眼窩下膿瘍は、歯根膿瘍、根尖膿瘍などから生じる重度の歯周病の1つです。眼の下に膿瘍ができる病気です。小型犬で多く起こりますが、中型犬から大型犬、猫でも起こります。
原因は歯石が堆積し、歯周ポケットへ歯石が入りこみ、歯肉が退縮し、歯の周りから歯の根っ子(根尖部)に細菌(多くは嫌気性菌)が感染します。そして根尖部に膿瘍が形成され、眼の下が腫れます。痛みも強く食欲や元気がなくなる場合も多いです。多くが上顎の第4前臼歯の歯根の問題で起こりますが、第3前臼歯、第1後臼歯でも生じる場合があります。この3歯全てが悪くなっている場合もあります。
診断は特徴的な症状(写真参照)とレントゲン検査、ポケットプローブなどで歯周ポケットの深さを測定します。痛みが強い場合は全身麻酔下での検査となります。
抗生剤などで一時的に症状を緩和することは可能ですが、多くは再発します。きちんとした治療には原因歯の抜歯が必要です。きちんと処置をすると、眼の下の傷は1週間ほどできれいになります。また体内に膿があるとDICの状態になってしまうことがあります。
予防は歯石を付けないことです。歯周病、口腔鼻腔瘻の予防と同様、毎日のブラッシングと、ポケットまでの定期的な歯石取りが必要です。麻酔をしない歯石取りではあまり効果がありません。
眼窩下膿瘍のプードル
こちらもご参照下さい
No218 口腔鼻腔瘻
No144 播種性血管内凝固症候群(DIC)
No97 歯周病1
No98 歯周病2