No.492 ウサギの肝リピドーシス

肝リピドーシスは、食欲不振によっておこる肝臓の脂肪化のことです。ウサギの肝疾患で多い原因の1つです。不整咬合や食滞などによって食欲不振になり、治療を行わなければ、胃腸の活動低下、肝臓の脂肪化が起こり、慢性的な肝炎になり、黄疸、食欲不振が進み、やがては命に関わることになります。

食餌量が減り、十分なエネルギーを取り込めなければ飢餓状態になり、体に蓄えた脂肪を分解することで、生きるためのエネルギーを作り出そうとします。しかし、草食のウサギは脂肪の処理能力高くありません。血中に分解された多量の脂肪は行き場を無くし肝臓に蓄積し、肝臓が十分に働かないので肝不全の状態になります。

肝リピドーシスは肥満がリスク因子です。太っているということは、分解できる脂肪が体内にたくさん蓄えられているということで、ひとたび脂肪の分解が始まれば大量の脂肪が血中に溢れ出した状態になり肝臓に沈着する量も増えます。太りやすいドワーフ種、ロップ系品種ではとくに注意が必要です。

血液検査では、肝酵素の上昇や高血糖、貧血、黄疸などがみられます。確定診断は肝臓の組織検査ですが、状態の悪いウサギではリスクが高いです。

治療は、点滴などによる肝臓の保護、食欲不振の原因の治療と、とにかく食べさせることです。強制給餌が必要な場合がほとんどです。治療には時間がかかることが多いです。ウサギの食欲不振には早目の対処が必要です。とくに肥満の場合は要注意です。


ドワーフ種、ロップ系品種はとくに注意が必要です

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No.434 肝内胆汁鬱滞性黄疸
No.426 猫の肝リピドーシス


No.491 マラセチア (Malassezia)

マラセチアは自然に存在する酵母型真菌の一種で、通常はヒトや動物の皮膚や外耳道に生息しています。普段マラセチア自体が問題を引き起こすことはありませんが、異常に増殖した場合、菌体成分や代謝産物が皮膚炎や外耳炎を引き起こします。またマクロファージなどの抗原提示細胞がマラセチアを貪食することで、二次的にマラセチアに対するアレルギー性皮膚炎になることもあります。湿度の高い日本では増殖しやすく、とくに梅雨の時期には注意が必要です。

脇や股、頸の腹側などの間擦部に症状が出やすく、脂漏によってベタベタする、紅斑、痒み、色素沈着、脱毛落屑、皮膚の肥厚、甘酸っぱい臭気などが特徴です。外耳炎の場合は黒っぽく脂っぽい耳垢が溜まります。爪周囲炎を引き起こすこともあり、その場合は爪の表面が脂っぽくなり、色素脱や発赤が見られるようになります。通常の真菌症と違って他の個体へはうつりません。

好発犬種は、シーズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、コッカー・スパニエル、プードル、ダックスフンド、ボクサー、キャバリアなどです。猫でも起こります。猫の場合は外耳炎が多いです。遺伝的な原因が示唆されていますが、高温高湿度の環境や肥満も悪化因子です。また犬の場合は、甲状腺機能低下症がある場合もあります。

診断は、症状と病変部角質または耳垢の押捺塗抹検査(スタンプ検査)で行いますが、顕微鏡の検査ではっきりせず、培養検査をしないとわからない場合もあります。

治療は、薬浴、抗真菌薬、マラセチアに対するアレルギーがある場合はステロイド剤を投与します。生活環境の整備、肥満の場合は減量なども重要です。マラセチア性皮膚炎や外耳炎は、そのままにしてしまうと慢性化してしまうことも多いです。しっかりした対処が必要です。


マラセチア

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No.44 犬のスキンケア2
No.43 犬のスキンケア1


No.490 猫のアミロイドーシス

アミロイドーシスとは、アミロイドという不溶性で繊維状のタンパク質が、細胞と細胞の間に沈着して組織を圧迫し機能障害を引き起こす病気の総称です。アミロイドは全身の臓器のどこにでも沈着しますが、動物ではとくに肝臓・腎臓・副腎・脾臓などに沈着しやすく、これらの臓器の障害により症状が出ます。シャム猫(肝アミロイドーシス)、アビシニアン(腎アミロイドーシス)が遺伝性疾患として知られていますがどの品種でも起こります。比較的稀な疾患ですが猫の肝疾患の中では近年増加傾向です。

肝アミロイドーシス
肝臓は軽度なアミロイド沈着であれば機能を損なうことはありません。しかし、沈着が進むと肝臓が脆くなり、肝機能の低下だけでなく、出血や、最悪な場合では破裂の危険性もあります。肝アミロイドーシスでは肝臓の腫大が認められます。これによりお腹が妙に膨らんで見えたり、膨満感による食欲不振や体重減少が症状として現れます。また、肝機能の低下はタンパク質の代謝や消化に影響を与えるため、食欲不振、嘔吐、下痢や腹水の貯留が認められることもあります。さらに、肝臓の組織が脆くなることと、肝機能低下により起こる血液凝固異常により肝破裂のリスクが伴います。肝破裂が起こった場合、お腹の中で大出血が起こることになりショック状態となります。

腎アミロイドーシス
腎臓には、血液を濾過して排泄物を取り除き、尿の素を作る糸球体という構造があります。糸球体は腎臓の中で最もアミロイドが沈着しやすい場所です。糸球体にアミロイドが沈着し構造の障害が始まると元に戻ることはありません。このため、徐々に腎臓の機能が低下していき、慢性腎不全(CKD)を引き起こす原因となります。糸球体にアミロイドが沈着すると糸球体の透過性が亢進し、通常回収しなければいけないタンパク質が尿中に漏れ出るようになります。尿中にタンパク質が出るということは、血液中のタンパク質濃度が薄くなります。漏出が少量の時は、体重減少や疲れやすくなるなど、体に必要なエネルギーが欠けることによる症状がでます。重度になると浮腫や腹水の貯留が認められるようになります。また、腎臓の75%が機能しなくなるまで糸球体の損傷が広範囲に進むと腎不全の状態に陥ります。多飲多尿や食欲不振気持ちが悪く、流涎、嘔吐などの症状が現れます。このほか糸球体の損傷により、ナトリウムの貯留、ひいては高血圧が起こり、慢性腎不全をより悪化させる原因となります。高血圧は、網膜出血や網膜剥離などの原因となることもあります。まれに、タンパク質の漏出により血液の凝固異常が起こり、肺の血栓塞栓症が起こることもあります。

アミロイドーシスの確定診断は、生検(臓器の一部を取って検査をする)による病理検査診断です。しかし、アミロイドにより障害されている臓器の一部を取ることは、大出血など命にかかわるリスクを伴い安易に行える検査ではありません。そのため、診断までたどり着くことが容易ではありません。ヒトではSAA値が病態と相関性がありますが猫では関連性が不明です。

一度沈着したアミロイドを取り除き、障害された組織を元に戻すことはできません。アミロイドーシスには、現在のところ特異的な治療法は無く、症状を緩和させる支持療法を行います。炎症がアミロイド沈着の引き金になるので、炎症の元となっている基礎疾患の治療、抗酸化剤やビタミンKの補充、代替医療、サプリメント、免疫療法なども組み合わせて維持治療をしていくことになりますが長期予後は悪いです。

良い予防法はありませんが、慢性の口内炎や歯肉炎があって慢性の炎症を起こしている場合、その炎症から炎症性のアミロイドを作ってしまい、アミロイド沈着の引き金になることがあります。そのため、歯周病、口内炎を持っている場合は特に注意が必要です。


アミロイドーシスの病理写真

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No.356 猫の口内炎
No.300 慢性腎不全(CKD)のステージ分類
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No.97 歯周病1 (Periodontal disease)
No.56 慢性腎臓病(CKD)2
No.55 慢性腎臓病(CKD)1


No.489 肛門腺炎・肛門嚢自壊

犬猫には肛門の両脇(正面から見て4時、8時の位置)に肛門腺という臭腺が存在します。肛門嚢とも呼ばれます。イタチやスカンクの臭いおなら(正確にはおならではありませんが)で有名です。フェレットの場合はペットショップに来る前に手術で摘出されている場合が多いです。肛門腺の中には臭いの強い分泌液が入っており、この臭いによって相手を認識したり、マーキングに利用しているといわれています。普段は排便時や興奮時などに自然に排出されています。犬の場合はトリミング時にトリマーさんが絞って排出させてくれています。

肛門腺の分泌液の出口は肛門の中にあります。この肛門腺が何らかの理由で炎症を起こしたものが肛門腺炎です。肛門腺から肛門までの導管に炎症が起きると管が塞がってしまう事があります。そうなると行き場を失った肛門腺内容物が過度に溜まって破裂を起こします。これが肛門嚢の自壊です。

主な原因としては、肛門腺が排出出来ていない事ですが、細菌感染や不適切な肛門嚢絞りなども原因となります。肛門括約筋の筋力低下や肥満なども原因の一環とされているようですが、実際には痩せていても発症するし、外肛門括約筋の菲薄化など一切ない症例でも肛門嚢破裂が起こります。

一般に、チワワやシーズー、ミニチュアダックス、トイプードルなどの小型犬と猫でよくみるトラブルですが、大型犬での発症もあります。

治療は、軽度なら剃毛と外用薬、抗生剤や鎮痛剤などの投与で改善しますが、重度の場合は外科的な対処が必要です。


肛門嚢自壊

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No.332 肛門腺 (Anal glands)


No.488 犬の耳毛

ヒトと犬の耳では構造が全く異なります。大きな違いのひとつが耳毛の存在です。犬の耳の中には毛が生えていて、かなり密集している犬もいれば、うっすら生えている程度という犬まで品種差があります。ミニチュア・シュナウザーやプードルなど水猟犬として活躍していた犬は、水鳥などを捕るために水中に入ることが多く、撥水のために耳毛がたくさん生えているといわれています。また、マルチーズ、シーズー、ヨークシャテリアなども耳毛が多い犬種です。一方、チワワやダックスフント、ポメラニアンなどは少ない犬種です。

耳毛は水をはじく以外にも、汚れやホコリの侵入を防ぐ役割をします。しかし、ペットとして飼われるようになった現代の多くの犬には、本来の役割のための耳毛は不要になりました。犬にとっては耳毛が生えていることが自然な状態なので、これをむりやり抜く必要はないという意見もありますし、近年、耳毛抜きが動物愛護の観点、動物虐待の観点から実施しない獣医師やトリマーさんも増えてきています。しかし、欧米と異なり高温多湿の日本では、蒸れる事によって外耳炎の原因になっている場合も多いです。外耳炎になった事がある、通気性が悪くなっている、耳掃除の邪魔になっている、外耳道内が脂性という様な場合は抜くかカットが必要です。上手に手早く行えば痛みはほとんどありません。

耳毛の処理は獣医師の間でも、抜く派、カット派に意見が分かれます。個人的にはどちらでも良いと思いますが、自宅で行う場合は、抜くなら毛抜き、カットするなら眉毛用ハサミなどがオススメです。耳が健康なら、月1回くらいの頻度で傷つけない様、丁寧に行って下さい。上手く出来ない場合、また、痒い、赤い、耳垢が多い、臭いがおかしいなど、トラブルが起こっている場合は必ず病院へご相談下さい。


耳毛処理前


処理後

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No.188 外耳炎3(Otitis Exterma)
No.58 外耳炎2 Otitis externa
No.57 外耳炎1 Otitis externa


No.487 ハムスターの前庭疾患

前庭疾患とは、様々な原因で平衡感覚を失ってしまう病気全般を指します。動物の身体には、平衡感覚を司る三半規管が両側の内耳に存在します。三半規管が感知した頭の動きや位置が神経を通じて脳幹へ伝えられ平衡感覚が生まれます。三半規管やその信号を受け取る脳幹が機能しないと、世界がグルグルと回ってしまうような感覚に陥り眩暈やふらつきが起こります。

前庭は、末梢前庭と中枢前庭に分けられます。
・末梢前庭:内耳の三半規管と前庭と前庭神経(内耳神経のひとつ)
・中枢前庭:橋、延髄の一部、小脳の一部(片葉:へんよう)
発症する前庭疾患の多くは末梢性のものです。中枢性前庭疾患は比較的稀ですが経過が悪いです。

症状としては、末梢性でも中枢性でも、頭が傾く(斜傾)、まっすぐに歩くことが出来ない、すぐに転がってしまう、眼振、食欲不振などです。

確定診断するために、本来はより詳細な検査、CTやMRIなどが推奨されますが、ハムスターの様な小さい動物になるとなかなか困難なのが現状です。また、ホルモンの異常によっても起こる事がありますが、こちらもハムスターでは診断方法が確立されていません。100%ではありませんが、水平方向に眼球が動く「水平眼振」の場合は内耳の病気が疑われ、垂直方向に動く「垂直眼振」の場合は脳の病気が疑われます。実際は症状から推測して治療的診断を行っていきます。

治療は、抗生剤、消炎剤、食欲がない場合は皮下点滴や強制給餌を行います。代替医療が著効する場合もあります。発生の多い末梢性のものは、斜頸の後遺症が残る場合もありますが回復してくれる場合が多いです。しかし、中枢性の前庭疾患はあまり予後がよくなく、残念ながらそのまま亡くなってしまうこともあります。


前庭疾患で斜傾が起こったジャンガリアンハムスター

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No.440 犬の前庭疾患


No.486 イレウス (Ileus)

イレウスとは、様々な原因により、腸の内容物が通過し辛くなる状態をいいます。これにより、腸管内にガスや液体が溜まり腸の運動が妨げられ、腹痛、膨満感、嘔吐などの症状が現れます。イレウスは大きく分けて、物理的な原因で腸管が閉塞する機械的イレウスと、腸管の運動が低下または停止することによる機能的イレウスに分類されます。

機械的イレウスの原因には以下の様なものがあります
1.腫瘍:腸管内外からの腫瘍が腸を圧迫する
2.癒着:手術後の癒着が腸を引っ張ったり捻じれさせる
3.ヘルニア:腸管が腹壁の弱い部分を通って外に出る
4.腸捻転:腸管が自ら捻じれて血流が遮断される
5.腸重積:腸の一部が後ろの腸に引き込まれて重なり合う
6.異物:食物の塊、胆石、寄生虫、硬化した便などが腸管を塞ぐ
7.炎症:慢性炎症性腸疾患が腸管の狭窄や閉塞を引き起こす

機能性イレウスの原因には以下のものがあります:
1.腸麻痺(イレウス麻痺):腹部の手術後、重篤な感染症や腸の炎症、外傷、脳血管障害、熱中症、膵炎などにより、腸管の運動が一時的に停止することによる
2.薬物:抗コリン薬、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)、抗うつ薬、抗パーキンソン薬などの薬物が腸の運動を抑制する。
3.代謝異常:電解質異常、特に低カリウム血症や高カルシウム血症などが腸の運動機能を低下させるたり、糖尿病のコントロールが不十分な場合に腸の運動が低下
4.自律神経障害:自律神経系の異常が腸管の運動に影響
5.その他:重篤な疾患(腎不全、心不全、肝不全など)や全身麻酔の影響も腸の運動を低下させる原因となる
6.特発性:原因不明

イレウスの症状は、腹痛、腹部膨満、嘔吐、排ガスや排便の停止、食欲不振などです。重症な場合はショック状態になり命に関わる場合もあります。診断は、臨床症状、身体検査、画像診断(X線、CTなど)を基に行われます。内視鏡検査が必要な場合もあります。治療は、原因や重症度に応じて異なりますが、重篤な場合や外科手術が必要な場合も多く、迅速な対応が求められます。


イレウス時に特徴的なセンテニアルループが見られるレントゲン写真

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No.482 熱疲労と熱中症
No.402 誤食をしたかもしれない時
No.391 腸重積
No.189 膵炎(Pancreatitis)
No.141 消化管内視鏡
No.117 全身麻酔 (General anesthesia)


No.485 動物の受動喫煙

タバコの煙は、肺の中に吸入される主流煙と、火のついた先端から立ち上る副流煙があります。有害物質は副流煙の方が多いと言われています。受動喫煙は、吐き出された主流煙と副流煙が混ざったものに触れる事と定義されています。副流煙のない電子タバコも無害ではありません。受動喫煙でタバコを吸わない動物の健康に害を及ぼすことがあります。

動物が受動喫煙にさらされると様々な病気になりやすい事が分かっています。厚生労働省によると、副流煙の有害物質は主流煙よりも、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍も多くなります。また発癌性のある化学物質のベンゾピレン、ニトロソアミンなどもあります。動物はこれらを小さい体の中に取り込むことになります。

また、3次喫煙という言葉をご存知でしょうか。これはタバコの副流煙が衣服や壁、カーテン、絨毯、ヒトの髪の毛などに付着して、その残留物が再び直接・間接的に被害をもたらすというものです。ペットの前でタバコを吸わなくても、喫煙者の服や髪にタバコの副流煙が付いています。抱っこされることで、動物の被毛に付いたり舐める事で、口からタバコの成分が体内に入っていきます。

自宅に空気清浄機があるから大丈夫、換気扇の下なら大丈夫と考えている方もいるかもしれません。空気清浄機は粒子状物質を除去できますが、ガス状物質は全て除去できません。換気扇にはたいした効果が無い事が分かっています。

動物は自分で毛づくろいします(とくに猫は懸命にします)。そのため、動物の前で喫煙しなくても飼主さんの体や毛に付いている副流煙で被害が起こります。

受動喫煙による主な疾患は、喘息、眼の疾患、アレルギー、肺、口腔内や鼻腔内の悪性腫瘍(とくにリンパ腫)です。

また、タバコのポイ捨てをする人たちがいます。水たまりに投げ捨てられるとたばこは溶け出し、水溶性のニコチンを多く流出します。外にいる猫は外の水がその水を飲んでしまうと中毒を引き起こす場合があります。


様々なタバコによる害に注意しましょう

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No.420 猫の原発性肝臓癌
No.408 ニコチン中毒
No.202 リンパ腫 (Lymphoma)


No.484 インコの嘴形成不全

セキセイインコやコザクラインコ、オカメインコなどのインコ系の鳥は、嘴が食べる時に重要な役割を果たします。嘴は爪のようなもので日々伸び続けています。

通常は少しずつ削れていくので変わらないように見えます。嘴形成不全は、肝機能障害や高脂血症、アミノ酸欠乏、PBFD(サーコウイルスの感染症)、疥癬などが主な原因です。肥満鳥も要注意です。特発性(原因不明)の場合もあります。これらの様々な原因によって嘴の成長板細胞に異常が生じ、嘴のタンパクの合成異常が起こり、主に上嘴が過伸長し、場合によっては変色や出血班などがみられます。また、羽根の破損やストレスライン(羽根に白や黒の横線が入ったり一部が途切れたりしている状態)がみられることがあります。放置するといずれは上手く食事が出来なくなってしまいます。

治療法は、嘴のトリミングをして基礎疾患を治療していきます。切る過ぎると食事をしづらくなるので注意深くカットします。意外に伸びるのは早いです。一度歪んだ嘴はなかなか元に戻りませんので、基礎疾患が完治しないと定期的(3-5週間毎くらい)に嘴を削る事になります。

御家庭で爪切りなどを用いて切る方がいらっしゃるのですが、とても危険です。綺麗に削れると良いのですが、出血させると命にかかわる場合があります。縦割れしてしまうと対応が複雑になります。


セキセイインコの嘴の過長

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No.405 小鳥の出血
No.321 セキセイインコの肥満


No.483 小鳥の多飲多尿

多飲多尿は鳥類の診療においてしばしば遭遇する症状の1つです。鳥の尿には水分尿と尿酸の2つがありますが、ここで言う多尿とは水分尿が多いことです。鳥は尿と糞便を同時に排泄するため、排泄された水分が全て純粋な尿とは限りません。 下痢の場合には、腸管から分泌された水分が排泄されることもあり、多尿の多くは下痢と勘違いされています。実際に下痢の場合もありますが、多飲多尿の時の便は形状を保っており、その周囲に浸み込む水分が多い状態です。鳥の正確な尿量を測定することは困難なため多尿の定義は不確定ですが、体重の20%以上の水を飲み便の周囲に1cm異常の水分が浸み込んでいれば多尿と判断します。

小鳥の多飲多尿の原因は様々ですが、主に生理的な原因と病的な原因に分けられます。

生理的な原因
・換羽期:換羽期は甲状腺ホルモンが多量に分泌されるため代謝率が増加し、肝臓においてタンパク質合成が盛んに行われることの結果として多尿となります。
・雌の繁殖期:発情期はエストロジェンの影響で血中Caが増加し、多尿が引き起こされます。また産卵のためCaや水分摂取量が増加し多量の代謝水が産生されます。肝臓においてもタンパク質の合成が盛んに行われ、その結果多尿となります。
・食事:ペレット食、野菜・果物の多給
・その他:興奮やストレス、高温多湿環境など

病的な原因
・腎臓病:糸球体腎炎、感染性腎炎、腎腫瘍、痛風、高Ca、腎リピドーシス
・肝臓病:肝炎、肝リピドーシス、肝腫瘍
・糖尿病
・ビタミン異常:ビタミンD過剰症、ビタミン欠乏症
・その他:下垂体腫瘍、・二次性副甲状腺機能亢進症、敗血症など

診断は、生活環境、身体検査、糞便検査、レントゲン検査、血液検査などを実施して総合的に判断します。しかし小鳥では血液検査が難しい場合も多く、必ずしも確定診断が可能なわけではありません。現実的には仮診断をして、治療的診断を行っていく場合がほとんどです。

多飲多尿の原因が生理的な場合には基本的に治療は必要ありません。病的理由の場合にはその病態に応じた治療を行います。

小鳥でも多飲多尿は注意です

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No.426 猫の肝リピドーシス
No.424 高Ca(カルシウム)血症
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No.91 小鳥の基本
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No.55 慢性腎臓病(CKD)1
No.3 飲水量とPUPD