肉芽腫とは、慢性的な炎症に基づいて生じる腫瘤です。種々の原因による慢性的な炎症によって、炎症細胞や線維芽細胞が集積し、毛細血管に富んだ線維からなる腫瘤が生じます。「腫」と付いているますが、腫瘍性病変ではなく、免疫学的炎症反応の一過程です。「にくがしゅ」と呼ばれますが、医学では習慣的に「にくげしゅ」と呼ぶことが多いです。肉芽腫はマクロファージ、リンパ球、好酸球、形質細胞などから構成されます。
肉芽腫には様々な種類がありますが、大きく分けて、免疫刺激の少ない異物により惹起される異物性肉芽腫と、免疫反応を引き起こす不溶性粒子により惹起される免疫性肉芽腫に分類されます。免疫性肉芽腫は慢性肉芽腫とも呼ばれます。
異物性肉芽腫で、異物が皮膚の浅いところにある場合は、潰瘍を生じながら肉芽腫が増大することがあり、肉眼的でも腫瘤を確認できる場合が多く早期に発見されます。皮膚の深いところもしくは皮下にある場合は、肉眼では確認できず、弾性硬の腫瘤を触知するのみの場合もあり、長時間放置されることが多く、注意を要します。治療は感染があれば抗生剤や炎症を鎮めるためにステロイド剤で効果がある場合もありますが、基本的には外科手術が適応です。
免疫性肉芽腫は、原発性免疫不全症(生まれながらに身体の抵抗力が弱い体質)の中で最も多い疾患です。身体に侵入してきた病原体に勝つためには活性酸素が必要ですが、肉芽腫症の好中球は活性酸素を作ることができず、病原体が殺菌されないため、身体の中で増え続けて感染症を起こします。さらに、免疫性肉芽腫症では身体のいたるところに肉芽腫ができやすく、周辺の正常な組織を圧迫して臓器を障害することがあります。また、免疫のバランスが悪く肉芽腫性腸炎を合併することがあります。治療は、原因疾患のコントロールに加えて、ステロイド剤などの免疫を抑える薬を使用します。多臓器を圧迫している場合は外科手術も考慮されます。
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膵臓の肉芽腫