よくある犬猫のトラブルの1つは外耳炎です。外耳は輪状軟骨、楯状軟骨、耳介軟骨という3つの弾性軟骨が組み合わさってできています。
動物の耳を覗いたときに、最初に見える比較的平たい部分を舟状窩(せつじょうか)、少し下に行ってヒダヒダが多くなって来たところを耳輪脚(じりんきゃく)と言い、この舟状窩と耳輪脚で耳介を形成しています(ちなみに耳輪脚のヒダヒダは、耳を縦に閉じるとうまく重なるようにできています)。耳輪脚の先が外耳道です。外耳道には縦の道(垂直外耳道)と横の道(水平外耳道)があり、その奥に鼓膜があります。
外耳炎の主な原因は
・外傷:自傷(自分での掻き壊し)、人為的(人による不適切なケア)
・脂漏のある湿疹:脂漏性皮膚炎(マラセチア)
・脂漏のない湿疹:アトピー、アレルギー(食物、寄生虫)
・その他:異物、感染症(疥癬、細菌、真菌)、免疫介在性疾患
以上のようなものが挙げられます。また、
外耳炎の素因としては
先天的要因として
・構造異常:狭い耳道、耳毛、下垂した耳介、深い耳輪脚
・機能異常:脂漏症、アトピー素因
・犬種:アメリカンコッカースパニエル、フレンチブルドッグ、スコティシュフォールド、アメリカンカール
後天的要因として
・環境要因:気候的要因(季節)、人為的要因(人による不適切なケア)
・身体要因:機能的要因(内分泌異常)、構造的要因(ポリープ、腫瘍)
以上のようなものが言われています。また、外耳炎がひどくなって慢性化してしまうのは、以下のような場合です。
慢性化してしまう因子(持続因子・悪化因子)
・薬疹
・二次感染:ブドウ球菌、緑膿菌
・外耳の病理学的変化:表皮肥厚、慢性炎症、潰瘍、耳垢腺の増生、石灰化
・中耳の病理学的変化:鼓膜穿孔、中耳炎、真珠腫
また、耳の痒みを放置すると、動物が激しく頭を振ることで耳介軟骨の骨折が起こり、その結果として軟骨内に激しい出血が起こることがあります。この状態を耳血腫といい、しばしば外科的な対処が必要となります。
一言で外耳炎と言っても、なかなか複雑ですね。
次回は治療・予防の話です。