No.455 マイボーム腺

マイボーム腺とは、まぶたに存在する涙の油分を分泌する器官です。涙が蒸発するのを防ぐ重要な働きをしています。このマイボーム腺が腫瘍化したものをマイボーム腺腫といいます。中高齢の犬でしばしば見られる腫瘍でほとんどが良性です。しかし、大きくなってくると角膜に刺激を与え痛みや炎症の原因となります。皮脂腺腫が多いです。

マイボーム腺腫の治療は、一般的に全身麻酔下で腫瘍を切除して治療します。腫瘍が発生した瞼を一部切除した後、瞼を細めの糸で縫合します。この時、眼球に縫合糸が当たってしまうと眼に傷がついてしまうので縫い方に少し工夫が必要です。眼瞼の1/4-1/3くらいまでの大きさなら手術は大変ではありませんが、それ以上になると、他の部位の皮膚で眼瞼を形成する必要があり手術が頻雑になります。とくに腫瘍が角膜表面に当たってしまっている場合は早目の治療が必要です。小さい内はレーザーメスで簡単に終わる場合もあります。手術後は自分で擦ったり掻いてしまわないように、縫った傷が治るまではエリザベスカラーの装着が必要です。

また、マイボーム腺に細菌が感染して炎症を起こしたものを麦粒腫(ものもらい)、マイボーム腺が詰まって炎症を起こしたものを霰粒腫といいます。麦粒腫の治療は抗生剤の点眼、霰粒腫はマイボーム腺を絞り出したり、状況によっては外科的切開を行います。


霰粒腫

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No.330 眼瞼腫瘍