尿酸アンモニウム結石は、ダルメシアンに多くみられる尿路結石です。稀にブルドッグにもみられます。
生物は食物に含まれるタンパク質の構成成分であるアミノ酸代謝の過程において、最終的に窒素を濃縮して体外に排出します。ほとんどの哺乳類は、その代謝経路でできる尿酸をアラントインという物質に変える酵素(尿酸オキシターゼ)を持っているので、水に溶けにくい尿酸を水に溶けやすいアラントインという物質に変えてから体外に排出します。しかし、ダルメシアンは尿酸をアラントインに代謝することなく、尿酸のまま体外に排出します。そのため水に溶けにくい性質の尿酸は結晶になりやすく、高尿酸血症という状態になると尿路結石、尿酸アンモニウム結石ができやすくなってしまいます。
ダルメシアンだけがどうして尿酸を代謝できなくなってしまったのか、その理由は明らかになってはいませんが、ダルメシアンの特徴的な斑点を作り出した遺伝子と、何らかの形で関係しているのではないかといわれています。
オスの方が高尿酸血症の症状が出やすく、6歳以上のオスの34%に何らかの症状が出ているという報告があります。具体的な対処として有効なのはプリン体への対策です。プリン体というのは、穀物、肉、魚、野菜など食物全般に含まれる成分で旨みの成分にあたります。また身体の中でもプリン体は生成・分解されています。通常、プリン体は分解されて尿酸に変化し体外に排出されますが、尿酸量が排出能力を超えてしまうと、体内に蓄積されてしまいます。
プリン体は、レバーなどのモツ類、鮭、鯖、鰯、鰹、海老などに多く含まれていますので、ドッグフードの材料を選ぶときは注意しましょう。プリン体が少ない食品は、アスパラガス、ベーコン、カリフラワー、うなぎ、魚、豆類、肉では、鶏肉、ラム、豚肉、ハムです。マッシュルームなどのキノコ類、グリーンピース、ほうれん草などもプリン体は低いです。このような比較的プリン体の少ないフードを与えることがポイントです。また水分を補給し、かつ栄養バランスもよいフードを与えたいなら、ドライフードよりも手作りフードの方がオススメです。鶏肉おじや、鮭おじや、豚肉おじや、ラム肉おじや、鶏肉の煮込み、肉じゃがなどを味付けせずに与えてみて下さい。
また、水分補給も大切です。老廃物を身体から尿として排出するには、摂取する水分量をこれまでより増やし、尿を酸性にしないことが肝心です。適切な水分量を自宅で知るのには尿の色を見るのがポイントです。濃い黄色のときは水分不足が考えられますので注意しましょう。尿比重を1.020以下にすると結石はでき辛くなります(尿比重が下がると尿路感染症のリスクは上がります)。水を充分に飲ませるには、冷たい水より少し温めたぬるま湯にしたり、野菜や肉の茹で汁を加えてあげると喜んで飲んでくれる場合があります。水道水ではなく、PHの高いミネラルウォーターを飲ませれば体内の老廃物をきっちりと排出してくれます。
繰り返す場合には、アロプリノールという薬を使う場合もあります。あまりに多くの結石がある場合は外科手術も考慮します。
ダルメシアンは尿酸アンモニウム結石ができやすいです