肝リピドーシスは、食欲不振によっておこる肝臓の脂肪化のことです。ウサギの肝疾患で多い原因の1つです。不整咬合や食滞などによって食欲不振になり、治療を行わなければ、胃腸の活動低下、肝臓の脂肪化が起こり、慢性的な肝炎になり、黄疸、食欲不振が進み、やがては命に関わることになります。
食餌量が減り、十分なエネルギーを取り込めなければ飢餓状態になり、体に蓄えた脂肪を分解することで、生きるためのエネルギーを作り出そうとします。しかし、草食のウサギは脂肪の処理能力高くありません。血中に分解された多量の脂肪は行き場を無くし肝臓に蓄積し、肝臓が十分に働かないので肝不全の状態になります。
肝リピドーシスは肥満がリスク因子です。太っているということは、分解できる脂肪が体内にたくさん蓄えられているということで、ひとたび脂肪の分解が始まれば大量の脂肪が血中に溢れ出した状態になり肝臓に沈着する量も増えます。太りやすいドワーフ種、ロップ系品種ではとくに注意が必要です。
血液検査では、肝酵素の上昇や高血糖、貧血、黄疸などがみられます。確定診断は肝臓の組織検査ですが、状態の悪いウサギではリスクが高いです。
治療は、点滴などによる肝臓の保護、食欲不振の原因の治療と、とにかく食べさせることです。強制給餌が必要な場合がほとんどです。治療には時間がかかることが多いです。ウサギの食欲不振には早目の対処が必要です。とくに肥満の場合は要注意です。
ドワーフ種、ロップ系品種はとくに注意が必要です
こちらもご参照ください
No.434 肝内胆汁鬱滞性黄疸
No.426 猫の肝リピドーシス