セキセイインコや文鳥などの小鳥でお腹が膨らむ腹囲膨大はよくある症状です。原因にもよりますが、外見上、腹囲膨大が認められるときには重症になっている場合も多いので注意が必要です。
診断の手順としては、まずは腹部の触診と強い光を当てるライティングという検査をします。その次にレントゲン検査、場合によってはバリウムを使った消化管造影を行います。必要であれば超音波の検査も行います。血液検査が必要な場合もあります。
腹囲膨大は生殖器疾患と生殖器以外の疾患に分けられます。生殖器疾患には、卵塞(卵詰まり)、腹壁ヘルニア、卵管蓄財症、卵黄性腹膜炎、卵巣・卵管の腫瘍、精巣腫瘍などがあり、非生殖器疾患は肝・胆嚢疾患、腹水、腎臓腫瘍、その他の腹腔内腫瘍などがあります。その中から、よくみられる卵塞と腹壁ヘルニアの原因と治療について簡単にご説明します。
・卵塞(卵詰まり)
原因:寒冷などの環境、ストレス、Ca不足、ホルモン異常、高齢など様々です。小鳥は排卵後24時間以内に産卵するのが正常です。また、長時間の卵の停滞は腎臓を傷めることがあります。
治療:卵が卵殻腺から膣部にある場合は卵圧迫排出処置が可能です。指で卵を押して強制的に塞卵を排出させる方法です。しかし、圧迫により卵が総排泄腔に向かわない場合は、卵管上部あるいは卵管外にある可能性があり卵圧迫排出は困難です。この場合は全身麻酔下の手術による卵の摘出を行 います。ご自宅で無理に卵圧迫排出処置をすることは非常に危険です。絶対に行わないでください。
・腹壁ヘルニア
原因:腹筋が切れたり緩んだりすることで、皮下へ臓器が出てきた状態です。過度の産卵や慢性発情によるエストロジェンの過剰が原因といわれていますが、明確にはわかっていません。通常、皮膚は黄色くなり肥厚します(キサントーマ)。
治療:全身麻酔下の手術でヘルニアを整復しますが、重症なもの経過が長い場合には再発も多いです。
腹囲膨大は小鳥によくある症状ですが原因は様々です。気がついたら早めの受診をおすすめします。
セキセイインコの卵塞(卵詰まり)