No.407 歯肉腫(エプリス)

歯肉腫(エプリス)とは歯肉に生じる歯肉と同色の色調の平滑な腫瘤です。外観上は歯肉を内側から盛り上げるように成長しいわゆる「シコリ」の総称となっています。犬でよくみられ、口腔内腫瘍のおおよそ15~30%を占めるといわれています。エプリスには歯肉に炎症などの刺激が続くことにより発生する非腫瘍性の炎症性エプリスと、良性腫瘍による腫瘍性エプリスがあります。腫瘍性エプリスは形態学的な特徴により、線維性エプリス、骨性エプリスに分類されます。これらは同時に歯石の蓄積や歯周病などの口腔内の環境悪化を伴っています。

ほとんどのエプリスは症状を伴わない状態で、飼主さんの観察や身体検査により発見されます。歯石が重度の場合は歯石の下から発見されることもあります。腫瘤が小さいうちは症状はなく、他の口腔内にできる腫瘍と同様に、大きくなるに従って、流涎、口臭、咀嚼や嚥下に問題が生じるようになります。確定診断には病理検査が必要です。

エプリスの治療は外科的な摘出ですが、良性の病変であるはずの線維性エプリスや骨性エプリスを局所摘出した場合でも、おおよそ10%の確率で再発するといわれています。一般的に正しく摘出された境界の明瞭な良性腫瘍は再発をあまり起こしませんが、エプリスが再発しやすい背景には腫瘍が歯槽骨に付着する歯肉の深部、歯周靱帯から発生してくるためと、腫瘤の下がすぐに歯槽骨という構造もあって、サージカルマージン(切除する際の安全域)を取るのが難しく、歯肉部のみの局所切除を行った場合に不充分な切除となりやすいためです。当院では局所再発を防ぐためレーザーメスを用いた手術を行います。

エプリスを局所摘出した場合には定期的に再発のチェックを行うことと、歯石や歯周病の管理が必要です。


線維性エプリス

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No359 歯肉炎と歯周病と歯槽膿漏
No98 歯周病2
No97 歯周病1
No18 歯石