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No.512 小鳥の脛骨骨折

セキセイインコ、オカメインコ、文鳥などの小鳥の骨折は、屋内での放鳥時に落下やドアに挟まれたり、ヒトに踏まれるなどの事故で起こります。鳥類の皮質骨は非常に緻密で引張強度が高いのですが、非常に薄くて脆い面もあり、衝撃を受けると簡単に砕けたり砕けます。くる病の幼若鳥、代謝性骨疾患に罹患している時、産卵期の低カルシウム血症などの骨折も発生しやすいです。とくに小型種では脛骨骨折が多発します。

一般的な症状には、跛行、起立不能などです。食欲不振の場合もあります。

診断は、受傷の状況、症状、触診、レントゲン検査などで行います。

治療は、基本的には全身麻酔下でギブス固定かピンディングを行います。外科用アロンアルファを使用する方法も報告されています。開放性骨折になっている場合は断脚も考慮されます。通常、ピンディングの方が骨の整復は上手くいきますが、手術や処置が上手くいっても、神経機能が戻らなければ跛行が続きますし、血管損傷が激しければ後に壊死を起こすこともあります。

鳥の骨は繊維質を帯びており、外力に対してハガネのようにしなる性質があり、骨折の場合、骨折端がささくれによって離断しない傾向にあります。そして、特に幼若鳥あるいは小型のフィンチなどの代謝率の高い鳥では治癒が早く、通常3~4週間もあれば十分な化骨が期待できます。


セキセイインコの脛骨骨折

こちらもご参照下さい
No.475 開放骨折(複雑骨折)
No.323 代謝性骨疾患 (Metabolic bone disease:MBD)


No.511 ピーナッツとフレッド

SNSやYahooニュースで話題になっていたのでご存知の方もいるとは思いますが、アメリカのメディアによると、アメリカ、コネチカット州に住んでいたマーク・ロンゴさんは7年前、交通事故で母親を失った子リスを保護し8カ月育てて森に放しましたが子リスは怪我をして戻って来ました。野生に返すのは無理だと判断したロンゴさんは、このリスにピーナッツと名前を付けて飼育、愛らしい姿をインスタグラムに投稿するとフォロワーは60万を超えました。

ロンゴさんは昨年ニューヨーク州パインシティーに移住。自宅を「ピーナッツ・フリ―ダム・ファーム」と名付けた動物保護施設にして馬や牛なども飼育していたそうです。無許可で野生動物を飼うことは禁止されているため、ピーナツちゃんを教育用動物として認定してもらうため準備していました。

ところが、先月30日に州環境保全局の職員たちが施設にやって来て5時間にわたって家宅捜索し、ピーナッツちゃんと同居のアライグマのフレッドちゃんを押収しました。違法に野生動物を飼っていると複数の通報があったため調査したという事です。

そして今月1日、環境保全局はピーナツちゃんとフレッドちゃんを殺処分したと明らかにしました。CBSテレビによると、環境保全局は「リスが職員をかんだため、狂犬病検査のため2匹を安楽死させた」と説明していたそうです。

狂犬病に罹患しているかどうかを一番早く確実に診断できるのは脳の病理組織検査です。今回の状況の詳細はわかりませんが、やはり海外では狂犬病は怖ろしい病気の一つととらえられていると感じます。法律を守るのは大事なことだとは思いますが、この様な結果になった事にアメリカでも様々な意見があります。ロンゴさんのショックは大変なものでしょう。ピーナツちゃんフレッドちゃんには安らかに眠って欲しいです。


ピ-ナッツちゃん ロンゴさんのインスタグラムから

こちらもご参照下さい
No.231 もし動物に咬まれてしまったら
No.131 人畜共通伝染病1 (Zoonosis)
No.47 狂犬病予防注射について
No.7 狂犬病予防注射


No.510 冷えの悪影響

寒い季節になりました。冷えは健康にさまざまな悪影響を与えることが知られていますが、その理由はいくつかあります。

1. 血流の悪化
体が冷えると血管が収縮し血流が悪くなります。血液の流れが悪くなると、酸素や栄養素が体の隅々まで届きにくくなり疲労感やだるさが増します。また、冷えによる血行不良は筋肉の凝りや関節痛の原因になります。

2. 代謝の低下
体温が下がると基礎代謝が低下します。代謝が低いとエネルギーの消費量が少なくなり、体の機能が低下することで体重の増加や内臓の働きが鈍くなります。また、消化機能が低下すると便秘や胃もたれを引き起こすことがあります。

3. 免疫力の低下
体温が下がると免疫機能も低下します。体温が1度下がると免疫力が30%低下するといわれており、細菌やウイルスに対して抵抗力が弱り感染症のリスクが高まります。

4. 自律神経の乱れ
冷えは自律神経の働きを乱す原因となることがあります。冷えに対処しようとして体が血流を調整するため、交感神経が過剰に働き自律神経が乱れやすくなります。その結果、睡眠障害やストレスの増加、さらには消化不良やホルモンバランスの乱れを引き起こすことがあります。

5. ホルモンバランスへの影響
冷えはホルモンバランスに影響を与えることがあります。とくに、ホルモン代謝力の落ちている高齢動物、持病がある場合は注意が必要です。

これらの理由から、体を温めて血行を良くし基礎代謝を維持することが、動物の健康維持にとって重要です。温かい環境もそうですが、湿度も重要です。寒い時期は加湿をしましょう。適度な運動、食事も工夫して体温を保つことが冷え対策として効果的です。

推奨される室温と湿度の目安(個体差はあります)
犬:室温20~24℃、湿度40~60%
猫:室温20~25℃、湿度40~60%
フェレット:室温15~24℃、湿度40~60%
ウサギ:室温16~22℃、湿度30~60%
チンチラ:温度15~20℃、湿度30~40%
モルモット:室温18~24℃、湿度50~60%
ハムスター:室温20~26℃、湿度40~60%
セキセイインコ・オカメインコ:室温20~28℃、湿度40~60%
文鳥:室温25~28℃、湿度50~60%
ヒト:室温25~28℃、湿度50~60%


冷えには注意しましょう


No.509 リンパ液とリンパ管とリンパ節

リンパ液は、血管から出た組織液(体内の細胞に栄養や酸素を届けた後、血管に戻れなかった水分)の一部です。主成分は、血液の液体物質である血漿とリンパ球ですが、ほかにも傷ついた細胞や、細菌やウイルスなどの異物も一緒に含まれていることがあります。リンパ液は出口にある静脈に向かって一方向に流れています。

リンパ液が流れる管のことをリンパ管と呼び、リンパ液を元の血管に戻そうとする働きを持ちます。リンパ液をそのままにしておくと、量が増えすぎてしまい、浮腫みや腫れの原因となるため、リンパ管がリンパ液を血管に戻すことで、正常なバランスを保っています。また、血管が体内を円のように循環するのに対し、リンパ管は体の端の部分から中央辺りで途切れていて循環することはありません。リンパ管には、リンパ液が逆流しないように弁が付いており、リンパ液は単一方向にしか流れない点も特徴的です。リンパ液は筋肉のポンプ作用で流れています。

リンパ節はリンパ管の節目節目に存在する、豆のような見た目をした器官です。リンパ液の中のウイルスなどの異物をせき止めて、戦う役割があります。また、皮膚などから入ってきた細菌や、リンパ液内にある不要なものを濾過することで処理を行うという特徴があります。ちなみに、ヒトのリンパ節は400個以上と言われており、脇の下や膝裏、足の付け根など全身に存在しています。


リンパ液の流れが上手くいかないと浮腫みます

こちらもご参照下さい
No.502 リンパ球 (Lymphocyte)
No.500 免疫力
No.280 リンパ球形質細胞性腸炎 (LPE)と炎症性腸疾患 (IBD)
No.202 リンパ腫 (Lymphoma)
No.121 体表リンパ節の腫大 (Swelling of a lymph node)


No.508 鼠径ヘルニア

ヘルニアは、臓器や組織など体の中の一部が、本来あるべき場所から出てきてしまった状態のことをいいます。鼠径とは太腿の付け根にある溝の内側部分のことです。解剖学的には、恥骨の左右の外側、股関節の前方部分にあたります。鼠径ヘルニアは、鼠径部の体壁に穴が開き、脂肪や腸管、膀胱などの腹腔内容物が皮膚の下に脱出した状態をいいます。

先天性と後天性があり、片側だけの場合と両側で発症している場合があります。穴が大きくなると腸や膀胱などの臓器が脱出してしまいます。ヘルニアの内容物が自由に動き、押すと元の位置に戻る状態を還納性ヘルニア、内容物が穴の部分で締め付けられて元の位置に戻れなくなった状態を嵌頓(かんとん)ヘルニアといいます。還納性ヘルニアを放置すると嵌頓ヘルニアになる場合があります。

どの犬種、年齢でも起こる可能性があります。かかりやすい犬種はペキニーズ、ゴールデン・レトリーバー、コッカー・スパニエル、ダックスフンド、バセンジーなどです。

先天性:生まれつき穴が開いている状態です。原因は不明ですが、雄に多く、ペキニーズ、ゴールデン・レトリーバー、コッカー・スパニエル、ダックスフンド、バセンジーなどが起きやすいといわれていますが、どの犬種でも起こります。潜在精巣(精巣が陰嚢に下降せずにおなかの中にある状態)の場合なりやすいという報告があることから、遺伝が関与していると考えられています。

後天性:中年齢の雌で多く見られます。交通事故などで体壁が破損したことで起こる外傷性と、高齢によって体壁が弱くなることで起こる非外傷性があります。妊娠やしぶり、肥満はおなかの中の圧を増加させるためヘルニアにつながりやすいです。後天性のヘルニアの場合も、鼠径部に生まれつき異常があるのではないかと考えられています。

脂肪が出ているだけなら無症状ですが、腸が脱出すると元気消失、食欲不振、嘔吐、下腹部痛などが、膀胱が脱出すると排尿困難やそれに伴う食欲不振、嘔吐などがみられます。何らかの理由で子宮が膨れている場合は子宮が飛び出すこともあります。

子犬の場合は成長に伴って自然に穴がふさがることがありますが、治療の基本は外科手術です。とくに、高齢犬や脂肪以外の腹腔内臓器が出ているようなら早期の治療が必要です。


鼠径ヘルニア


No.507 低グレードリンパ腫(小細胞型リンパ腫)

低グレードリンパ腫(小細胞型リンパ腫)は、高齢の犬猫に発症する傾向にあり、高グレードリンパ腫に比べるとはるかに長期の生存期間が得られます。発生部位によって、多中心型、消化器型、皮膚型、鼻腔内型などがあります。

診断は、リンパ節の針生検(FNA)、リンパ節の切除生検、PCR検査、消化管内視鏡検査などにより行います。試験開腹での検査が必要な場合もあります。

無症状のうちは治療の必要はない場合もあります。発熱、リンパ節の腫れ、咳などの呼吸器症状、食欲不振、下痢や嘔吐などの消化器症状、貧血、リンパ球の増加、低アルブミン血症など、なんらかの症状が認められた時は治療を開始します。

治療は抗癌剤投与になりますが、最初クロラムブシルもしくはアルケラン、プレドニゾロンなどの内服薬を使用します。この治療で、多くの場合、症状が改善します。

生涯に渡って投薬治療で管理できる場合も多く、また、投薬を止められる場合もありますが、症状が落ち着いていても定期的に検査を行い(1-3ヶ月毎)、状態が悪化しているようなら、UW-25などの強い治療に切り替えるタイミングを見極める事が非常に重要です。低グレードリンパ腫のうちは急変することは稀ですが、病態が進んでしまうと、臓器障害や悪液質、播種性血管内凝固(DIC)の状態になり、急に悪化する場合があります。


消化管型低グレードリンパ腫の病理像

こちらもご参照下さい
No.503 小腸性下痢
No.302 UW25 (Wisconsin-Madison Chemotherapy Protocol:ウィスコンシン-マジソン プロトコール)
No.296 生検
No.285 低アルブミン(Alb)血症
No.202 リンパ腫 (Lymphoma)
No.144 播種性血管内凝固症候群 (DIC)
No.38 貧血(Anemia)2
No.37 貧血(Anemia)1


No.506 モルモットの子宮疾患

モルモットの子宮疾患はウサギと同様に、子宮内膜炎、子宮水腫、子宮蓄膿症、子宮腺癌、子宮平滑筋肉腫、腺扁平上皮癌などがあります。基本的に卵巣疾患が原因です。不妊手術をしていない4~5歳以上で多く発症が見られます。ある程度進行しないと症状を見せないため、なかなか気が付きにくい疾患の一つです。

一番最初にみられる症状は血尿です。血尿は尿全体が赤くなったり、尿の中に血の塊がみられたり、鮮血が陰部から出てきたりと程度や状態は様々です。持続的に血尿がみられることは稀で、時々血尿になったり普通の尿になったりを繰り返すことが一般的です。また、初期には一過性のことも多く様子を見てしまいがちです。乳腺の腫れや腹部膨満などの症状が見られることもあります。重症になると元気や食欲がなくなってきます。

診断は超音波検査やレントゲン検査で行います。あまり大きくなってない子宮の場合は判断が難しい事もあります。また、可能なら血液検査も行い、他の病気との区別や重症度の判定を行います。

治療は、抗生剤や止血剤、ホルモン剤などで症状の改善がみられることもありますが、内科療法で完治させることは困難です。放置すると腹腔内出血や腹水貯留、播種性血管内凝固症候群(DIC)を起こし手遅れになってしまうこともあるので、なるべく早期に卵巣子宮摘出手術を行います。

ここまではウサギの子宮疾患とほとんど同じですが、モルモットは卵巣が腹腔内の深部にあって、通常の腹部正中切開では展開が難しいため手術が困難です。状況によっては左右の腰背部の切開が必要な場合があり麻酔時間が延びます。また、痛みやストレスにも弱く、犬や猫だと通常行える、静脈点滴や気管チューブの挿入、静脈点滴、血圧測定などの各種のモニターも行えないものが多いです。しかし、病気が進行し貧血や多臓器に癒着を起こしてしまうと手術のリスクがより高くなるので、メリット、デメリットを理解してなるべく早期に手術することが重要です。確定診断には摘出した卵巣・子宮の病理診断が必要です。

予後は原因よって異なりますが、早期発見して手術・治療をして、悪性のものではなかった場合は予後は良好です。

クリックすると手術時の写真が出ます。苦手な方は見ないで下さい。
摘出したモルモットの卵巣と子宮


No.505 多飲多尿症(PUPD)の主な疾患

病的にたくさんの水を飲みたくさんの尿が出る状態を多飲多尿症(PUPD)と呼びます。固体差もあり目安ですが、健康な犬や猫では1日に体重1kg当たり50~60ccの水を飲み20~40ccの尿を排出します。多飲:>100cc/kg/day・多尿:>50cc/kg/dayが犬猫での目安です。この値よりも、飼主さんの印象『普段よりも飲水量・尿量が増えている』が重要です。

飲んだ水は、必要量が体内に蓄積され、余分な量や熱の調節、老廃物の排出のために汗や吐く息、そして便や尿として体外へ排出されます。飲む水と出ていく水の量は、主に脳と腎臓の働きによりバランスがとられています。

例えば、体から水が大量に失われたり、塩分を大量に摂取したりすると、血中Naなどのイオンバランスが変化します。この変化を脳が感知し、尿を作っている腎臓が水を引き戻す(再吸収)ための命令(抗利尿ホルモン:ADH)を出します。また、渇きを刺激し飲水量を増加させます。さらに腎臓自身もホルモンを出し、体内で水分を保つ反応が起こります。逆に、体中に水が大量に存在する場合は、腎臓が尿へと水をどんどん排出します。

脳あるいは腎臓の機能のいずれかが障害されると、飲む水と出る水のバランスが崩れてきます。多飲多尿症とは、ある疾患と必ずしも1対1で現れる症状ではなく、その背景に脳や腎臓の機能に関係する様々な疾患が隠れている可能性があります。また、多飲多尿は「たくさん水を飲むため尿が出る」よりも「たくさん尿が出るために水を欲しがる」場合の方が多いといわれています。主な原因には以下のようなものがあります。

腎臓疾患:腎臓の主な機能は、血液中の老廃物を体の外に排出するために尿を作ることですが、その過程で体内に必要な水分や塩分を引き戻す再吸収を行います。再吸収は、腎臓の尿細管や集合管と呼ばれる部分で行われますが、この部分が壊れてしまうと尿中にどんどん水分が失われ多尿が起こります。この水分の喪失に反応して多飲が起こります。

糖尿病:インスリンが不足するために、血液中の過剰な糖分が尿中に漏れでてしまう病気です。尿に糖分が多く含まれるために再吸収がうまく行われず、腎臓は水分の回収に失敗し多尿が起こり、次いで多飲が起こります。

副腎皮質機能亢進症:副腎皮質で作られるステロイドホルモン(グルココルチコイド)が過剰になり、このホルモンが水分の調節に係る脳の働きを鈍らせ、腎臓では脳からの命令を妨げ多尿が起こります。クッシング症候群ともいいます。犬で多いです。

甲状腺機能亢進症:高齢の猫で多く、甲状腺から過剰にホルモンが産生される病気です。このホルモンが、尿中の塩分を増加させることや体内の熱産生に影響することは知られていますが、多飲多尿を示す原因は明らかになっていません。

子宮蓄膿症:不妊手術をしていない中~高齢の動物に多い病気です。子宮の中に細菌感染が起こり膿が貯まります。細菌の出す毒素が、腎臓で脳からの抗利尿ホルモンを妨げるために多尿が起こり、次いで多飲が起こります。

尿崩症:腎臓に対し脳が水を再吸収させる命令をうまく出せない中枢性尿崩症と、脳からの命令に腎臓がうまく反応できない腎性尿崩症の2つに分けられます。原因は脳あるいは腎臓にありますが、どちらも腎臓が水の再吸収に失敗することで多尿が起こり、次いで多飲が起こります。中枢性は脳の腫瘍が原因となることが多く、腎性だと先天的であったり他の病気によるものであったりします。診断が困難な病気です。

高Ca血症:腎臓の遠位尿細管の機能が低下して、水分の再吸収が阻害されて多尿が起こります。そのため脱水が起こり喉が渇きます。また、腎臓での抗利尿ホルモンの感受性も低下します。上皮小体機能亢進症、リンパ腫やアポクリン腺癌などの可能性があります。

浮腫み:肝臓、腎臓や小腸の疾患による低Alb血症、犬の甲状腺機能低下症などで浮腫みが生じると、血液の浸透圧が下がり体液が血管外に漏れやすくなり浮腫みが生じます。この浮腫みが腎臓を刺激し、余分な水分を排出しようとして、尿量が増え喉が渇きます。

痛み:痛みによるストレスで交感神経が活性化されると喉が渇きます。胃の疾患で胃酸が増えてる場合は、胃酸を薄めるために水を飲みたくなります。下痢や嘔吐がある場合も脱水のために飲水量が多くなる場合があります。

多飲多尿症は何らかの病気が隠れている可能性があります。飲水量や尿量が増えてきたという印象がある場合は早期の検査をお勧めします。また、必要で飲んでいる事が多いので、原因が分かるまでは水を欠かさないように与えてください。


原因が分かるまでは水は切らさない様に

こちらもご参照下さい
No.483 小鳥の多飲多尿
No.437 肛門嚢アポクリン腺癌 (AGACA)
No.406 副腎腫瘍
No.331 子宮蓄膿症(Pyometra)
No.304 糖尿病 (Diabetes)
No.300 慢性腎不全(CKD)のステージ分類
No.78 猫の甲状腺機能亢進症 (Hyperthyroidism)
No.56 慢性腎臓病(CKD)2
No.55 慢性腎臓病(CKD)1
No.3 飲水量とPUPD


No.504 可愛いものを見ると

可愛いにきちんとした定義はありませんが、子犬や子猫を見ると多くのヒトは可愛いと感じます。広島大学大学院総合科学研究科の入戸野宏准教授らの研究グループは、幼い動物の可愛い写真をみた後には、注意を必要とする作業の成績がよくなることを実験によって示しました。

大学生132名を対象として実験を行い、幼い動物(子犬や子猫)の写真7枚を好きな順番に並び換えるという作業を90秒行ってもらった後では、手先の器用さを必要とする課題や、指定された数字を数列から探して数える課題の成績が、写真を見る前と比べそれぞれ44%、16%向上しました。成体の写真を並び換えた場合は成績向上は生じず、美味しそうな食べ物の写真を並び換えることにも効果はありませんでした。

また、可愛い写真を見ることが注意の範囲に与える効果も検討しました。通常、ヒトの視覚情報は対象の細部よりも全体に注意を向けるので、全体的な特徴の方が素早く脳で処理されます。しかし、可愛い写真を見た後には細部が注目されるようになり、細部と全体の処理に要する時間差がなくなりました。可愛いという感情には対象に接近して詳しく知ろうとする機能があるため、このように細部に注意を集中するという効果が生じた可能性があると考えられます。また、90秒以上見ることは逆効果だという結果も出ています。

本研究は、可愛いものを見ると気分が良くなるだけでなく行動も変化することを示しています。可愛いはキャラクターや商品として生産されるとともに、日本のポップカルチャーを代表するキーワードkawaiiとして世界に拡がっています。しかし、可愛いとは何か、可愛いと何が良いのかについては学術的な説明はなされていません。この実験の知見は可愛いものが普及する心理的背景を説明する1つのヒントとなるかもしれません。


可愛いものを見るのは90秒以内で


No.503 小腸性下痢

小腸性下痢とは、小腸(十二指腸、空腸、回腸をまとめて小腸と呼びます)が原因場所になっている下痢の総称です。通常は排便の回数は正常ですが、1回の排便量が多くなり、軟便~水様便となるのが特徴です。

小腸性下痢の場合、大腸で水分は吸収されますが、小腸で栄養分が吸収されていないため便の量が増えます。慢性化すると体重の減少がみられたり、出血があると黒色便(メレナ)となります。初期の頃はしぶりはあまりみられません。

小腸性下痢の原因は、大腸性下痢より複雑である場合が多く、主な疾患には以下の様なものがあります。

・低ALB血症
・リンパ球形質細胞性腸炎(慢性腸症)
・好酸球性腸炎
・炎症性腸疾患(IBD)
・リンパ腫
・消化管腫瘍
・食事反応性腸炎
・抗生物質反応性腸炎
・感染性腸炎(ウイルス、細菌、原虫、寄生虫など)
・膵炎
・膵外分泌不全
・異物

診断は、症状、糞便検査、血液検査、レントゲン検査や超音波検査に加え、原因が分からず一般的な治療で改善しない場合は、便のPCR検査や消化管内視鏡検査が必要な場合があります。とくに嘔吐や食欲減退などの他の症状を伴っている場合、1週間以上下痢が続いている場合などには、小腸性、大腸性に限らず、きちんと診断を付け、原因に沿った治療を早期に行うことが望まれます。