No.443 認知的不協和理論 (Cognitive dissonance theory)

認知的不協和理論とは「自分が認知していることに2つの矛盾する考えや行動がある場合にストレスを感じる」ことを表した心理学的用語です。例えば、「タバコを吸いたい」という認知と「タバコは身体に悪い」という2つの認知がある場合、「タバコを吸う」欲求と「タバコは吸ってはいけない」という考えに矛盾が生じるためストレスを感じるわけです。

ヒトは、この認知的不協和を解消するために、自分にとって都合が良いように行為を正当化します。この行動を、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガー博士は「認知的不協和理論」として提唱しました。

前述したタバコの例でいえば「タバコを吸うのは頭をスッキリさせるため」「タバコを吸っている姿は格好いい」などと考えることで、自分の中で矛盾を解消します。言い方を変えると「つじつま合わせ」や「自己正当化」と言えるかもしれません。

これを病気に置き換えてみましょう。例えば、
「食欲がない」と「病院に行くべき」という認知→「夏で暑いから」と考える
「嘔吐が続く」と「検査を受けるべき」とい認知→「ストレスのせい」と考える
「蚊が出てきた」と「フィラリアの予防をすべき」という認知→「あまり散歩に行かないから大丈夫」と考える

などです。ヒトでも動物でも、認知的不協和が起こると病気の発見を遅らせてしまう場合があります。おかしなことがあれば、あまり様子を見ずに早目の対処をしましょう。


レオン・フェスティンガー博士

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