No.427 ハリネズミの歯周病

ハリネズミでは歯肉炎・歯周炎などの歯周病が一般的です。特に高齢になってくると起こりやすい病気です。また、歯周病は歯の周囲だけの病気ではありません。細菌は血流に乗って全身を巡り、肝臓や腎臓などの内臓疾患を引き起こします。

食事を取ると歯の表面に食べ物カスが付着します。これを栄養にして増殖した細菌の塊を歯垢といいます。歯垢は時間が経つと固い歯石となって歯にこびりつき、歯と歯肉の隙間(ポケット)に入り込んで炎症を起こし歯周病となります。缶詰やウェットフードばかりを与えていると歯石が付きやすくなり、糖質の高い果物やフード、炭水化物の多い食餌は虫歯を引き起こす原因にもなります。また偏った食事により、ビタミン・ミネラル不足による免疫力の低下が原因で、歯肉炎等や口内炎が起きる場合もあります。また、ハリネズミは口腔内に雑菌が非常に多く、硬いフードのかけら等で口腔内を傷つけ、同様の症状が出る場合もあります。とくにハリネズミ同士が喧嘩して噛むと相手が炎症をおこしやすいので注意が必要です。

歯周病の主な症状は、口が臭い、歯の変色、歯肉が赤くなり腫れる、歯がぐらつく、歯が抜ける、痛みや違和感から口元をしきりに気にする、固いものを食べなくなる、食欲・体重が落ちるなどです。

治療は、全身麻酔をかけ、歯石の除去や抗生剤の投与などを行います。進行度によっては抜歯も必要です。また、麻酔下で精査すると口腔鼻腔瘻や腫瘍が発見される場合もあります。

予防は虫を食べさせることです。本来ハリネズミは食虫目といって野生化では基本的に甲虫やチョウの幼虫、ミミズ、カタツムリなどの小さな虫を食べていると考えられています。身近で手に入りやすいミルワームの外皮やコオロギの外骨格は繊維質に富んでいて、噛むことによって歯についた歯垢を除去してくれる効果が期待できますので、ぜひ食べさせてあげてください。ただし、昆虫食ばかりだと、代謝性骨疾患になるので注意が必要です。

こちらもご参照ください
No.359 歯肉炎と歯周病と歯槽膿漏
No.323 代謝性骨疾患 (Metabolic bone disease:MBD)
No.98 歯周病2 (Periodontal disease
No.97 歯周病1 (Periodontal disease


歯周病で歯茎が腫れているハリネズミ