前回ご説明したように、猫は様々な原因で便秘を起こします。適切な対処をしないと、巨大結腸症を引き起こすことがあります。猫の巨大結腸症は、大量の便がたまり、大腸(なかでも結腸)が巨大になってしまう病気です。どの年齢の猫でも発生がみられ、数日から数か月にわたって便が出にくい症状を患って来院されます。結腸に慢性的に便が溜まると、時間の経過とともに便の水分が吸収され、便が非常に硬くなりより排泄しづらくなります。結腸はゴムのように伸縮性があり、その伸縮する力を使って排便を促します。巨大結腸症ではこのゴムが伸びきっている状態となり、うまく排便ができなくなります。結腸に便がたまりやすくなる原因としては、偏った食事や生活環境、結腸の神経異常、脊髄疾患、腸管や肛門の狭窄、交通事故等による骨盤骨折、腸管内外の腫瘍による圧迫、異物などによる通過障害、原因不明の特発性のものなどがあります。
長時間排便体制を取っている、排便時に痛がるといった症状がみられます。塊の便が出ないので、代わりに粘液や血便だけが排出されることがあり、下痢をしていると間違われることもあります。その他に、食欲が落ちる、元気がない、体重が減る、嘔吐、脱水などがみられることがあります。
巨大結腸症の治療は、内科的に食事や薬でコントロールできる場合もありますが、結腸切除術という外科手術が必要な場合が多くあります。便秘を軽く考えず、早期に対処しましょう。
巨大結腸症の猫のレントゲン 緑の・の中が便です
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No271 猫の便秘