生体において水分はとても大切です。哺乳類では体の約60%が水分です。水は、血液、リンパ液、細胞内液の主成分で、以下のような働きをしています。
・栄養素や代謝産物を運搬する
・体温のコントロール
・化学反応の触媒
体内の水分が10%失われると意識を失い、15%で亡くなります。猫の状態によって1日に必要な水分量は違いますが、健康で痩せても太ってもいない猫では1日に必要な摂取カロリー(DER)とほぼ同じです。DERの1番シンプルな計算方法は、60×体重kgです(5kgなら60×5=300ml)。
もともと砂漠などの乾燥地帯に住んでいわれている猫たちは、犬と比べて水を飲む量が少ないです。猫によくみられる病気の中には、水をたくさん飲んだ方がよいものが多くあります。慢性腎臓病、尿路結石、特発性膀胱炎、糖尿病などがそれですが、そもそも普段から水分を多く取った方が寿命を延ばす可能性が高くなります。
猫に水を飲んでもらう、具体的な方法を挙げてみます。
食器は清潔にし常に新鮮な水を与える、多頭飼育の場合食器を共有しない:フードなどで汚れてしまって、匂いが変わった水は嫌がる猫が多いです
様々なタイプの水を試す:水の種類や温度を変えてみましょう。気温が低くなると白湯を好む場合があります。氷が好きな猫もいます
水に好きな香りをつける:魚や肉などで出汁をとって冷まして与えてみて下さい
流水を試す:流れる水が好きな猫は多いです。たくさんの商品も販売されています
食器の材質を変える:プラスチックの食器は傷が付きやすく、傷に汚れが溜まりやすくなります。また、ステンレスなどの金属は音を嫌がる場合があります。個人的には陶器がオススメです
表面積の広い食器を使う:飲水時、食器にひげが接触することを嫌がります。ラーメンの器くらい大きなものもオススメです
場所を工夫する:トイレのそばの臭いが強いところ、テレビや洗濯機などの大きな音が出る場所は避けましょう
食事の回数を増やす:食事をすると水を飲みたくなります。食事の回数を増やすのも良い方法です
ウェットフード中心の食事にする:フードの水分含有量は、ドライフード5%に対して、ウェットフード77%です。ウェットフード中心の食事の方が長生きというデータもあります
運動をさせる:適度な運動は食欲・飲水欲を増加させます
これらの中で可能なことを試してみて下さい。
こちらもご参照ください
No 165 水(Water)
No 41 1日当たりエネルギー要求量(DER)
No 223 ミネラルウォーター