お手入れ・シャンプー・マッサージ
高齢になると自分自身で皮膚や被毛を清潔に保つことが困難になってきます。ブラッシングは犬でも猫でも可能な限り毎日行ってください。目ヤニを湿らせたコットンで取り除いたり、耳のお手入れをしたり(→57.58)、爪を切ってあげたり肛門腺の処置も重要です。
まず、皮膚や被毛を清潔に保つためにはシャンプーも必要です(→12)。しかし、シャンプーは動物にとって、かなり体力を消耗するものだということを理解してください。暖かい場所でぬるま湯で手早く行うことが必要です。皮膚にトラブルがある場合は獣医師にシャンプー剤を選んでもらってください。ドライヤーはナノイードライヤーが個人的にお勧めです。ドライシャンプーでは、皮膚や被毛を清潔に保てないのでおすすめできません。
マッサージも喜ぶ動物が多いです。時間がないときは優しく触ってあげるだけでも効果があります。毎日の習慣にしましょう(→20.21)
刺激を与える
脳の老化を防ぎ認知症を予防するために、散歩コースを変えたり、遊び方を変えたりして脳に刺激を与えましょう。様々な頭を使うおもちゃも販売されています。
また、状況が許せば、犬や猫が7~10歳になったときに、また新しい若い犬や若い猫を一緒に飼うのも刺激を与えることになります。
必要な予防
予防接種も健康状態が良ければ、高齢動物ほどきちんとやることが重要です。犬の狂犬病ワクチン(→7.47)は法律で接種が義務付けられています(健康状態が悪く接種できない場合は猶予証明書が必要です)。混合ワクチンはもちろん、フィラリア、ノミ、ダニの予防も、現在では非常に安全な処置になっています。
自力で立ち上がるのが困難になり寝返りもできなくなってきたら、褥瘡(床ずれ)に気を付けてください。皮下組織の薄い、腰、肩、肘などはとくに褥瘡が起きやすいです。低反発マットやエアマットレスを使用して可能ならば2時間おきに体位を変えてあげることが必要です。
また、注意していただきたいものに脱水があります。高齢動物は飲水も困難になってくるため脱水状態になりやすいです。脱水は各臓器の働きを低下させます。また、慢性的な脱水が続くと高Na血症という治療の困難な状態になってしまいます。水分を十分に採らせましょう。犬猫の必要な飲水料は1kgあたり40~60ccです。状態によっては点滴で水分を補ってあげることが必要な場合もあります。
治療
高齢動物への薬物治療は、代謝が落ちていたり、病気が複数だったり、隠れている病気が存在することもあるので慎重に行う必要があります。当院では従来の治療法に加えて、副作用の少ない、レーザー、ホメオパシー、音響療法、サプリメント、漢方などの代替え医療を用いて統合医療を行っております。