No.474 趾間膿胞(しかんのうほう)

趾間膿胞は趾間の感染症から生じます。皮膚深部の細菌感染により腫瘤が形成されます。軽度の感染から炎症が進行し、症状が進行すると疼痛が出て排膿します。

動物が患部を舐めたり咬んだりすることで悪化するので、患部を清潔に保つことは大変困難です。趾間に短い剛毛質の毛を持つ犬種、ダックスフンド、イングリッシュ・ブルドッグ、ラブラドール・レトリバー、シーズーなどによく起こりますが、どの犬種にも発生します。猫では稀です。

原因は、歩行時に毛包内に毛が逆に入り込むことが元になって、毛包の深部で炎症を起こしたり、散歩中に尖った植物の種などの異物が入り込んでしまい炎症を起こすといわれています。また、アトピーや犬の毛包虫症、真菌症、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、自己免疫疾患などが原因となっていることもあります。

内科的な治療は、舐めることを止めさせ細菌の二次感染を防止します。皮膚が治癒するまでの間はエリザベスカラーや包帯で舐める行為を防ぎます。抗生剤やステロイド剤による長期間の薬物療法も必要です。抗生物質が膿胞内に侵入するのは困難であるため8週間以上の抗生物質による治療が必要になることがあります。そのため外科的な切除が最も有効な治療です。小さいうちなら局所麻酔での切除も可能です。アトピーや毛包虫症、ホルモン疾患などの原因が関与する場合には、その治療も行います。趾間膿胞は同部位や他の部位で再発することもあります。

予防は、肉球の間や指の間を清潔に保つようにします。足の裏の毛をカットする。散歩の後に足先を拭く、足浴もオススメです。犬や猫は唯一肉球にだけ汗をかきますので、日常的にこまめに手入れをして細菌が繁殖しないようにすることが重要です。肥満傾向の場合は減量も効果的です。


趾間膿胞

こちらもご参照下さい
No.382 皮膚のしこり(結節)2
No.381 皮膚のしこり(結節)1
No.79 犬の副腎皮質機能亢進症(Cushing’s syndrome)
No.77 犬の甲状腺機能低下症 (Hypothyroidism)