No.458 フェレットの脱肛

肛門から赤色をした粘膜や直腸下端の一部が脱出すること脱肛と言います。正常な動物でも排便時に腹圧がかかることにより、一時的な肛門の脱出がしばしば見られます。通常は排便後に自然に戻ります。 肛門の脱出が習慣となり、元に戻らない状態になったものが、疾患としての脱肛と定義されます。

フェレットの多くの個体は幼体期に肛門脇にある2つの臭腺を除去する手術を受けています。この臭腺を取り除いたがために、肛門括約筋に余裕が生じ排便時に脱肛しやすくなると考えられています。軽い脱肛であるならば自然と治まることもありますし、軽度だと軟膏などを塗って粘膜の炎症を抑えるようにすると治ることもあります。しかし、繰り返す場合は外科手術が適応となります。また、逸脱した粘膜にブドウ糖シロップなどを塗り、浸透圧差で腫張した粘膜が萎む作用を利用して指や綿棒で押し込む方法が良いなどと書かれているサイトがありますが、とても痛い処置です。そもそも良くはならないので絶対にやらないでください。

外科手術は、粘膜を中に入れて肛門周囲を巾着縫合します。多くは1~3週間後に抜糸すると完治します。巾着抱合で上手くいかない重度の場合は、開腹して大腸を腹壁に縫う手術を行います。


脱肛は痛いです