猫がゴロゴロ喉を鳴らすのは、行動学では「喉鳴らし」、英語では「ピュリング」、フランス語では「ロンロン」などと呼ばれ、声帯を震わせて鳴らしていると考えられています。普通の声と同時に鳴らすことができるのが特徴で、ニャーニャー鳴きながらゴロゴロも発することができます。喉をゴロゴロと鳴らすのは生後2日目からであると言われています。生まれたばかりの子猫は視覚や聴覚が発達していないので、母猫は子猫に近付く時にゴロゴロと喉を鳴らして「ここにいますよ」「ミルクを飲みましょうね」などとサインを送ります。そして、子猫は「お腹空いたよ」「早く来て」とお返しゴロゴロをします。このように、ゴロゴロは母猫と子猫のコミュニケーションの1つであるとされています。
猫のゴロゴロ音には自律神経やホルモンバランスを整える効果があります。ゴロゴロ音の周波数は25ヘルツの低周波です。20~25ヘルツの音は副交感神経を優位にする働きがあります。副交感神経が優位になるとリラックスしたり、ハッピーホルモンと言われるセロトニンの分泌を促進します。一般的には機嫌が良いとき、リラックスしている時に鳴らすことからヒトの笑顔のような感覚に近いと考えられています。
また、ヒトの血圧を下げたり、不安を和らげたり、ストレスをなだめたりする効果があるので、免疫力や自然治癒力を高める副作用のない薬とまで言われています。日本でもセラピーキャットが医療や介護の現場で活躍し始めています。ゴロゴロ音の効果だけでなく、猫のように好き勝手にしたいな、自由にしたいなと憧れたり、自己投影したりすることで、がんじがらめになって病んでしまった人たちを癒しています。また、逆セラピーといって猫の世話をすることによってヒトの患者さんの癒しにつながることがあります。癒し癒される関係になり、絆が深まることで感情の交流が生まれ、回復や治癒につながるケースも少なくありません。
その他にもゴロゴロ周波数は、骨の形成を促進したり強化したりする周波数とほとんど同じであるとされています。骨に刺激を与えて新陳代謝を活発にする働きがあります。昔から猫は骨折をしても他の動物より早い速さで回復することは知られていて、人医学界では、ゴロゴロ音の周波数からヒントを得た超音波による医療器が開発され、骨折治療に使われています。ベッカム選手や松井選手が使用した事で話題になりました。
ゴロゴロは母猫と子猫のコミュニケーション