親しい猫同士が顔を合わせた時、お互いの鼻先を近付けるのは、相手の鼻の匂いを嗅ぐことで挨拶をしているといわれています。この挨拶により、相手がどんなところへ出かけていたかなどの情報もわかるようです。また、鼻の匂いを嗅ぐという行動を示すことで、相手に対して敵対心がないということを表現しています。この行動に性別は関係なく、お互いが親しい間柄と認めている猫同士では頻繁に行われているようです。ヒトでいうところの会釈に近いと考えられており、軽めの挨拶といえるでしょう。家で猫を多頭飼いしている場合、猫同士がこの行動をとるかどうかで、その猫たちの親密度を確認することができます。
猫はヒトに対しても鼻を近づけてくることがあります。外から帰宅した時に行うようであれば猫同士の挨拶に近い意味があるでしょう。それ以外でも、お腹が空いた時、遊んでほしい時、撫でてほしい時など、飼主さんに対して何か要求をしたい時に行うこともあります。また、飼主さんが鼻ではなく指先を近づけた場合も、猫はクンクンと鼻を近づけてきます。猫には、鼻のような突起物の匂いを嗅ぐという習性があるため、指などにも同じように反応します。猫とヒトとの関係がそれほど親しくない場合は、大抵の猫は警戒心を募らせ簡単には近づこうとしません。警戒心がさほど強くない猫であれば、指先をクンクンしてくれるかもしれませんが、これは挨拶や要求ではなく、相手が何者なのか匂いを嗅いで知ろうとしての行動です。もし、どこかで嗅いだことのある匂いなら、安心して近付いてきますし、不審を感じた場合はそのまま逃げてしまうかもしれません。
猫のこの習性を利用したゲームがあります。
1猫の目の前に指を出す。
2鼻をくっつけてくれたらおやつ(おやつは極小さめで良いです)を与える。
というシンプルな遊びです。慣れてきたら鼻を手に変えてハンドタッチゲームにします。ハンドタッチに慣れると、飼主さんが動いて猫にも動いてもらって遊ぶことができます。良い運動になり運動不足の解消にもなります。また、様々な問題行動の予防・治療にも使えます。
猫はもともと、コントラフリーローディング効果(下記)の例外の動物として有名なので、すぐに乗って来ない場合もあります。おやつを与えることから始めて徐々に慣らしましょう。
コントラフリーローディング効果:「動物は食事を労せず得るよりも、なんらかの対価を払って得ることを好む」という1960年代の研究。レバーを押すと食事がでてくる仕組みを学習させたネズミに、自由に食事が取れるボウルと、レバーを押すと食事が出てくる装置の2つの選択肢を与えると、多くのネズミはボウルからではなく、わざわざレバーを押して食事を獲得することを選んだ。この研究は、動物は本能的に苦労や努力などの対価を払って報酬を得ることを好むということを示しています。ネズミだけでなく、犬や鳩、チンパンジーなどの動物でも同様の結果が得られましたが、猫だけはレバーを押さずにボウルの中にある食事を食べました。この論文のタイトルは「猫の怠惰」(Feline indolence)と付けられています。
猫の鼻タッチゲームを是非やってみて下さい