一般的にはステージIIまでは完治を目指すことが可能ですが、ステージIII以上となると、残念ですが完治の可能性が低くなります。ヒトでも動物でも、がんで亡くなる場合、そのほとんどの原因は餓死です。ステージIII以上の悪性腫瘍でも完治は困難でもQOL(生活の質)を下げない治療は行います。
がんの3大治療は、手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)です。しかし、ヒトでもそうですが、リンパ腫などの一部の独立円形細胞腫瘍を除き、癌腫や肉腫のいわゆる固形癌を、早期の手術以外で完治させることは困難です。がんの種類によりますが、基本は早期発見をして早期に広範囲な切除をすることが望ましいのは言うまでもありません。
大きさや手術困難な場所の腫瘍によっては放射線治療はとても良い治療法です。ただし、動物に対しては出来る施設が限られていること、通常、複数回の処置が必要になりますので、全身麻酔の問題とコストの問題があります。
化学療法(抗がん剤)は、リンパ腫などの一部のがんには効果的ですが、前述したように、癌腫や肉腫のいわゆる固形癌を完治させることはできません。そして、抗がん剤は概ね高価です。また、動物ではヒトほど副作用が出ないといわれていますが、はたして本当でしょうか?個人的には、痺れや味覚障害などの様々な不快感は、間違いなく動物も感じていると思います。前述したように、がんで亡くなる場合、そのほとんどが餓死です。QOLを下げる様な抗がん剤の使い方は結局寿命を縮めます。現在では、副作用を減らし、がんと共存をはかる抗がん剤の使い方(メトロノーム療法)もあります。
また、様々な代替医療も用いられます。漢方薬は証が合うと良く効きます。アガリクス、メシマコブなどは有名ですよね。当院ではホメオパシー、サイマティクスなどを推奨しております。これらもエビデンスはないですが、上手く利用すると非常に良い効果があります。
腫瘍マーカーなどが一般的でなく、MRIやCT、内視鏡の検査にも多くの場合麻酔が必要な動物では、がんを早期に発見するのはヒトに比べてかなり困難です。しかし、皮膚の腫瘍や麻酔のいらない簡単な検査(超音波検査やレントゲン検査、血液検査など)でわかるものは、毎日の観察、健康診断などによって早期に見つけたいものです。