No.507 低グレードリンパ腫(小細胞型リンパ腫)

低グレードリンパ腫(小細胞型リンパ腫)は、高齢の犬猫に発症する傾向にあり、高グレードリンパ腫に比べるとはるかに長期の生存期間が得られます。発生部位によって、多中心型、消化器型、皮膚型、鼻腔内型などがあります。

診断は、リンパ節の針生検(FNA)、リンパ節の切除生検、PCR検査、消化管内視鏡検査などにより行います。試験開腹での検査が必要な場合もあります。

無症状のうちは治療の必要はない場合もあります。発熱、リンパ節の腫れ、咳などの呼吸器症状、食欲不振、下痢や嘔吐などの消化器症状、貧血、リンパ球の増加、低アルブミン血症など、なんらかの症状が認められた時は治療を開始します。

治療は抗癌剤投与になりますが、最初クロラムブシルもしくはアルケラン、プレドニゾロンなどの内服薬を使用します。この治療で、多くの場合、症状が改善します。

生涯に渡って投薬治療で管理できる場合も多く、また、投薬を止められる場合もありますが、症状が落ち着いていても定期的に検査を行い(1-3ヶ月毎)、状態が悪化しているようなら、UW-25などの強い治療に切り替えるタイミングを見極める事が非常に重要です。低グレードリンパ腫のうちは急変することは稀ですが、病態が進んでしまうと、臓器障害や悪液質、播種性血管内凝固(DIC)の状態になり、急に悪化する場合があります。


消化管型低グレードリンパ腫の病理像

こちらもご参照下さい
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No.302 UW25 (Wisconsin-Madison Chemotherapy Protocol:ウィスコンシン-マジソン プロトコール)
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