No.231 もし動物に咬まれてしまったら

先日、2002年に大分県でフェレットに咬まれ、その3カ月後に蜂窩織炎(細菌による皮下組織の炎症)を発症して17年後に亡くなったという警察官の話が報道されていました。通常、蜂窩織炎は急性の病気ですので、非常に稀なケースですし、公務の中でのことで本当にお気の毒だと思います。この件について、北里大学獣医学部小動物第1内科の木村祐哉先生は「フェレットの口腔内常在菌としてはパスツレラやコリネバクテリウムがあり、その他の動物と同様に、それらへの注意が必要となる。また、日本は狂犬病清浄国だが、場合により狂犬病も疑う必要がある」とコメントしています。

現実問題として動物に咬まれてしまった時はどのように対処したらよいのでしょうか。一般的な動物の咬傷事故の場合は、最初は患部を水道水などの流水で洗浄します。血を流しながら3-5分行います。その後、きれいなタオルなどで3-5分圧迫して血を止めます。通常、健康な方なら消毒薬は必要ありませんが、小さな子供さん、ご高齢な方、病気の治療中の方、相手が野生動物の場合や、傷が深い場合、血の止まりが悪かったり、患部の腫れがひどかったり、痛みが引かないようであれば、早期に外科を受診してください。破傷風菌の感染が疑われる場合はワクチンが必要です。また、裂傷部が大きい場合は縫合が必要な場合もあります。海外での動物咬傷事故では、狂犬病が問題になることがあるため、より注意して下さい。

また、咬傷事故が犬によるものだった場合、その犬の飼主さんは『事故発生届』を区役所の生活衛生課に届け出る必要があります。その犬は獣医師による狂犬病鑑定(通常3回程度)を受けて、犬が狂犬病に罹患していない診断書(咬傷犬狂犬病検診票)を受け取り、その診断書も区役所の生活衛生課に提出する必要があります。

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No131 人畜共通伝染病1
No132 人畜共通伝染病2
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