オペラント条件づけは、道具的条件づけともいわれます。ある行動をした結果、何が起き、環境がどう変化したかによって、人も動物も適応して行動することを学習する。このような学習をオペラント条件づけという・・・わかり辛いですよね。なるべく、わかりやすく解説します。
オペラント反応とは、反応した結果に基づいて学習される反応のことで
-反応の自発頻度を高めることを→強化(Reinforcementある行動を続ける、ある行動が増える)
-反応の頻度を低くすることを→罰(Punishmentある行動をやめる、ある行動が減る)
といいます(罰という言葉が日本人の一般的な感覚とちょっと違いますね)
ある行動を続けさせたり(強化)、ある行動をやめさせたり(罰)するための刺激に、
-正(Positive加える):嬉しいこと
-負(Negative取り除く):嫌なこと
があります。
これらを組み合わせると4つのパターンが考えられます。
1 正の刺激で強化(正の強化):嬉しいことである行動の頻度を増やす→いわゆる、ご褒美を与えるトレーニング
2 負の刺激で強化(負の強化):嫌なことをなくしてある行動の頻度を増やす→馬のハミなど、痛みを取ることで行動を続けさせる
3 正の刺激で罰(正の罰):嫌なことである行動の頻度を減らす→いわゆる、体罰を与えることによるしつけ
4 負の刺激で罰(負の罰):嬉しいことをなくしてある行動の頻度を減らす→無視することである行動をやめさせる
実際の例で考えてみましょう。人に跳びつくワンちゃんの行動をやめさせたいとします。
1 正の刺激で強化:お座りをさせる→ご褒美
2 負の刺激で強化:跳びついたらつねる(イヤーレンチなど)、跳びつくのをやめたらつねるのをやめる。
3 正の刺激で罰:跳びついて来たら膝蹴り
4 負の刺激で罰:無視、後ろを向く
それぞれを検証してみましょう。
1は、跳びつくのをやめたら→お座りをさせる→ご褒美→跳びつくよりお座りの方が良いことがあるじゃん。という風に条件づけします。ポイントはお座り(伏せでも良いです)を入れることです。入れないと、跳びついたことに対してご褒美が貰えたことになります。2は跳びついている間中イヤーレンチ(ミミをつねる)などをし続けて、跳びつくのをやめたら離すというのを繰り返します。体罰の一種ですので、次の3とともにお勧めできません。3の正の罰を上手く用いるためには、毎回必ず、家族全員が、0.5秒以内に、その動物が痛くて辛いからもうその行動は繰り返さないと思えるが恐怖心を植えつけない程度の強度で、行うことが必要です・・・無理ですよね。正の罰は絶対にやめましょう。動物との関係を悪くするだけです。繰り返されれば虐待です。4は無視です。跳びついて来たら後ろを向いてしまう。これは、お勧めです。無視はとても良い負の罰です(とくにワンちゃん)。実際には1の正の強化と4の負の罰を併せて使って問題行動の治療にあたることが多いです。
オペラント条件づけ、次回に続きます。
今回の内容は、入交眞巳先生(北里大学)の横浜動物医療センターでの講義、高倉はるか先生(株式会社トリーツ)のリンゲルゼミでの講義を参考にしております。