腸重積は腸管の一部が腸管の中に入り込んでしまい抜けなくなる状態をいいます。腸閉塞を併発するため、緊急対応が必要な重篤な疾患のひとつです。猫よりも犬で多くみられ、とくに1歳未満の幼犬に起こりやすいといわれています。また、回腸と盲腸で起こりやすいといわれています。ひも状の異物により物理的に重責を起こしている場合もあれば、消化管内の寄生虫やその他の原因により、慢性的な腸炎を引き起こしているような場合に多いとされています。とくに成体では腫瘍などが引き金になっている場合もあります。特定の原因が見つからないこともあります。
症状は下痢、嘔吐、食欲不振などですが、腸重積を起こした犬や猫はあまり治療に反応しない、もしくは一度よくなってもすぐに再発します。体調に波があることも多いです。典型的な症状の場合、腹部を入念に触診すると腸の一部が固くなっているような場所を見つけることができるのですが、腹部の疼痛により腹圧が上昇し、あまりうまく触知できないこともあります。レントゲン検査、超音波検査が有用ですが、腹腔内の腫瘍と鑑別が困難な場合も多くあります。結局のところ、多くの場合では犬や猫の年齢、病状などから仮診断を付け、後付けで検査や治療を行っていくことがほとんどです。
基本的には外科手術が唯一の治療法になります。腸重積を起こしている腸の箇所は、重積部を解除したときにあまり損傷がないように見えたとしても、高い確率で再陥入をおこすため、重積が見られている腸を切除し、正常な腸同士を吻合する必要があります。症状が出てから時間が経っている場合、腸の壊死が起こります。このような腸は取り除かないといけないので、腸管を大きく取らなければならない場合もあります。
クリックすると手術時の写真が出ます。苦手な方は見ないで下さい。
猫の大腸の腸重積