白血球の働きは、この30年くらいで非常に多くのことが分かってきました。その1つがサイトカインと呼ばれる物質の存在です。サイトカインとは聞きなれない言葉かもしれませんが、医学領域では、炎症・免疫・アレルギー・感染症・抗腫瘍などの生体防御系に影響する多くのことに関わる物質です。
サイトカインとは、抗原が感作リンパ球に結合したときに、そのリンパ球から分泌される特殊なタンパク質の総称です。細胞間の情報伝達・コミュニケーションの役割をします。サイトカインの働きに異常が生じると、様々な病気の出発点になってしまいます。ひとつのサイトカインは複数の機能を持ち、その上、いくつものサイトカインが同じ機能を持っているという特徴があります。また、サイトカイン同士が互いに影響してサイトカインの産生を調節するフィードバック機能も備えています。なかなか複雑です。
主なサイトカインを簡単に以下に挙げます。
インターロイキン(IL):白血球が分泌し免疫系の調節、細胞間のコミュニケーション機能の役割をします。現在30種以上が知られています。また、単球やマクロファージが分泌するものをモノカイン、リンパ球が分泌するものをリンフォカインと呼ぶこともあります。
インターフェロン(IF-αβγ):腫瘍などの病原体やウィルスなどの異物が体内に入ったときに分泌されます。主な役割は抗腫瘍・抗ウィルス・免疫増強作用です。
ケモカイン:白血球を遊走させる活性を持つサイトカインのこと。50種類以上あります。
造血因子(CFS):血液細胞・免疫細胞の増殖・分化に関与します。
腫瘍壊死因子(TNF-α):腫瘍細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導します。
この他にもたくさんのサイトカインが見つかっています。これからもどんどん新しいサイトカインが発見されていくでしょう。