No.512 小鳥の脛骨骨折

セキセイインコ、オカメインコ、文鳥などの小鳥の骨折は、屋内での放鳥時に落下やドアに挟まれたり、ヒトに踏まれるなどの事故で起こります。鳥類の皮質骨は非常に緻密で引張強度が高いのですが、非常に薄くて脆い面もあり、衝撃を受けると簡単に砕けたり砕けます。くる病の幼若鳥、代謝性骨疾患に罹患している時、産卵期の低カルシウム血症などの骨折も発生しやすいです。とくに小型種では脛骨骨折が多発します。

一般的な症状には、跛行、起立不能などです。食欲不振の場合もあります。

診断は、受傷の状況、症状、触診、レントゲン検査などで行います。

治療は、基本的には全身麻酔下でギブス固定かピンディングを行います。外科用アロンアルファを使用する方法も報告されています。開放性骨折になっている場合は断脚も考慮されます。通常、ピンディングの方が骨の整復は上手くいきますが、手術や処置が上手くいっても、神経機能が戻らなければ跛行が続きますし、血管損傷が激しければ後に壊死を起こすこともあります。

鳥の骨は繊維質を帯びており、外力に対してハガネのようにしなる性質があり、骨折の場合、骨折端がささくれによって離断しない傾向にあります。そして、特に幼若鳥あるいは小型のフィンチなどの代謝率の高い鳥では治癒が早く、通常3~4週間もあれば十分な化骨が期待できます。


セキセイインコの脛骨骨折

こちらもご参照下さい
No.475 開放骨折(複雑骨折)
No.323 代謝性骨疾患 (Metabolic bone disease:MBD)