マイコプラズマは細菌の一種で、ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどと同じように、猫風邪の原因の一つです。そのため猫風邪にとても似ている症状がみられ、鑑別も難しいことがあります。
猫マイコプラズマは常在菌として健康な猫にも普通に存在しています。健康な状態で免疫力に問題が無い場合には感染しても発症することは多くはありません。しかし、栄養状態や免疫力が落ちていると発症することがあります。
特徴的な症状は、涙眼とくしゃみです。症状が進むと熱が出たり、鼻が詰まって食欲が落ちてきます。他の猫風邪と混合感染することが多い疾患です。混合感染した場合には重症化して肺炎や副鼻腔炎になってしまうこともあります。とくに子猫は免疫力が弱く重症化しやすいので注意が必要です。感染した猫の涙や鼻水などの分泌物の中に、猫マイコプラズマが含まれています。そのため、涙やくしゃみなどの飛沫から感染します。多頭飼育の場合、マイコプラズマに感染している猫は他の猫から隔離しておく必要があります。通常は症状から治療的診断を行いますが、確定診断にはPCR検査が用いられます。
治療には、マクロライド系の抗生剤を使用します。1月ほどの投薬が必要です。治療のポイントは症状を悪化させないことです。適温、敵湿度の環境にして、眼や鼻周りの汚れを綺麗にして、脱水を防ぐためにも水を飲ませ食事をきちんと採らせる。免疫力が落ちないようにして、定期的なワクチン接種で他の猫風邪を予防して合併症にならないようにしましょう。通常はヒトにはうつりません。
猫風邪の子猫
こちらもご参照下さい
No.394 猫ヘルペスウイルス感染症 (Feline Herpesvirus Infection)
No.312 副鼻腔炎 (Sinusitis)
No.287 猫ウイルス性鼻気管炎(Feline viral rhinotracheitis; FVR)