No.305 血糖値

血糖値は糖尿病や低血糖などが疑われるときに測定します。動物で血糖値が上がる(高血糖)原因として代表的な疾患は糖尿病(→No304糖尿病)ですが、その他にもグルココルチコイド製剤など薬剤による高血糖、クッシング症候群(→No.79 犬の副腎皮質機能亢進症)、さらに膵炎(→No189膵炎)などが挙げられます。ウサギなどでは、痛みで高血糖になる場合があります。

一方で血糖値が極端に下がる(低血糖)原因としては、インスリン製剤の過剰投与、インスリノーマ、敗血症や肝不全、さらには過度な運動や若齢動物、そして長期間の絶食などが挙げられます。

これら高血糖および低血糖を引き起こす疾患のなかで、特に重要な疾患として糖尿病が挙げられます。

糖尿病治療時に使用するインスリン製剤を評価するうえで、重要な検査の一つに血糖値曲線の作成があります。使用するインスリン製剤にもよりますが、犬ならNPH製剤(ノボリンNなど)、猫ならインスリンデテミル(レベミル)を使用しますが(今は動物用のプロジンクもあります)、最低でも犬なら8時間、猫なら12時間、血糖値曲線を作ります(それぞれの使用するインスリン製剤の作用時間に合わせて設定します)。空腹時血糖値の測定から、食事を摂食させてからの1時間、そしてインスリン製剤を投与してからの1時間と3時間は、コンスタントに測定します。その後の測定間隔は、2~3時間を目安に測定します。このように血糖値の頻回測定は糖尿病症例における血糖値曲線を作成するうえで重要で、高血糖ピークおよびnadir(最低値)を把握することが、糖尿病症例に対するインスリン投与量の決定につながります。また、猫ではインスリン量決定のために、経口・静脈糖負荷試験が必要な場合があります。