癲癇は大脳の病気です。発作的に繰り返し、自律的に大脳が異常に興奮する状態です。
癲癇は脳内に疾患があることがわかっている器質性癲癇(脳炎、脳腫瘍、脳梗塞、外傷など)と、原因がわからない原因不明癲癇(特発性癲癇)に分類されます。今回は主に特発性の癲癇の話です(以下、癲癇と記述します)。
癲癇の特徴は、
・大脳の機能的異常
・発作時以外は正常
・発症は6ヶ月~5歳くらいまで
・MRI、脳脊髄液は正常
です。
治療は投薬治療になりますが、抗癲癇薬として多くの薬剤が作られています。しかし、前回の痙攣の項でも書いたように理想薬は存在しません。多くの場合、まずはフェノバルビタールという薬を投与します。使いやすい薬ではありますが、以下の副作用に注意しなければなりません。
・鎮静、不全麻痺
・多飲、多尿、多食
・肝毒性
・遅延型アレルギー(骨髄抑制)
・甲状腺機能低下
骨髄抑制の確認のため投与開始後数週間での血液検査、肝毒性の確認のための数ヶ月に1度の肝機能検査は、この薬では必須です。また、フェノバルビタールに限らず、抗癲癇薬は1度始めたら一生涯飲み続けなければならないことが多いです。
1種類の薬剤で癲癇が予防できるのが望ましいのはいうまでもありませんんが、複数の薬剤を使用してもコントロールが困難な癲癇を難治性の癲癇といいます。残念ながら、約30%の癲癇が難治性です。
また、5分異常の痙攣、意識が回復しないままの連続した痙攣を癲癇重積といいます。癲癇重積を放っておくと、全身への悪影響が出現します。まずは、交感神経系の興奮が顕著となり、高血圧、高血糖、不整脈、頻脈などが起こります。次に、交感神経系の亢進が30分程度で終わると、低血圧、各自動調節能の破たん、大脳の虚血・浮腫などが起こり、大脳へ不可逆的なダメージを与えます。最終的に呼吸不全や高体温、アシドーシス、腎不全などが起こり、死亡します。癲癇重積には緊急治療が必要です。