No.519 フェレットの肝不全

飼いやすく可愛らしく人気のあるフェレットは、調子が悪い時や健康診断で肝臓が悪いと診断されることが多くあります。フェレットの肝臓疾患は、細菌性胆管肝炎、肝リピドーシス、リンパ球性胆管炎、肝臓癌やリンパ腫などの各種の腫瘍、胆石などの発生が多様に発生し、とくにリンパ球性胆管炎などは自己免性疾患として多発することでも有名です。しかし、近年になってフェレットから E 型肝炎ウイルス(HEV)が検出され、肝炎の原因の1つに考えられるようになりました。

HEVはヘペウイルス科ヘペウイルス属に属し肝炎を引き起こします。 シカ、ブタ、イノシシからヒトへのHEV の感染はよく知られていて人獣共通感染症として認識されていますが、フェレットのHEV抗原性や疫学は依然として不明です。ヒトに伝染するかどうかも明らかではありません。

実際の症状は、無症状のものから、急性肝炎や持続感染のパターンが知られ、それぞれの感染したヘペスウイルスの株などで異なることが予想されています。今後の研究で病原性が解明されていくと思いますが、現在のところ、日本では死後の剖検でないと確定診断ができません。治療も、肝臓の保護薬や点滴、その時の状態対しての対症療法が基本となります。


フェレットの肝炎に注意しましょう

こちらもご参照下さい
No.429 慢性肝炎
No.426 猫の肝リピドーシス
No.365 門脈体循環シャント (Portosystemic Shunt:PSS)
No.344 犬の胆嚢粘液嚢腫
No.189 膵炎(Pancreatitis)
No.72 肝臓の検査2
No.71 肝臓の検査1
No.70 胆嚢疾患(Gallbladder disease)