No.461 CRP (C-reactive protein:CRP)

皆様、あけましておめでとうございます。
と言うのも憚られる1年のスタートになってしまいました。亡くなられた方々、動物たちにお悔やみ申し上げます。被災された方々には心からのお見舞いを申し上げます。今の状況を乗り越えて1日も早く通常の生活に戻れますよう願います。

炎症の有無や程度を反映する検査を炎症マーカーと総称します。一般的に炎症マーカーとして用いられているのは、炎症の急性期に血中に増加する蛋白成分(急性相蛋白)の血中濃度の測定です。そして、急性相蛋白の代表として、C反応性蛋白(C-reactive protein:CRP)があり犬の炎症マーカーとして臨床応用されています。

急性相蛋白は、炎症部位に侵入してきた炎症細胞が分泌する炎症性サイトカインの刺激を受けて、主として肝臓で合成されます。炎症性サイトカインは急性の発熱物質でもあり、視床下部においてプロスタグランジンE2を介して発熱が誘導されます。炎症性刺激が加わった6時間後ぐらいから急性総蛋白の血中濃度が上昇し始め、24~48時間でピークに達します。

CRPは急性相蛋白の中でも特に反応性に優れ、ピーク時の濃度は平常時の100から1000倍にまで達します。また、半減期は数時間~12時間程度と考えられており、炎症性刺激が消失すれば速やかに血中濃度が低下します。そして、興奮や運動などの影響をほとんど受けないとされています。従って、CRPの血中濃度の測定によって、炎症の存在やその程度を客観的に把握することが可能です。

具体的には、なんとなく元気がない、発熱だけなどの曖昧な症状の場合に、炎症の有無を明らかにすることが可能です。また値の変動を見ることで、まだ必要な治療を早期に終了してしまったり、逆に効果の乏しい治療を延々と続けてしまったりという事を軽減することができます。

CRPは、炎症性疾患、感染症、腫瘍がある場合に高値となることが多く、特に全身に影響が及ぶ疾患において顕著です。例えば子宮蓄膿症、膵炎、特発性多発性関節炎、無菌性結節性脂肪織炎などの感染性あるいは炎症性疾患、血管肉腫やリンパ腫といった腫瘍の症例において、高い割合でCRPの高値が認められます。また、免疫介在性溶血性貧血やバベシア症においても、CRPが上昇することが知られています。一方で、膀胱炎や鼻炎、平滑筋肉腫などの、病変が限局的である場合はCRPの上昇はみられません。以前は外注検査でしたが、現在では院内で測定が可能です。

こちらもご参照下さい
No.331 子宮蓄膿症(Pyometra)
No.277 自己免疫性溶血性貧血 (Immune hemolytic anemia,IHA)
No.202 リンパ腫 (Lymphoma)
No.189 膵炎(Pancreatitis)
No.179 血管肉腫 (Hemangiosarcoma)

本年もよろしくお願いいたします。