院長一覧

No.262 皮下点滴の方法

慢性腎不全の場合など、ご自宅で皮下点滴を継続して頂く場合があります。皮下点滴の方法をご説明します。

輸液バック チャンバー クランプ 翼状針

 

1.手指を洗って、翼状針をチャンバーに繋ぎます
2.クランプを開け、空気抜きをして、クランプを閉じます
3.保定者は首の下とお腹に腕を回し、しっかりと保定します
4.翼状針のサックを外して、針先が上を向くように持ちます
5.首の後ろの背中の皮膚を、親指、人差し指、中指でしっかり引っ張り三角形を作ります
6.アルコール綿で皮膚を消毒し、親指の下で翼状針を根本までしっかり刺します
7.クランプを開けて皮下点滴を開始します
8.規定量が入ったらクランプを止め、針先を皮膚の上から持ち針を抜きます
9.そのまま1分ほど皮膚を摘んでおきます

輸液バック、チャンバー、クランプ、翼状針は全て医療廃棄物です。終わったら病院へお持ち下さい。
わからないことがあれば、お気軽にお問い合わせ下さい。


No.261 小鳥の開張肢 (ペローシス)

セキセイインコや文鳥などの小鳥のヒナに発症する開張肢(ペローシス)という疾患があります。腱はずれとも呼ばれます。マンガン、パントテン酸、ピリドキシン、ビオチン、コリン等の栄養不足や遺伝的疾患とも言われていますが、根本的な原因はまだわかっていません。

ペローシスの症状は、片脚もしくは両脚の大腿骨が内転し、脛足根骨が外転することで生じる開脚です。脚が自然の状態で開脚してしまい姿勢が維持できません。脚に荷重をかけられないため、胸で全体重を支えて雛鳥から成長していくために胸骨の変形や胸郭が浅くなります。胸郭が浅くなることで慢性的な呼吸不全、呼吸速迫が認められるケースもあります。

治療法としては、生後4週齢くらいまでの幼鳥であればテーピング固定を実施します。趾部を自着生伸縮包帯を用いて肩幅に合わせて固定します。このテーピングは慎重に行っても幼鳥の精神的ストレスや関節への負担で、食欲不振や関節の脱臼などが生じる可能性があります。4週齢以上の場合は生活環境を整備してQOLを上げる処置をしていきます。骨切りピンニングといって大腿骨を炭酸レーザーで切断して、ピンニングで大腿骨のねじれを矯正する手術で対応する方法もあります。


ペローシスの文鳥のヒナ


ギブスをして滑らない止まり木を使用します


No.260 開口不全症候群 (ロックジョー)

開口不全症候群(ロックジョー)は、英名で「Cockatiel Lock Jow Syndrome(CLJS)」と言います。主にオカメインコのヒナに発症する病気で、口(クチバシ)が開かなくなるようになり、食事を摂取できなくなり、衰弱死してしまいます。

ロックジョーの原因は、細菌感染によるものと言われています。ロックジョーを発症する前に、上部気道疾患(URTD)が先に発症します。URTDの中でも特に、化膿性副鼻腔炎に続発するケースが多いです。URTDの病原菌が、ロックジョーを引き起こす原因菌と考えられ、ボルデテラ(Bardetella avim)が最も重要な原因菌であると推測されています。また、その他の細菌やマイコプラズマ、真菌なども関連性が疑われています。

症状は、原因菌による炎症が顎や頬の細胞組織に波及して口が動かなくなります。URTD→半開きの濁った眼→顎の可動域の低下→食事ができなくて衰弱死。という風に病態が進みます。

治療は、抗生剤の投与を中心に、消炎剤、半導体レーザー、代替医療、リハビリなどを組み合わせて行います。自力で食事を摂取できないため、強制給餌による食事も行われます。強制給餌は誤嚥に十分注意して行う必要があります。

ロックジョーを防ぐため、オカメインコのヒナをお迎えした際は、まずは、動物病院で診察を受けて下さい。治療が難しい疾患ですが、早期に見つかれば救命率が高まります。ペットショップやブリーダーからオカメインコのヒナをお迎えする際は、必ず食事をしっかり食べているか確認して下さい。あまり食べていない、口を開きにくそうにしている場合、ロックジョーを発症している恐れがあります。


ロックジョーのオカメインコのヒナ


No.259 高血圧 (Hypertension)

犬猫の血圧の研究はたくさんありますが、正常値は、

・収縮期血圧(最高血圧)100~150mmHg
・拡張期血圧(最低血圧)60~100mmHg
・平均血圧80~130mmHg

と言われています。この数値は人間の血圧の正常値と似ています。ですが体格によっても異なりますし、品種によっても幅がありますし個体差もあります。この数値より異常に高くないか、低くないかという点に気をつけてあげることが大切です。
犬や猫では、最高血圧が150mmHg、最低血圧が95mmHg以上で高血圧と診断されます。とりあえずの目安としては、最高血圧が犬で150mmHg 以上、猫で160mmHg以上なら治療が推奨されます。180mmHg以上の場合はかなり合併症のリスクが高い重度の高血圧と設定されています。

ヒトの場合は、血圧が高くなるはっきりとした原因が特定できない本態性高血圧症が多いですが、犬猫の高血圧は、心臓病・腎臓病・内分泌疾患(糖尿病、犬のクッシング病、猫の甲状腺機能亢進症)などから二次的に認められることがほとんどです。

高血圧を放置しておくと、高血圧が原因で重い症状が現れることがあります。アメリカ獣医内科学会(ACVIM)は、犬猫での血圧測定と全身性高血圧の診断および治療に関するガイドラインを公表しています。このガイドラインでは、血圧を高血圧によって臓器に組織障害が発生する危険度と関連付けて分類しています。
高血圧で組織障害が起こりやすいのは、「腎臓」「眼」「中枢神経」「心臓血管系」の4カ所です。
腎臓の障害は、多飲多尿・体重減少・食欲不振・嘔吐等の症状として現れます。尿検査で蛋白尿が認められる時は、高血圧が原因の場合があります。
眼の障害は、突然の失明・瞳孔の散大・赤目(眼内出血)等の症状として現れます。眼底検査で、網膜の浮腫や剥離・眼底血管の蛇行・眼底出血・視神経乳頭の浮腫等があるかどうかで判定します。特に猫で網膜病変が認められた場合の血圧は、その他の組織障害が認められる場合に比較して、高血圧が著しいことがわかっていますので、網膜病変は、高血圧に伴うすべての症状の中でも、最も重要な所見となります。
中枢神経の障害は、痙攣発作・虚脱・無関心・見当識障害・抑鬱・眼振・斜頚・運動失調などの症状として現れます。これらは高血圧による脳浮腫・脳内出血・脳梗塞等が原因で起こります。神経学的検査やMRI検査で判定します。
心臓血管系の障害は、運動不耐性や呼吸促迫等の心不全兆候・心雑音・不整脈等の症状として現れます。胸部レントゲン検査・心エコー検査・血液検査等で判定します。

ACVIMガイドライン

ACVIMガイドラインでは、高血圧治療の開始の目安として、
1.眼、中枢神経に組織障害が認められる場合では、危険度Iの段階から
2.腎臓、心臓血管系に組織障害が認められる場合では、危険度II以上の段階から
を推奨しています。高血圧はサイレントキラーなどとも呼ばれ、気づいた時には重症化している場合も多いです。個人的には組織障害が出ないうちに治療を開始すべきだと思います。8歳を過ぎたら年に1-2回の健康診断で血圧測定をして、高血圧を早めに発見して対処しましょう。


犬の血圧測定


No.258 犬の脳炎

犬の脳に炎症が起きて、ひどくなると壊死を起こす病気で、てんかんのような痙攣発作や視力障害、頚の傾き(斜頸)や眼振などの前庭障害を起こします。重症化すると意識障害を起こします。若い犬でも発症が見られます。

原因はウィルスや細菌、真菌、原虫に感染して起こる感染性のものと、非感染性のものにわけられますが多いのは後者です。感染性のものは犬ではジステンパーウィルスが原因のものが多いです(猫ではFIPウィルス)。非感染性のものは自己免疫性疾患だと考えられています。

犬の非感染性脳炎は、主に以下の3つに分類されます。

肉芽腫性髄膜脳炎(GME):脳の中に肉芽腫ができて、肉芽腫が出来た場所によって症状が違います。好発犬種はなく、多くの犬種で発生します。大型犬は比較的稀です。

壊死性髄膜脳炎(NME): パグで多く発生するため、別名パグ脳炎とも言われています。シーズー、マルチーズ、ポメラニアン、チワワなどでも発症します。大脳皮質が炎症を起こし、脳が壊死して行きます。

壊死性白質脳炎(NLE):脳の白質に病巣を形成します。ヨークシャーテリア、チワワによくみられます。

脳炎の診断鑑別には、似た症状を示す病気を除外したのちに、最終的にMRI検査やCFS(脳脊髄液)検査で行います。

治療は、免疫抑制剤、抗てんかん剤で症状をコントロールします。GMEの場合は放射線療法を行う場合もあります。代替医療が著効する場合もあります。

こちらもご参照下さい
No89 癲癇、てんかん


No.257 犬の原発性肝臓腫瘍

高齢化や超音波などの検査器具の性能の向上によって、犬の肝臓の腫瘍の発見が増えています。当院でも肝臓の手術は年々多くなっています。肝臓の腫瘍も原発性と転移性に分けられます。今回は原発性の肝臓腫瘍の話です。症状は、食欲不振、体重減少、嗜眠、嘔吐、多飲多尿、腹水による腹囲膨満等が一般的ですが、重度の場合、黄疸、肝性脳症なども認められます。また、無症状で健康診断などで偶発的に発見されることも多くあります。肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、腫瘍が発生しても症状が出にくく、発見時には重症化している場合があります。また、高齢で発生するので、手術をすべきか迷われる飼主様も多いのが実情です。原発性の肝臓腫瘍の多くは手術で根治が見込めますが、年齢や健康状態によっては手術を回避せざるを得ない場合もあります。

肝臓は腸が吸収した栄養分を代謝・解毒するための臓器であり、肝細胞・胆管・血管からなります。肝臓に発生する主な腫瘍としては、肝細胞由来、胆管由来、血管由来の腫瘍が挙げられますが、肝細胞由来(結節性過形成・肝細胞腺腫・肝細胞癌)が最も多く、全体の 8 割以上を占めます。基本的に、これら3 疾患は孤立性の発生であれば、手術により良好な予後が期待できます。以下、主な肝臓腫瘍を簡単にご説明します。

手術で取りきれれば予後が良好なもの
結節性過形成:悪性のものではないが進行性に大きくなる場合は切除の必要あり
肝細胞腺腫:良性腫瘍、進行はゆっくり
肝細胞癌:肝臓の悪性腫瘍の約50%、進行はゆっくりで他の臓器への転移も稀

再発に注意が必要なもの
肝胆管癌:肝細胞癌と胆管癌の中間の悪性度

肝内転移、他の臓器の転移が起こりやすく、予後は不良の場合が多いもの
胆管癌:多くは多発性で手術適応にならない場合も多い
血管肉腫・カルチノイド・肥満細胞腫・その他の悪性腫瘍:進行が非常に早く多発性、他の臓器への転移も早い

肝臓腫瘍の手術の危険度は、腫瘍が肝臓のどこに発生しているのかによって大きく変わります。犬の肝臓は右肝区域(外側右葉、尾状葉)、中央肝区域(内側右葉、方形葉、胆嚢)、左肝区域(内側左葉、外側左葉)からなり、左肝区域は分布する血管が長く、比較的 後大静脈から距離があるため摘出しやすいのに対し、中央肝区域と右肝区域の腫瘍は血管の結紮・切断の際の出血リスクが高くなり危険度が上がります。また、肝葉の辺縁から発生している腫瘍は比較的安全に切除できますが、肝葉の基部に発生した腫瘍では摘出の難易度は高くなります。 個々の症例において、術前の超音波検査や、可能ならCT 検査を実施してどの肝葉から発生している のか、どの血管を処理すれば摘出できるのかを評価しておくことは、手術のリスクを下げるために重要です。

肝細胞癌
クリックすると手術時の写真が出ます
苦手な方はクリックしないで下さい


No.256 皮膚糸状菌症 (Dermatophytosis)

皮膚糸状菌は動物の体表に感染する病原体であり、真菌(カビ)の一種です。皮膚糸状菌は数種類存在しますが、その中でも動物に一番罹患率の高いのはMicrosporum.canis(以下M.canis)です。

皮膚糸状菌はヒトにも感染する、いわゆる人獣共通感染症です。犬猫だけでなく、ハムスター、うさぎ、ハリネズミなど多くの哺乳類が感染します。飼っている動物が発症してしまった場合にはヒトに感染するリスクが高まりますので十分な注意が必要です。ヒトには丸く赤い皮膚病が腕に出る場合が多いです。さらに、一緒に飼っている動物にも感染しますので感染動物は他の動物との接触を避ける必要があります。

皮膚糸状菌は、被毛や皮膚の表面に感染し、主な症状は脱毛、赤み、フケなど様々な症状があり、最初は痒みは少ないのが特徴です。

感染しやすい動物は免疫力がまだ十分に備わっていない幼若動物や免疫力の低下を引き起こす病気を持っている高齢動物です。臨床現場では幼若動物で遭遇する機会が多かったのですが、近年は高齢動物に多発しています。また、ステロイド剤や免疫抑制剤などの長期使用も原因となることがあります。ヨークシャーテリアは皮膚糸状菌への感染リスクが高いです。

検査はウッド灯検査、毛検査、皮膚掻爬検査、真菌培養検査があります。ウッド灯検査とは、M.canisが発生する物質に対してライトを当てるとその物質が付着している皮膚や被毛が発色することを利用した検査です。近年、良いウッド灯が作られM.canisの検出が容易になりました。確定診断はその疑わしい被毛を毛検査で採取、または皮膚掻爬検査で周囲の皮膚組織を採取し、顕微鏡で観察することで行います。上記の検査で診断が難しい場合や皮膚糸状菌の種類の特定、治療の経過を判断するために真菌培養検査も実施することがあり、14日ほどの培養期間を要します。

治療は長期に渡ることが多く、最低でも6-8週間ほど完治にかかります。治療内容としては感染被毛およびその周囲被毛への外用薬の塗布、内服薬、シャンプー療法、剃毛、飼育環境の改善があります。病状によってはシャンプー療法のみで完治する場合もありますが、治療が終了し、治ったと思った矢先に再発することもあります。自然界(自宅の環境)で長期にわたり生存する(18ヶ月生存していたとの報告もあります)ことが再発の原因となります。再発を予防するためには飼育環境の改善が重要となり、皮膚糸状菌を除菌し、身近な環境中に皮膚糸状菌を生存させないことが必要です。飼育環境改善は、感染動物が使用していた、食器、トイレ、タオルなどを破棄、消毒します。消毒は塩素系漂白剤などを使用するか、熱湯消毒をします。とくに夏場は室温や湿度の管理も重要です。


ウッド灯に反応しているM.canis


No.255 飼主様向けセミナー講師変更のお知らせ

講師の岩崎先生が、昨日、事故で骨折されたため、講師の変更をさせていただきます。

日時:10月18日(日)16:30-18:30 (開場16:00)
場所:横浜ベイシェラトン 4階 清流
テーマ:皮膚のアンチエイジング
講師:芋川玄爾(いもかわげんじ)先生 宇都宮大学教授

芋川先生は、皮膚の研究を長くされており、セラミドの保湿機能の発見者であり、アトピー性皮膚炎時のセラミド減少を引き起こす特異酵素スフィンゴエリンデシラーゼ酵素の発見者としても有名です。シミや紫外線の皮膚への影響においても多くの論文を書かれています。また、ニベア、ビオレU、キュレルなどの有名な商品の設計もされた先生です。今回、基本的には、ヒトの皮膚の話になりますが、動物にもとても参考になるセミナーです。

講演もとても人気のある先生です。楽しくわかりやすいお話をしていただけます。ご都合の付く方は、是非ご参加ください。

当日は、新型コロナウィルス対策のため、ホテルのスタッフと協力し、検温、消毒の感染対策をして開催します。当日、受付の検温で37.5℃以上の熱がある方は入場をお断りさせていただきます。また、ご参加の方は必ずマスクの着用をお願いします。ソーシャルディスタンスを取るため、今回は先着80名様のご参加とさせていただきます。参加資格は当院の診察券をお持ちの方で参加費は無料です。

参加ご希望の方は、受付で配布している書類に、必要事項をご記入の上お申込みください。このメルマガをご覧になっていただいている方に限り、お電話での申し込みも受け付けます。お電話で『423号のメルマガを見た』とお伝えください。締め切りは10月4日(日)ですが、80名となった時点で締め切りとさせていただきます。ご質問やご要望があれば、ご連絡下さい。また、新型コロナウィルスや社会の状況で、開催に変更がある場合は、このメルマガやホームページなどでご案内します。よろしくお願いします。


No.254 第19回飼主様向けセミナーの開催のお知らせ

新型コロナウィルスのため延期になっていた、ウェスト動物病院 第19回飼主様向けセミナーを開催します。

日時:10月18日(日)16:30-18:30 (開場16:00)
場所:横浜ベイシェラトン 4階 清流
テーマ:『動物の皮膚病(仮題)』
講師:岩崎利郎 先生

岩崎先生は、アジア獣医専門医の団体を発足させて、日本人で初めて、アジア獣医皮膚科専門医になられた、獣医師なら知らないものはいない伝説の先生です。
元東京農工大学共同獣医学科の教授で、現在は日本不妊症学会の理事をされています。
講演も人気があって、とても楽しくわかりやすいお話をしていただけます。ご都合の付く方は、是非ご参加ください。

当日は、新型コロナウィルス対策のため、ホテルのスタッフと協力し、検温、消毒の感染対策をして開催します。当日、受付の検温で37.5℃以上の熱がある方は入場をお断りさせていただきます。また、ご参加の方は必ずマスクの着用をお願いします。ソーシャルディスタンスを取るため、今回は先着80名様のご参加とさせていただきます。参加資格は当院の診察券をお持ちの方で参加費は無料です。

参加ご希望の方は、受付で配布している書類に、必要事項をご記入の上お申込みください。このメルマガをご覧になっていただいている方に限り、お電話での申し込みも受け付けます。お電話で『254号のメルマガを見た』とお伝えください。締め切りは10月4日(日)ですが、80名となった時点で締め切りとさせていただきます。ご質問やご要望があれば、ご連絡下さい。また、新型コロナウィルスや社会の状況で、開催に変更がある場合は、このメルマガやホームページなどでご案内します。よろしくお願いします。


No.253 ペットの新型コロナウイルス感染症のPCR検査について

8月3日にペット保険会社が実施している新型コロナウイルスに感染した飼主様からのペットホテルにおいて、2頭の犬がPCR検査陽性であったとのプレスリリースがありました。この件に対して、東京都獣医師会が飼主様向けの文章を発表しました。

1.PCR検査は、飼い主が新型コロナウイルス感染者であるかペットが新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した場合にのみ推奨されます
2.ペットから人への感染は報告されていません
3.飼育環境下でのペットからペットへの感染は報告されていません

ネットニュースなどでも報道されたので、不安を感じられている方もいらっしゃることと思います。この報道により、ペットへの感染を心配する飼主様から、「ペットのPCR検査はどこで受けられるの?」といった問い合わせがありますが

・ご自身や同居する家族が新型コロナウイルス感染症に感染していない
・新型コロナウイルス感染者とペットとの濃厚な接触がない
上記の場合、ペットのPCR検査は世界的に推奨されていません。

PCR検査は、検体を採取した時点で、採取した部分(喉の奥や鼻腔内等)にウイルスの遺伝子があったかどうかが分かる検査です。その後の日常生活の中でウイルスが付着する可能性はありますから、PCR検査での陰性結果を維持するためには、「検査後に一切外出しない」「人と会わない」といった極端な行動制限をしない限り、毎日検査をし続ける必要があることになります。これまでの各国からの報告によると、PCR検査の後、抗体検査でも陽性となり、感染が確認された犬や猫においても、10日から2週間が経過するとウイルスの量は大幅に減り検出不可能になります。そこで、感染者の飼育動物に対し、念のために2週間の検疫(感染対策を講じて接する)期間をおくように提案しされています。ペットを守るために大切なことは、飼主さんが感染しないことです。

原文はこちら