No301 慢性腎不全(CKD)の推奨される治療

CKDのステージ毎の推奨される治療法です。ステージ分類は前回(→No300慢性腎不全のステージ分類)をご参照下さい。

ステージ1
・腎毒性のある薬は注意して使用
・腎前性(心疾患など)、腎後性(尿路結石など)の異常に対処
・新鮮な水を常に飲めるようにする
・クレアチニン、SDMAの変化をモニター
・原因または併発疾患の特定と治療
・収縮期血圧が>160または標的臓器に障害がある場合は高血圧の治療(→No259高血圧)
・持続的タンパク尿を呈する場合(犬>0.5 猫>0.4)、腎臓療法食と投薬
・血中リンを<4.6mg/dLに維持
・必要に応じ、腎臓療法食とリン吸着薬を使用

ステージ2
・ステージ1に準ずる
・腎臓療法食
・低カリウム血症の治療(猫)

ステージ3
・ステージ2に準ずる
・血中リンを<5.0mg/dLに維持
・代謝性アシドーシスの治療
・貧血の治療を検討
・嘔吐、食欲不振、悪心の治療
・必要に応じ、経腸または皮下補液による水和状態の維持(→No262皮下点滴の方法)
・カルシトリオール(活性型ビタミンD3製剤)による治療を検討(犬)

ステージ4
・ステージ3に準ずる
・リンを<6.0mg/dLに維持
・栄養および水和のサポートと投薬を容易にするための栄養チューブを検討

当たり前ですが、ステージが上がると治療も増えて大変です。早期発見のため、元気そうに見えても、8~10歳くらいまでは年に1回、10歳を超えたら、年に2回の定期検診がオススメです。