ウサギの足の裏には犬猫のようにクッションとなる肉球がなく代わりに豊富な被毛で覆われています。しかし、何らかの理由で足の裏の毛が失われると、大きなトラブルになってしまうことがあります。ソアホック(足底潰瘍、飛節糜爛)とはこの足底の皮膚におこる病変です。足の中央付近とかかとの部分は骨が皮膚に近いため床ずれのような状態が発生しやすくなっています。脱毛し軽度に赤く腫れる程度から、重度な潰瘍を起こし、出血や感染を起こす場合もあります。感染が骨や関節にまで波及すると、断脚が必要になったり、全身的な敗血症に陥り死にいたるケースもあります。
フローリングでの飼育やケージの底が硬すぎることが大きな要因になります。本来は自然界の土の上のようにデコボコした環境が好ましいと考えられています。しかし、多くの飼主さんがスノコで飼育されているのに、病気になる個体と平気な個体がいるので、床材だけが原因ではありません。床が湿っていて不衛生だったり、ケージが狭すぎて運動不足だったり、栄養を取りすぎて肥満になることも原因として挙げられます。また、爪が伸びすぎていたり、全身的な体調不良や栄養失調でも発症の危険性が高くなります。
治療の最初は、飼育環境の再確認です。衛生的な環境で発症したのであれば、更にクッション性を持たせる為に、牧草を敷き詰めたり、市販の休足マットを何枚かケージに使用します。足の裏に糞尿が着いてしまわないようにマメにスノコやトイレの掃除も必要です。ケージが狭い場合は大きめのものを用意したり、肥満がある場合では、イネ科の牧草(→No282ウサギと牧草)を主食にして自然なダイエットを行います。感染による炎症が疑われる場合、抗生物質や消炎剤の内服や、クッション性のあるガーゼやコットンを当てたテーピングを行う場合もあります。テーピングの際はウサギがテーピングを気にして齧って食べてしまう(誤食)の危険性もあるので注意します。エリザベスカラーが必要になる場合もあります。非常に治療に時間がかかる病気なので、早期発見の為に日頃から足裏のチェックをしてあげてください。
足底皮膚炎のウサギ