No.252 成長板の骨折 (Salter-harris)

成長期の骨には成長板があり、そこで骨が作られ長く硬く成長していきます。特に長幹骨という長い骨(腕や足の骨)では、成長板は重要な組織です。

しかし、成長板は普通の骨と比べると脆く、落下や激突などの外力の衝撃によって折れやすい部分です。成長板が折れたままになると、骨の成長が阻害され、骨が短くなったり、曲がったりします。

成長板の骨折にはソルターハリス分類という5つのタイプがあります。

青いラインが成長板です。
Type1:まっすぐに成長板が剥がれる
Type2:剥がれた成長板の上に骨片が付く
Type3:成長板の遠位の骨端が割れる
Type4:成長板を貫くように割れる
Type5:成長板が圧迫で機能しなくなる

どのタイプも、治療の基本は外科手術ですが、骨の成長に対する障害を最小限にするために正確な整復と強い固定が必要です。また、若い動物は骨の癒合も早いので、変な形にくっつかないように、早期の手術が必要です。

Type-4のレントゲン写真


No.251 セラミド

ヒトでも動物でも、健康な肌の角質の中では、何層もの細胞が重なっています。その角質の細胞と細胞の間のすき間を満たし、細胞どうしをつなぎとめているのがセラミドです。セラミドは水とも脂とも仲良くできます(ラメラ構造といいます)。セラミドは肌の奥から産生されます。肌は本来外部刺激から肌を守るバリア機能を持っています。セラミドは肌のバリア機能の主役です。十分な量のセラミドを持った皮膚は、バリア機能が高く、外部刺激によるダメージを受けにくくなっています。アトピー性皮膚炎ではスフィンゴミエリンデアシラーゼという酵素によってセラミドが減少しています。セラミドの保湿機能やスフィンゴミエリンデアシラーゼは宇都宮大学の芋川玄爾先生らによって発見されました。

アトピー性皮膚炎が見た目改善しても、その皮膚はセラミドが少なく乾燥していて、バリア機能が充分でなく健康ではありません。この状態をアトピックドライスキンといいます。皮膚の乾燥とバリア機能の低下、免疫機構の低下によって、アトピックドライスキンからまたアトピー性皮膚炎が発症します。アトピックドライスキンとアトピー性皮膚炎を繰り返す悪魔のサイクルになります。また、老化でもセラミドは減少します。

アトピー性皮膚炎が改善しても、きちんとしたスキンケアが必要です。スキンケアは
・皮膚に有害なものを除去する:適切なシャンプー・クレンジング
・皮膚に有益なものを添加する:保湿剤;化粧水、乳液、クリーム
です。適切なシャンプー剤は皮膚の状態によって異なります。また、動物へのセラミドの添加にはキュレルの入浴剤がオススメです。アトピー性皮膚炎のない動物でも保湿は有益です。動物の保湿にも便利なものが多く出ていますので、ご興味のある方はご相談下さい。

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No23 アトピ-1
No24 アトピ-2
No25 アトピ-3
No43 犬のスキンケア1
No44犬のスキンケア2
No45犬のスキンケア3
No74 シャンプー後のトラブル
No195 シャンプーの方法


No.250 ロキベトマブ (サイトポイント 抗犬IL-31モノクローナル抗体)

前述したアポキルは飲み薬でしたが、ロキベトマブという新しい月に1度のアトピー性皮膚炎の注射薬サイトポイントも発売されています。アポキルはアトピー性皮膚炎・食餌アレルギー両方の痒みを和らげますが、サイトポイントはアトピー性皮膚炎の痒みにのみ効果があります。

痒みにおける主要なサイトカインは、IL(インターロイキン)4.5.10.13.31で、犬ではとくにIL-31が重要ですが(ヒトではIL-4と13が重要で、デュピクセントという薬が販売されています)、アポキル(オクラシチニブ)が、IL-31が知覚神経の受容体に結合したヤヌスキナーゼ(JAK)の反応を阻害するのに比べ、サイトポイント(ロキベトマブ)は受容体に結合する前にIL-31を中和して痒みをストップします。

サイトポイントは、月1回の注射投与で便利なのですが、アポキルよりも症例を選びます。外耳炎の管理ができていない場合、シャンプーなどが併用できない場合、皮膚の炎症が慢性状態の場合は、ステロイドやアポキルなどを使って管理してからの投与が必要です。また、暑い時期より寒い次期の方が効果的です。


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No249 オクラシチニブ


No.249 オクラシチニブ (アポキルJAK阻害剤)

4年前から日本でも販売されているオクラシチニブ(商品名アポキル)は、アトピー性皮膚炎、その他のアレルギー性皮膚炎(ノミアレルギー、食物アレルギー、疥癬など)の痒み止めとしてとても優秀です。

痒みは、皮膚で起きる炎症と神経系の相互作用によって引き起こされます。抗原が体内に侵入し、皮膚で何らかの炎症が発生すると、ランゲルハンス細胞(見張り役の細胞です)が異常を感知し抗原を取り込み、ヘルパーT細胞に提示します。ヘルパーT細胞にはTh1とTh2があり、通常は主にTh1が司令塔となりB細胞から免疫グロブリンG(IgG抗体)を産生します。これが正常な免疫反応です。しかし、アトピーの場合はTh2が主な司令塔となってしまい、体内での情報伝達物質として働いているサイトカインと呼ばれる物質が産生されます。痒みにおける主要なサイトカインは、IL(インターロイキン)4.5.10.13.31で、とくに犬ではIL-31が重要です。

炎症によって放出されたIL-31ですが、これはまず、知覚神経の細胞膜表面の受容体に結合します。すると、その受容体に存在するヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素が反応し、痒みを伝えるタンパク質が形成されます。このタンパク質形成により、痒み刺激が知覚神経をつたって脊髄、そして脳へ伝わり、「痒み」として認識されます。

痒みを脳が認識すると、つぎに「ひっかく」という行為を引き起こします。このひっかく行為により、皮膚表面が傷つけられ、さらに炎症が起こり、サイトカインが放出され神経に伝わり、さらなる痒みとして認識されるようになります。また、ひっかく行為は皮膚のバリア機能も低下させるため、アレルゲンが体内に入りやすくなり、少しの刺激にも敏感になり、炎症が起きやすい土壌の形成にもつながります。一度炎症が起きて、脳に痒みとして認識されてしまうと、炎症→痒み→ひっかく→炎症…という負の循環が完成してしまいます。

ひっかくことで痛くなり、痒みが治まったような感覚になったことは皆さん経験があると思います。これにも神経が関与しています。痛みと痒みはそれぞれ担当する神経が異なっており、痛みを感じる神経が活性化すると、痒みを伝える神経を抑える神経伝達物質を放出すると考えられているのです。ヒトのアトピー性皮膚炎などでは、この痛み神経による痒み神経の鎮静経路に異常があり、かいてもかいても痒い、という状態になっているのではと推察されています。

オクラシチニブは、IL-31が知覚神経の受容体に結合したのちの、最初のステップであるヤヌスキナーゼ(JAK)の反応を阻害します。JAKを特異的に阻害すれば、IL-31が放出されたとしても、その後のステップが進まず、痒みを脳が認識しづらくなります。そのため、ひっかく行為につながらず、負の循環に陥りづらくなるという仕組みです。このように、ある特定の物質のみに作用する薬は「分子標的薬」と呼ばれています。人では癌の治療薬で最も研究に力の注がれている分野で、獣医領域においても最近ちらほらと薬がでてきました。分子標的薬の良いところは、特定の物質のみを標的としているため、全身に影響を与えることが少ないところにあります。

オクラシチニブは飲み薬ですが、ヒト用の外用のJAK阻害剤(デルゴシチニブ、商品名コレクチム軟膏)も登場しました。


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No.248 スケーリングと犬の寿命

犬の寿命のリスク因子については様々な研究がされていますが、Silvan R.Urfer氏らは、アメリカで約237万頭の犬の調査を行い、その結果、年に1度程度の歯石の除去(スケーリング)を行っている犬は、死亡リスクが約20%低下していることがわかりました。

歯垢が歯に付着するのは24時間以内であり、この歯垢を除去しないと唾液中のミネラルと反応して歯石ができ始めてしまいます。この期間は3日くらいといわれています。さらに2週間で歯肉炎が引き起こされます。そのまま放置すると、いずれ顎の骨が溶けてくる歯周炎へ進行します。歯周病を放置すると、口腔内の問題だけではなく、眼窩下膿瘍や口腔鼻腔瘻という外科的な介入が必要な状況、また、心臓、肺、肝臓、腎臓など様々な臓器の病気として関連することがわかっています。

きちんとしたスケーリングは、歯の裏側や歯周ポケットの歯石を除去することが必要です。それには全身麻酔が必要ですが、症状が軽いうちに行うほうがリスクも当然下がります。

歯石のつき方は、遺伝的な側面が多いですが、普段のケアとしては、デンタルブラシで歯磨きをしてあげる事が最も推奨されています。最初は嫌がる場合も多いので、おやつなどを利用し、少しずつ時間をかけながら習慣づけてあげて下さい。ガムやジェルなどの効果は限定的です。

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No18 歯石
No97 歯周病1
No98 歯周病2
No108 高齢動物の歯の疾患
No134 プラークコントロール
No218 口腔鼻腔瘻


No.247 猫の変形性関節症 (Degenerative joint disease;DJD)

猫の変性性関節症(DJD)とは、関節に炎症が発生した状態で、関節面の摩耗や関節にかかる荷重バランスの変化によって軟骨にダメージが蓄積することで発症します。軟骨が破壊されると周囲の滑膜の炎症が誘導され、滑液中へのヒアルロン酸分泌が減ることでさらに軟骨代謝が悪くなり、軟骨の変性が進む悪循環により、関節構造は本来のクッションとしての役割を充分に発揮できなくなっていきます。痛みや運動障害、生活の質の低下をもたらす疾患です。高齢の猫の約90%の猫がX線検査でDJDの徴候を示し、うち40%の猫では疼痛に関連する臨床症状を示すとされています。

原因としては加齢による関節軟骨の老化がまずあげられます。猫では少ないですが、前十字靭帯断裂、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全等の整形外科疾患や外傷、場合によっては栄養的な問題も要因となり得ます。そのほかスコティッシュフォールドなどの特定の猫腫に特徴的にみられる骨軟骨異形成症といった遺伝的疾患によって若齢から症状を現すこともあります。また、肥満による関節への負担増は疾患の発症と悪化のリスクを高めます。

しかしながら、猫のDJDは十分に診断・治療がされていません。その理由の1つに臨床症状として跛行が認められづらいということがあげられます。そのため、飼主さんはDJDの臨床症状を加齢に伴う変化と認識してしまうことが多くあります。このようなことから、猫の飼主さんに対するDJDのスクリーニングのためのチェックリストをノースカロライナ大学の榎本先生らが作成しました。

・あなたの猫は普通に跳び上がりますか?
・あなたの猫は普通に跳び降りますか?
・あなたの猫は普通に階段を上りますか?
・あなたの猫は普通に階段を下りますか?
・あなたの猫は普通に走りますか?
・あなたの猫は動く物(おもちゃなど)を追いかけますか?

上記に1つでも当てはまる場合は変性性関節症(DJD)の可能性があります。

治療のメインは痛み痛みの管理です。NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)、サプリメント、半導体レ-ザ-などで炎症を取り除き痛みを和らげます。また、減量も重要です。早目に診断・治療をして、猫の痛みを取り除いてあげましょう。


No.246 ホルネル症候群 (Horner syndrome)

眼と眼瞼を支配している交感神経の麻痺によって起こる病態です。通常は片側だけに生じます。特徴的な症状は以下の4つです。

・瞬膜の突出
・縮瞳
・眼瞼下垂
・眼球の落ち込み

診断は上記の特徴的な臨床症状に加え、神経学的検査、フェニレフィリン点眼検査、血液検査やレントゲン検査、超音波検査、場合によっては、CTやMRIが必要な場合もあります。

原因は様々な原因により何処かしらの交感神経経路が遮断される事によって発生します。交感神経経路は大きく分けて以下の3つにわかれており、どの部位で遮断されるかで症状が異なります。検査を行っても原因が特定できない事もしばしばあります。頭部や頸部の外科手術の後に起こる場合もあります。
・脳から脊髄にかけて:
腫瘍や脳脊髄炎などに伴って発症することがあります。
ホルネル症候群以外の神経症状が出る事も多くあります。
・脊髄から頭頸部の神経節にかけて:
神経周辺の腫瘍や首に対する傷害(チョークチェーン、交通事故など)に伴って発症します。
・頭頸部の神経節から眼窩まで:
中耳炎やその他の原因で発症します。

治療は原疾患の治療です。特発性(原因不明)の場合は経過観察ですが、数週間~数ヶ月で自然治癒する場合もあります。


ホルネル症候群のゴールデンレトリーバー


No.245 愛玩動物と新型コロナウイルス(Covid-19)感染症について

海外において、動物への新型コロナウィルスの感染が報告されています。香港での新型コロナウイルス感染者の飼育犬への感染、ニューヨークやインドの動物園でのネコ科動物への感染、 ベルギーやアメリカでの猫への感染などです。しかし、これまで飼育動物から人に感染したという事例は報告されておらず、ベルギー当局も「愛玩動物から人に感染する危険性はない」としています。中国やドイツにおける感染実験では、豚や鶏は非感受性であり、犬も殆ど感受性がないとしています。しかし、猫とフェレットは感受性が高く、猫はヒトのような呼吸器症状を示さず消化器症状を示して、猫から猫への感染が見られると報告がありました。今、日本の施設でも確認中です。

感染したヒトと濃厚接触のあった動物が感染する可能性は否定できないことから、ご自身の動物を感染から守るためにも、飼主さんがしっかりした感染防御の対応をとることが最も重要です。
猫は外に放さず室内で飼育して下さい。犬のお散歩時は必ずマスクをして下さい。新型コロナウイルス陽性となった飼主さんと接触のあった動物に臨床症状が認められた場合は、事前にかかりつけの獣医師と電話相談のうえ、獣医師の指示に従い動物病院で診察を受けてください。

まずは、ヒトが感染しないことです。何かご質問があれば、お電話でのご相談もOKです(診療時間内にお願いします)。


No.244 新型コロナウイルスに対応している現場の声

新型コロナウイルスに対応されている、東京の大学医学部付属病院の看護師さんからの情報です。貴重な現場のリアルな声です。

この度、4月頭からコロナ外来に選出され、毎日PCRや入院手続きなど実施しています。今私から最新の情報を発信できるとおもい、情報をアップします。まず大事なのは漠然と怖がらないで、きちんと理解して適切に怖がろうということです。空気感染ではないので、ふわふわ飛んているのではなく接触!飛沫!人のしゃべるツバ!この見えない概念の理解が大事かなと思っています。マスクとマスクをしていれば基本的にうつりません!
以下、100人くらい問診した結果からの情報です。

<症状の特徴>
コロナウイルスは感染後7日~10日目にピークを向かえます。
1、最初に倦怠感が顕著に出る
2、頭痛がほとんどの人で出現
3、下痢(回数は多くない)も多い
4、途中から味覚と共に嗅覚も全くなくなる人が半分位いる
5、発熱 軽症:微熱がだらだらと続く
中症:39度台くらいまで上がる
重症:38度以上がずっと続く
特徴は一旦7日目くらいにおさまってまたぐんぐん出る
日内変動はある
6、咳や痰はあまり多くない印象
7、若くても息切れが出てくる
8、喘息や喫煙歴、糖尿病があると重篤化しやすい
9、肺炎像は両肺に淡い影がはっきりと出る
(レントゲンよりCTでしか読影できないことあり、CTがいいです)
<現在の治療>
対症療法のみ。当院では
○発熱、頭痛:カロナール(イブやロキソニンは×)
○抗生剤は基本的に効かないので飲まない
○咳:デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
○痰:カルボシステイン
○下痢:整腸剤(ミヤBMなど)
カロナールは400mg~500mg/回 3回まで

<PCR受けるまでの流れと結果>
1、発熱と上記症状があった場合保健所に電話。ひどいと2時間繋がらないとか丸2日間繋がらないという現状がある。繋がらなかったら他の近隣地域の保健所に電話してください。
2、経過観察と言われることが多い様ですが、そんな時は近医にまず電話をしてから受診。だいたい上の薬+医師によっては抗生剤を出して自宅待機となる。
3、解熱しない、もしくは症状が消失しない場合は遠慮なく保健所にもう一度電話する。
4、それからPCRの検査を受ける場所を指定される。
5、病院や検査所から直接電話がかかってきて受診の日時を聞く。
6、保健証と現金を持って検査場へマスクをしていく。
(保健が効けば料金は1000円程度。CTなどを撮影すると6000円程かかる)
7、薬が必要であれば依頼して帰宅。帰宅は交通公共機関を使わない。
8、翌日保健所が検体を持っていく。今検査が立てこんでいて月曜日に出した結果が金曜日にならないと戻ってこない。つまり5日間位かかる現状。
9、自宅で呼吸苦が出たら保健所に電話。万が一繋がらなくて危険を感じたら迷わず救急車を呼ぶ。
10、症状が落ち着いたら今後はPCRしないで2週間後から普通の生活になる方向。家族も2週間同じ対応で。

<実際にうつる場所の印象>
1、居酒屋や外食店のホールスタッフの手が怪しい!毎回手指消毒していなければウイルスのついたお皿をさげて次の人のお皿を運んでいる可能性が十分あります。
2、ライブハウス系の人はよく来ます。
3、陽性の出た人の家族はほぼみんな陽性です。
4、孫が祖父祖母宅に遊びに行って濃厚接触をする。
5、病院関係のクラスターとその家族や、それらの人と接触した人。

<入院となった場合>
1、指定病院がなかなか空いておらず、とにかく医師が電話して探し回る場合が多い。その間患者は待っていて家族が荷物をまとめて持ってくる。入院したら面会は一切禁止。現金、持参薬も一切持ち込み禁止。
2、とにかく病室の中から出れないで対症療法のみ。
3、呼吸状態が悪化したら、ICUで気管挿管し人工呼吸器をつけるしかできることはなく、あとは患者の免疫力で回復を祈るのみ(悪化しても回復する患者もいる)
4、万が一のことがあった場合は最後まで家族に電話をして状態を伝え、火葬してから遺族に遺体を返す。入院になった時点で軽症化するまで一切誰とも会えず、そして重症化したら一気にあっけなく…という印象があり、ここが怖いところです。
5、軽症になったらすぐに専用の移送の車でホテルへ移動して療養。結構これは早い段階でスムーズにいきます。新患者や重症者のベッド床を確保するために。

<私が気をつけていること>
1、口から入るのが一番うつるので食べる前、ドアノブなどどこも触らない状態にしてから、爪や指と指の間までしっかり洗う!これにつきます!
2、1日8時間睡眠(睡眠を十分にとる)
3、現金は一切触らず全て電子マネー。
4、クラスターになっている場所や病院はできる限り行かない。
5、携帯電話は食事中触らない。帰宅後はまず第一に消毒してから家にいれる。
6、マスクの表面は絶対に触らない。ポケットにしまった手は汚染されていると認識する(マスクは基本1枚/日)
7、タクシーに乗らない。実はコロナ患者さんはタクシーで移動してる人が多いので、タクシーは基本的にコロナウイルスウヨウヨです。

<患者の流れ>
1、3月の3連休で陽性となった患者のPCR検査はピークアウトしてから実施されている。若い人が多く軽症が多い。
2、4/5週はその家族が続々ときて陽性になっている場合が多かった。高齢者にうつり、重症な肺炎も多々見られるようになった。
3、4/12週はクラスター本人とその家族も一気に陽性となった印象。
4、陽性になった患者の同居人はだいたいうつるので適切な隔離方法を指導している。

以上です。必要以上に怖くなるような情報は避けたつもりです。

日本は他国よりだいたい2週間程、対策や実行が遅れている印象があります。お金の心配も絶対あると思います。ですが、目先のことより、今ぐっとこらえることが大事な命を救ってくれます。私が今いる病院の中もまさにコロナ戦争ですが、みなさんに応援してもらって私達医療従事者は頑張れています。本当に感謝しています。長々と失礼しました。

最前線は本当に大変ですね。当院でも、マスクでの対応、通常のアルコール消毒に加え、オゾンや、新型コロナウィルスを15秒で死滅させるマイクロシンをディフューザーで院内を循環させ対策をしていますが、マスク着用でのご来院、なるべく少人数でのご来院をお願いしています。院外やお車の中でお待ちいただくことも可能です。スタッフに申し添え下さい。


No.243 医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルスに対する不活化効果について

エタノールをはじめとして、新型コロナウイルスに対する消毒薬が不足しています。Twitterなどにも紹介されていましたが、北里大学大村智記念研究所 ウイルス感染制御学研究室I 片山和彦教授らの研究グループは、市場に流通している医薬部外品・雑貨のうち、主にエタノール、界面活性剤成分を含有し、新型コロナウイルスに対する消毒効果が期待できる、十分な供給体制を確保可能な市販製品を対象に、新型コロナウイルス不活化効果(病原体を死滅させること)を有する可能性について試験管内での評価を実施しました。この研究で評価した製品の選定にあたっては、研究結果の公開に異議を唱えないことを前提として国内複数企業へ製品サンプルの提供を要請し、同意が得られた企業の製品を使用しました。
各製品サンプルについては、製品のパッケージ裏面に書かれている使い方を参考にし、希釈が必要な場合には水道水を用いました。

研究結果

接触時間1分(製品裏面の使い方から、手指の洗浄、拭き取り洗浄を想定 )
不活化効果があった製品名
・かんたんマイペット(原液)
・クイックルワイパー 立体吸着ウエットシート香りが残らないタイプ(絞り液)
・クイックルワイパー 立体吸着ウエットシートストロング(絞り液)
・クイックルJoanシート(絞り液)
・クイックルJoan除菌スプレー(原液)
・食卓クイックルスプレー(原液)
・セイフキープ(絞り液)
・トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー ミントの香り(原液)
・ハンドスキッシュEX(原液)
・ビオレガード薬用泡ハンドソープ(原液)
・ビオレu薬用泡ハンドソープ (3倍希釈)
・ビオレガード薬用手指用消毒スプレー(原液)
・ビオレガード薬用ジェルハンドソープ (3倍希釈)
・ビオレu手指の消毒液(原液)
・リセッシュ除菌EXプロテクトガード(原液)

接触時間10分(製品裏面の使い方から、洗濯、器具の洗浄を想定 )
不活化効果あった製品名
・アタック高浸透リセットパワー(3.5g/L)
・アタックZERO(3000倍希釈液)
・クリーンキーパー(100倍希釈)
・ワイドハイターEXパワー液体(100倍希釈液)
・ワイドハイターEXパワー粉末(5.0g/L)
・ワイドマジックリン(10g/L)

試験系評価のために実施したエタノールについての試験結果
水道水で濃度を調整した10%、30%、50%、70%、90%のエタノールの不活化効果
接触時間:1分
不活化効果あり:50%、70%、90%エタノール
不活化効果なし:10%、30%エタノール
接触時間:10分
不活化効果あり:50%、70%、90%エタノール
不活化効果なし:10%、30%エタノール

まとめ
エタノールは、50%以上の濃度であれば、接触時間1分間で十分なウイルス不活性化が可能だと考えられます。不活化効果の確認された上記市販製品は、新型コロナウイルスの不活化に有効と考えられます。新型コロナウイルスの汚染が懸念される手指や硬質表面の洗浄の他、日常使用する衣類やリネン類の洗浄などに活用が期待できます。