急性腹症とは急激に発症し、激しい腹痛を伴う数多くの疾患の総称で、早急に診断・治療(多くは外科手術)を必要とします。原因としては、消化器疾患に限らず泌尿生殖器疾患なども含まれます。どんな動物でも起こる可能性がありますが、犬に多く起こります。
症状は原因、程度によって様々ですが、通常は腹部の痛みを訴え、お腹を伸ばしたり、丸めたりします(背弯姿勢)。また、重症となると動けなくなり、さらに痛みが強い時には、ショック症状(血圧の低下などの循環不全、意識障害)を伴う、より重症の場合もあり、このような状態では、ショックの治療とともに呼吸・循環の管理を行いつつ検査・緊急手術が必要な事があります。
一般的に、急性腹症と考えられる病気・病態には、穿孔性腹膜炎(腸に穴が開いてしまった状態)、腸閉塞、腸重積、胆嚢粘液嚢腫、胆嚢破裂、急性膵炎、脾臓破裂や肝臓破裂による血腹、尿管結石、尿閉、子宮破裂、卵巣捻転などがあり、これらは緊急手術・処置を必要とする場合がほとんどです。
診断にあたっては、体の診察、各種検査だけではなく、病歴、以前にお腹の手術を受けたことがあるか、特殊な薬を飲んでいるかなどの情報も重要です。
いずれにしても、急性腹症は命にかかわることが多いので迅速な対応が必要です。
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急性腹症の1つ胆嚢粘液嚢腫
こちらもご参照ください
No.425 腹腔内出血(血腹)
No.391 腸重積
No.383 尿道閉塞(尿閉)
No.344 犬の胆嚢粘液嚢腫
No.328 尿石症:腎・尿管・膀胱・尿道結石
No.189 膵炎