで学習した知識や運動能力は、将来の攻撃行動、捕食行動、追跡行動、性行動などに影響します。

また、猫が夜行性という誤解も多いです。猫はクレパスキュラと言って、早朝と夕暮れに活発に活動します。夜はREM睡眠です。目も暗い処ではよく見えません。

猫のリラックスためには、都会では完全に室内飼いにして、柔らかいベッドをあちこちに用意し、飽きない遊び場所を工夫し、隠れられる場所を作ってあげて下さい。高い所も大好きです。

飼主さんに対する攻撃行動がある場合は、慎重な対処が必要です。まずは身体的な問題(脳神経疾患、内分泌疾患、疼痛、医原性など)なのか、精神的な問題(発情、遊び誘発性、不安・恐怖、関心を引くためなど)なのかを考えます。中でも多いのは、遊び誘発性攻撃行動です。遊んでいるうちにブレーキが利かなくなって飼主さんを攻撃します。猫のテンションが上がり過ぎる前に遊びは止める。普段から素手で遊ばない。咬まれても叱らない。毎日決まった時間にオモチャを使って遊ぶ。知育トイを使う。などが対処法です。また、不安・恐怖などからの攻撃行動が激しい場合は投薬も選択肢の1つとなります。

今回のメルマガは、入交眞巳先生(日本ヒルズコルゲート株式会社)のセミナーを参考にしています。